生活の中での注意点
[関節リウマチと生活] 2014年12月24日 [水]
ふだんの生活のなかで筋力維持をしましょう
それほど痛みがないときは、リウマチ体操以外に日常生活のなかでできるだけ体を動かすようにしましょう。筋肉の運動機能や関節機能を維持するために、家事や買い物などの日常生活動作を毎日行うことが大切です。自助具を用いれば、関節リウマチがあっても多くの日常生活動作は自分でできるようになります。
買い物は荷物を手に持たずにすむよう、キャリアーや買い物型歩行車(シルバーカー)などを用いると負担がかかりません。また散歩をするときはつえを使うと歩行が楽になります。体調がいいときは温水プールで水中歩行運動をするなどの軽いスポーツをしてみるのもいいでしょう。関節への負担をあまりかけずに筋力維持のエクササイズを続けることが重要です。
長くつきあう関節リウマチはリハビリテーション中心の生活を
旅行などいつもと違う行動があるときは予防策をとります
関節リウマチになったからといって、旅行や遊びに行ってはいけないということはまったくありません。むしろ、趣味など楽しめることはどんどんやっていったほうがいいようです。
ただ、旅行などに行って無理をすると、せっかく安定していた症状がぶり返してしまうことがあります。そこで症状が出てしまうことを防ぐために、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)を一時的に追加することもあります。痛み止めにすばやい効果があるため、旅先での突発的な症状を抑えるにはよいのですが、連用すると胃腸障害をおこしやすく、また関節破壊そのものに効果があるわけでもありません。あくまでも一時的な緊急避難、と心得て使用することが大切です。
そうはいっても薬に頼るだけでなく、「疲れたら休む」「無理な日程は組まない」といったことで、楽しい旅行や遊びにしたいものです。
不安があるときは事前に主治医に相談してみるといいでしょう。
関節はなるべく冷やさないようにします
かつて関節リウマチを温泉で治すという試みがありました。関節を温める温熱療法は基礎的治療のひとつですが、温泉そのものが関節リウマチに効果があるという科学的根拠を示すきちんとした研究があるわけではありません。また「温めるとよくなった」「冷やすと楽になった」と患者さんによってさまざまです。基本的には、関節はなるべく冷やさないことが推奨されています。関節を温めることは血流の改善や筋弛緩(筋肉をゆるめる)による疼痛(とうつう)の緩和ということでは理にかなっていますから、保温対策を徹底するようにしましょう。
お風呂(ふろ)に入るだけでなく、服装にも工夫をしましょう。最近では冬だけでなく、夏の冷房対策も必要です。冷風が体に直接当たるのを避けて、長そで長ズボンにしたり、温度変化に応じて着脱できるよう上着を持ち歩いたりするとよいと思います。その上からストールやひざ掛けなどをかけて、ダブルの保温に努めましょう。
保温対策は十分に
鉄分・カルシウムをとりましょう
食事については関節リウマチの場合、基本的に食べてはいけないものはありません。ただ、痛みや腫れがあって日常の動作がおっくうになりがちですから、太りやすくなり、体重が増えると肥満や生活習慣病になりやすくなることがあります。バランスよく、適度な量を食べることが大切です。
また、とくに気をつけたほうがよい点を挙げるとするなら、鉄分やカルシウムを十分にとることでしょう。
関節リウマチになると、健康な人より貧血や骨粗しょう症になりやすいことがわかっています。そこで、貧血を予防する鉄分や鉄の吸収をサポートするビタミンCを積極的にとったり、また骨の成分となるカルシウムや、カルシウムの吸収をサポートするビタミンDなどを積極的にとったりして骨粗しょう症を予防します。
貧血を予防するためには、体への吸収率が高いヘム鉄が多くふくまれる、レバーや卵、牛乳などをとるとよいでしょう。ひじきや大豆製品にふくまれているのは非ヘム鉄で、必ずしも吸収率はよくありませんが、鉄分が非常に豊富にふくまれているので、毎日、不足なくとったほうがよいといえます。ビタミンCは鉄分を吸収しやすい形に変えてくれる、いわゆる鉄のサポーターです。ビタミンCたっぷりの野菜やくだものも積極的にとっていきましょう。
一方、骨粗しょう症を防ぐためにはカルシウムとビタミンDが欠かせません。カルシウムは小魚やわかめなどの海藻、牛乳、乳製品にふくまれています。とくに牛乳や乳製品にふくまれるカルシウムは吸収しやすいことから、積極的にとるようにしましょう。ビタミンDはカルシウムの骨への沈着を進めます。レバー、かつお、いわしなどにふくまれています。
貧血や骨粗しょう症を防ぐ食品
(正しい治療がわかる本 関節リウマチ 平成20年1月25日初版発行)