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[イベント調査隊が行く] 2009/10/02[金]

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 QLifeは一貫して「医療への患者(生活者)参加」の事例をレポートしているが、「英国での現状」を聞ける市民公開シンポジウムがあるというのでお邪魔しました。土曜日の昼さがりに、東大病院の大会議室で行われたもので、英国NICE(国立優良診療研究所)のPPIP(患者と市民の参加促進プログラム)からマルシア・ケルソン博士が来日して講演しました。主催は厚生労働科学研究「診療ガイドラインの新たな可能性と課題:患者・一般国民との情報共有と医療者の生涯学習」研究班。運営は日本患者会情報センター。
 
 

日本の現状と2つの事例

 ケルソン博士の登壇の前に「日本の現状」を確認する、3つの講演が行われました。
 第一は、京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野教授の中山健夫氏。EBM(根拠に基づく医療)の定義や、我が国におけるEBMならびに診療ガイドラインの変遷について説明をした後に、「患者参加の目的は、医療者に患者視点を伝えることだけではなく、患者側に医療の実情理解を広めること。」と、今後のさらなる患者参加の広がりに期待を述べられました。(参考記事:EBMとは何?知っておきたい「よくある誤解」「生活者ができること」

 次に日本小児アレルギー学会前理事長・群馬大学名誉教授の森川昭廣氏のお話。
 QLifeでも3ページにわたって詳しく紹介をしたことのある、小児ぜんそくの一般向け診療ガイドラインを作成した際の舞台裏が、語られました。森川氏の「医療はどんどん進歩しているから、2008年版に続く2011年版を作らなきゃ!」とのお話に、会場の雰囲気が盛り上がりました。(参考記事:日本初の「患者による患者のためのガイドライン」できた

 そして今後は行政の立場から、広島県健康福祉局長の迫井正深氏からお話がありました。
 「がん対策基本法」施行を受けて、各都道府県が地域の実情に沿った「がん対策推進基本計画」を2008年に発表したのですが、広島県ではこの作成過程で本格的な患者団体ヒアリングを実施しました。その成果として、“がん患者フレンドコール”という、患者と家族が主体となった相談体制ができたことなどを紹介しました。また、医療政策への患者参加を実現するためには、各自の理想論を主張するだけでなく、異なる立場を相互に尊重し、実情に即した活動から取り組むこと、案の議論だけでなく実現に向けた動きをすることも重要だとの私見を披露しました。

英国では、医療政策への患者参加が組織的

 後半はいよいよ、英国NICEのPPIPコンサルタントのマルシア・ケルソン氏が登場です。NICEは、英国で使われている「診療ガイドライン」のほとんどを(すべてではない)作成している団体です。政府から独立していますが、NICEが作る診療ガイドラインは、NHS(国民保健サービス、日本での国民健康保険制度に相当)の治療や薬剤使用を規定する役割も果たしています。つまり「ガイドライン」といっても日本の診療ガイドラインよりも「ルール」に近い感じです。保険適応か否かという、医療現場での選択肢決定に直接的な影響を持ち、そのため「有効性」だけでなく「費用対効果」視点も盛り込まれて策定されているそうです。

 それほど臨床現場に影響力が強いガイドラインの策定に、患者代表者が当たり前のように参加していることは驚きでした。患者参加を促進する専門部署があり(それがPPIP)、患者代表者の選考や研修などの仕事をしているそうです。ほとんどのケースにおいて、「患者参加」は「価値が高い/非常に高い」という評価を受けているとのこと。
 「診療ガイドライン作成」以外においても、英国ならびにウェールズでは、多数の患者ならびに支援者団体(patient and carer organizations)が活動しており、国の政策決定への発言機会を得ているようです。医療社会に「患者参加」が広く厚く浸透している様子がうかがえました。
 

NICEの概要紹介(左)と、英国での患者団体の現状紹介(中央)。どちらもケルソン氏によるもの。

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