腰痛
[痛みの原因と治療法] 2013年6月03日 [月]
痛みの原因
腰の痛みの主な原因として、『腰それ自体が原因となるもの』と、『腰以外の病気が原因となるもの』に大きく2つに分類されます。腰それ自体が原因となるものには、変形性脊椎症、椎間板ヘルニアなどの「加齢によっておこる痛み」、腰椎分離症といった「成長によっておこる痛み」、「外傷、細菌感染や炎症によっておこる痛み」、そして、「がんの転移によっておこる痛み」があります。腰以外の病気が原因になるものには、血管や消化器、泌尿器の病気に加え、子宮筋腫などの婦人科系の病気や変形性股関節症などの腰以外の整形外科系の病気、そして心理的な原因で起こるものがあります。
痛みに潜む病気
腰の痛みに潜む病気(一例) |
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脊椎カリエス |
馬尾腫瘍 |
転移性脊椎腫瘍 |
糖尿病に合併した化膿性脊椎炎 |
後縦靱帯骨化症・黄色靱帯骨化症 |
腰の痛みが起こる病気の一例をご紹介します。
腰椎椎間板ヘルニア
加齢などによって、椎間板に変化が現れ、断裂することで起こります。悪い姿勢での動作や作業に加えて、喫煙、遺伝的素因などが起こりやすくなる要因であると言われています。
腰部脊柱管狭窄症
椎体や椎間関節から突出した骨あるいは、加齢や労働、背骨の病気の影響で変形した椎間板によって、神経が圧迫されることで起こります。発症は中高年に多く、断続的に長い距離を歩くことが困難になります。
腰椎分離症・分離すべり症
青少年の時にスポーツなどでジャンプを繰り返したり、腰椎をそらしたりすることで腰椎の後方部分に亀裂が入って起こります。初めは腰痛から生じ、その後にすべりを伴うと高齢者に至るまで広い世代にわたり下肢痛やしびれが発症します。
治療法
症状によって治療法は異なり、消炎鎮痛薬などの内服薬、ブロック注射療法、コルセットなどの装具療法、牽引などの理学療法、運動器リハビリテーション、手術治療があります。また、日常生活への制限が大きくなってしまう腰の痛みは、体力の低下→腰を支える筋肉の衰弱→また新たな腰痛、といったように悪循環になりやすい痛みです。腰痛は長期化してしまうと、寿命や認知症などにも影響を与えるようになります。中腰にならない、定期的な運動や体操を行う、ストレスをためないなどの対策が必要です。
【監修】公立大学法人 福島県立医科大学 理事長兼学長 菊地 臣一 先生
腰痛の標準治療を記したガイドラインが勧める「腰痛予防法」とは?
「腰痛診療ガイドライン」2012年版というものがあるのをご存じでしょうか?日本整形外科学会と日本腰痛学会が監修した、このガイドラインは、エビデンスに基づいた標準的な治療を紹介するもので、多くの医師が参考にしています。ガイドラインでは、腰痛の治療だけでなく、予防に関しても紹介をしています。腰痛の発症予防に有効であるとされたのは運動療法。腹筋や背筋を鍛えたり、ストレッチをしたり、持久性運動をした結果、腰痛発症を予防できる場合があると報告されています。運動療法は妊娠期間中や分娩後の妊婦の腰痛予防にも有効、とガイドラインでは報告しています。一方、腰痛予防のために装着するコルセットに関しては、腰痛を予防可能であるというエビデンスはなかった、としています。日ごろから体を動かしておくことが、腰痛予防になるんですね。
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腰痛の治療はオーダーメイド それぞれの人にあった治療で痛みの改善を目指す
労働者健康福祉機構 長崎労災病院の小西先生は腰痛のスペシャリストとして、多くの実績を持っている専門医。「症状が悪いからと言って、必ずしも手術をしなければならないわけではありません・・・」