知っていますか?痛みにまつわる「常識と嘘」

[ニュース・トピックス] 2013年12月05日 [木]

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痛み治療の誤った「定説」を専門家が指摘

(この画像はイメージです)

 重いものを持ち上げたとき、突然、腰に痛みが走り、動けなくなってしまった。こんな経験がある方も多いと思います。そのとき、どんな治療をしましたか。痛みが引くまで布団から動かなかった。病院へ行かずに市販薬でやり過ごした。なんて方もいらっしゃるのでは。しかし、その対応は正しかったのでしょうか。
 11月19日、ファイザー株式会社とエーザイ株式会社が共催したセミナー「『痛み』をめぐる医療と言語研究がもたらす新たな可能性」において、「痛みのメカニズムと診療の実際」と題して講演した、福島県立医科大学の紺野愼一教授のお話から考えてみましょう。

「歳のせい」の腰痛は少数派?

 よく「歳のせい」ともいわれる腰痛。しかし、実は、腰痛の85%は原因不明です。また、慢性腰痛の多くが、侵害受容性疼痛(炎症や刺激による痛み)と神経障害性疼痛(神経が障害されて起こる痛み)の両要素をあわせた、混合性疼痛となっており、炎症を鎮めるだけでなく、複合的な治療が必要です。さらに、「腰痛になったときは動かないほうが良い」というのが半ば「定説」とされていましたが、急性腰痛(ぎっくり腰)は、可能な範囲で普段通りに動いたほうが早く治りやすい、と紺野先生。体を動かさないでいると精神的ストレスから神経が過敏になり、それが原因で慢性的な腰痛になるという「腰痛の悪循環」が起こってしまう、と先生は語ります。
 高齢者に多い坐骨神経痛は、腰部脊柱管狭窄症が原因のことが多く、適切な治療を施すことで治癒します。しかし、無理なストレッチを行うなどすると、負荷のかけ方によっては悪化することも。十分な知識や経験を持たない整体師によって骨折させられてしまったケースもあるように、まずは専門の医師・理学療法士に相談することが重要だと紺野先生は言います。
 このように痛み治療の「定説」の中には、異なっているものがあります。また、安静にしていても痛い、夜になると痛いといった症状がみられる場合は、がんなど重病のサインの可能性もあるとのこと。最適な治療を行うため、まずはお近くの医療機関に相談してみてはいかがでしょうか。(QLife痛み編集部)

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