腰椎椎間板変性症の発症に関与する遺伝子、発見される

[ニュース・トピックス] 2013年10月30日 [水]

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軟骨の細胞外基質の代謝に関わる遺伝子CHST3

(この画像はイメージです)

 腰痛症や腰椎椎間板ヘルニア(LDH:Lumbar Disc Herniation)のきっかけとなる病気に、腰椎椎間板変性症(LDD:Lumbar Disc Degeneration)があります。これは、腰椎の椎間板が老化によって変化することで生じる病気の総称で、骨や関節などの病気のうち、もっとも発症頻度が高いものの1つと言われています。
 2013年10月9日、独立行政法人理化学研究所は、遺伝子CHST3がLDDの発症に関与していることを発見したと発表しました。
 CHST3は、軟骨の細胞外基質の代謝に関わっている遺伝子で、椎間板の高度な変性を起こす骨の遺伝病の原因遺伝子としても知られています。

CHST3の機能解析で新しい治療薬の開発も

 これまでの研究で、LDDは環境的な要因(腰に負担のかかる動作など)や遺伝的な要因によって発症する多因子遺伝病であることがわかっていました。同研究所の骨関節疾患研究チームでは、既にLDHの原因遺伝子をいくつか同定していましたが、LDDの原因や病態を解明するためには、さらなる遺伝子の同定が必要でした。
 今回の研究で新たな原因遺伝子CHST3が見出されたことから、LDDの遺伝的要因や、LDDが引き起こす病態の解明がいっそう進むと考えられています。さらに同研究所は、「今後、CHST3の機能解析を続け、LDD発症に関わる新たな経路をさらに詳しく調べることで、ゲノム・分子レベルにおいてLDDの病態の理解が進み、新しいタイプの治療薬の開発が可能になることが期待できます」と述べています。(森沢文子)

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