なぜ、関節リウマチにはこんなにたくさん薬が・・・?

[薬物療法] 2015年7月28日 [火]

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なぜ、こんなにたくさん薬が・・・?

 たしかに関節リウマチの治療を受けると、たくさんの種類の薬が出ます。また、飲み方も週に1回だったり、2回だったり、毎日朝夕だったり、複雑な組み合わせになりますので、うんざりされる人もいることでしょう。

 例えば、多くの人に処方されるメトトレキサートは、細胞の中の葉酸の働きをシャットアウトします。しかし、からだの中で葉酸がまったく働かないのは困りますから、薬の用量によっては葉酸が別の日に服用するようにと処方されます。

 また、痛みが伴う場合、痛み止めの薬も処方されます。痛み止めの種類によっては、長く服用していると胃腸の粘膜を傷めることもありますので、予防のために粘膜を保護する薬が出ます。さらに、ステロイド薬を服用していると、骨量が減ってきて骨が弱くなることが知られています。閉経後の女性や高齢の患者さんなど、とくに骨粗しょう症のリスクが高いと思われる人には、骨が弱くなるのを防ぐ薬が出されることもあります。

 関節リウマチの治療薬は進歩していますが、副作用があるものもあります。一つの薬に対して、副作用を予防するための薬も必要になることが多いのです。

 長い治療期間の間に徐々に薬が増えてきたと感じる方は、一度主治医とよく話し合い、患者さんは現在の病気の状態を詳しく伝え、医師からは薬がどんな働きをしているのか説明してもらう機会をもつとよいですね。薬の目的と働きが理解できれば、種類が多く飲み方が複雑でも、納得できて、面倒な思いが少しは軽減するでしょう。

薬物療法の名脇役

監修:林 泰史 東京都リハビリテーション病院院長
1939年生まれ。1964年京都府立医科大学卒業後、東京大学整形外科に入局。東京都衛生局技監(東京都精神医学研究所所長兼任)、東京都老人医療センター院長、東京都老人総合研究所所長などを経て2006年より現職。
著書は「老いない技術」(祥伝社)、「骨の健康学」(岩波書店)など多数。

(スーパー図解 関節リウマチ 平成25年9月26日初版発行)

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