関節リウマチの薬物療法の副作用
[薬物療法] 2015年7月21日 [火]
薬物療法では、薬の副作用の可能性を知っておく
メトトレキサートをはじめとする抗リウマチ薬や生物学的製剤は、関節炎を生じさせる免疫細胞の働きを抑えることで症状の改善を目指すものです。ということは、これらの薬の服用中は、もともとからだに備わっている免疫機能が全体的に低下します。副作用として、からだの外から運び込まれる細菌やウイルスへの防衛反応がおこりにくくなるのです。このため感染症にかかりやすくなってしまいます。
そのほかにも、骨髄の造血機能に影響がでたり、「MTX(メトトレキサート)肺炎」と呼ばれる肺炎にかかり、1~2週間で重症化することもあります。前者に対しては、定期的な血液検査を行い確認します。MTX肺炎に関しては、罹患するリスクが高いことを常に念頭において、症状がでたらすぐに医師に相談することが重要です。薬の投与量が多ければ、副作用も強くでる可能性があります。
また、メトトレキサート服用時には、副作用を予防するために葉酸が処方されることがあります。葉酸は市販のサプリメント等でも手軽に入手できますが、過剰に摂取するとせっかくのメトトレキサートが効かなくなるため注意が必要です。葉酸以外にもサプリメントを使用するときは、服用している薬の効力に影響を与えないかどうかを、必ず医師に相談しましょう。
関節リウマチの治療では、下図に挙げたような副作用を予防するための薬も処方されます(例:非ステロイド抗炎症薬服用時は、胃粘膜を保護する薬を追加)。このため薬の種類が多くなり、加えて、飲み方も複雑になります。患者さんとしては混乱しがちですが、副作用のリスクを知り、それぞれ何のための薬なのかをしっかり理解すると、飲み忘れや飲み間違いもなくなるでしょう。
監修:林 泰史 東京都リハビリテーション病院院長
1939年生まれ。1964年京都府立医科大学卒業後、東京大学整形外科に入局。東京都衛生局技監(東京都精神医学研究所所長兼任)、東京都老人医療センター院長、東京都老人総合研究所所長などを経て2006年より現職。
著書は「老いない技術」(祥伝社)、「骨の健康学」(岩波書店)など多数。
(スーパー図解 関節リウマチ 平成25年9月26日初版発行)