[サプリメントコラム] 2008/04/24[木]

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0424_1001.jpgある種の洗剤などを混ぜて硫化水素を発生されて自殺する方法が、ネットなどで広まったためか、硫化水素を使った自殺が、急増している。しかも巻き添えで家族や隣人まで亡くなるという悲劇が続いている。

硫化水素の毒性は青酸と同じ

硫化水素(H2S)自体は、硫黄と水素からなる、水に似た分子構造を持つ単純な構造の化合物である。卵が腐ったような独特の臭気を持っているガスで、火山地帯などで自然に多く発生している。温泉地などでは馴染み深いだろう。しかし、毒性は強く、青酸とほぼ同等で、濃度が100~200ppmに達すると鼻に付く独特な臭気も、鼻が麻痺するため、においが感じなくなる。200~300ppmで1時間後に眼および気道を激しく刺激。500~700ppmでは30~60分後に意識喪失および呼吸停止。1000ppmを超える高濃度の場合は数呼吸しただけで昏睡し即死する。

これがどれくらい高濃度化と言うと、環境省が定めた、「公共の浴用に供する場合の温泉利用施設の設備構造等に関する基準」によると

 温泉利用許可者(温泉法(昭和23年法律第125号)第13条第1項の規定による許可を受け、温泉を公共の浴用に供し、又は供しようとする者をいう。以下同じ。)は、硫化水素を原因とする事故の防止のため、温泉を公共の浴用に供する施設を次の設備構造等とすること。

(1)換気孔等

イ 浴室(露天風呂の場合は、利用空間をいう。以下同じ。)に換気孔又は換気装置(以下「換気孔等」という。)を設ける等により、浴室内の空気中の硫化水素の濃度が、次に掲げる数値を超えないようにすること。
(イ) 浴槽湯面から上方10cmの位置の濃度 20ppm
(ロ) 浴室床面から上方70cmの位置の濃度 10ppm

と定められている。屋外では0.02~0.2ppmで悪臭防止法に基づく大気濃度規制値に達し排出源の工場などは規制の対象となる。

「ガス発生中」の張り紙の謎

報道されている自殺の多くが、ドアなどに「ガス発生中」などと書いた張り紙をしている点が共通している。ネットでそうするように記述があるからなのか、一人で楽になりたい、人には迷惑をかけたくないという心理なのかわからないが、家族や隣人は当然、そんな張り紙があれば、咄嗟にドアを開ける。その瞬間、高濃度のガスを吸い込み巻き添えが発生する。上に書いたように1000ppmを超えるガス濃度の場合は、数呼吸しただけで昏睡し死に至るのだ。
また、硫化水素は空気を1としたときに比重が1.19なので、空気より重い、マンションやアパートなど集合住宅の場合は、配管などを伝わって、階下へ伝わり、巻き添えが発生する。
助けようと入った救急隊や警察官なども危険に晒される。濃度が下がるまでは集合住宅の場合は住民はしばらく退去しなければならない。
多くの人々に迷惑を掛けてしまうという事がお分かりだろうか。

「キレイに楽に死ねる」は誤り

ここではあえて詳しく書かないが、ネットに書かれている「キレイに楽に死ねる」ということに関しては、誤りだと警告しておこう。
硫化水素は呼吸系に作用し細胞が呼吸できなくする。つまり直接死に至る原因は「窒息死」である。呼吸しようとして肺は動くのに息が出来ない状況を想像すれば、それがどれくらい苦しいか、想像できるだろう。市販の洗剤を混ぜて発生する程度のガスで、首尾よく短時間で即死するくらいの高濃度のガスが発生するとは限らない、数時間はもだえ苦しむ事を覚悟しなければならない。遺体も法医学の専門家によれば、緑色に変色し溺死体のような見るに耐えない姿になる。また万が一死に切れなかった場合、鼻や肺など呼吸器系が損傷し酸素が脳にいかないため、脳に重い後遺症を残すなど、その後の生活も立ち直りが難しくなる。
集合住宅なら、そんな事件を起こせばご家族は、そのまま住めなくなるだろう。巻き添えを出せば損害賠償など多くの人を不幸にする。

とはいえ、自殺を考えている人は切迫している。普段から周りの人々がその兆候を捉え、「話を聞く」ただそれだけで予防できる。ボランティアやNPOの電話相談をしてからでも遅くは無い。

日本いのちの電話連盟
国際ビフレンダーズ 東京自殺防止センター

人間は強い。心が死を選んでも60兆の細胞は生きたがっている。その葛藤は苦しみとなり返ってくる。楽に死ぬ方法などないのだ。

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