[うつ病患者の視線「病院と薬」] 2010/05/13[木]

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Photographer: Suat Eman

 医師の診断へ疑問を持った人は半数近く、また、6割近い人が薬物治療に疑問を抱いたことがあるという結果が出ました。では、具体的にどんな疑問を抱いているのでしょうか?

※この記事は、うつ病患者は 「医療機関での治療」 をどう捉えているか 前編の続きです。

6-1:(薬物治療に疑問を持った人のみ)どんなふうに疑問を抱きましたか。(複数選択)

 薬へ疑問を持った人の具体的な疑い内容は、分散した。
 ただし37%(=全患者の22%)が、「かえって薬で症状悪化」と強い否定疑念を持つことは要注目だ。しかもこの数字は、20代・30代の女性に限ると、それぞれ44%、44%(=全患者の32%、28%)と高率になる。

年代別集計結果
男女別集計結果

6-2:(薬物治療に疑問を持った人のみ)どんなふうに疑問を抱きましたか。
「その他の疑問」の具体的内容は?

 「その他」を選んだ人に具体的内容を聞くと、最多は「副作用に関するもの」で21%を占めた。その他には、以下のような内容があった。

副作用に関して(例)

  • 副作用が大きく、このマイナス効果に疑問があった(回復済み・男性・54歳)
  • 副作用についての具体的な説明がなかった(回復済み・女性・34歳)
  • 薬による副作用が強く、副作用を抑える薬をまた処方される。薬を飲む事で治るわけではないと感じた(治療中・女性・38歳)

作用の仕方に関して(例)

  • 精神的な物に、何故薬が効くのか(回復済み・男性・43歳)
  • 薬が「心」に効果があるのか?砂糖でも塩でも同じではないのか?(治療中・男性・46歳)
  • 薬で人の気持ちがかわっていくのか。(治療中・女性・43歳)

投薬量の多さに関して(例)

  • 言えばどんどん簡単に薬が増えていく。なおすのではなく麻痺させるためのものに見えた。(回復済み・女性・37歳)
  • 大して話も聞かないうちに大量のお薬を処方されたので。(治療中・女性・44歳)
  • 薬にたよることがいやで仕方なく でもそれとは裏腹にどんどん安定剤が増えて一日に三十錠という数のお薬を飲むことになりました(治療中・女性・47歳)

依存性に関して(例)

  • 飲んでないと居られない時期は、本当に薬なしで生活できるようになるのか不安になった(回復済み・女性・36歳)
  • 薬がないとやっていけなくなるんじゃないか(回復済み・男性・36歳)
  • 薬はいつまで飲んだらいいのか(どうなったら薬を飲まなくても良いのか)(治療中・女性・41歳)

7:あなたの、性格や行動の傾向を教えてください。(複数回答)

 8割の人が自身を「真面目」と思っている。それ以外については、治療中群が回復済み群に比べて選択率が高い。内向的・悲観的だから回復しにくいのか、回復していないから内向的・悲観的になるのかは、分からない。

8:あなたの「うつ」の原因となった「ストレスの要素(小さなものも含む)」を、あえて数えるとするといくつですか。

 患者が病気の原因と見なすストレス要素の数は、平均「3.2個」。※「8つ以上=8」として算定
 「一つ」と回答したのは、14%に過ぎなかった。
 女性の方が、及び治療中(未回復)群の方が、原因が複雑である(ないしそう捉える)傾向がある。

男女、治療中・回復済み別集計結果

9:(治療中=未回復の人のみ)何が原因で、うつ病から回復しないと思いますか。(複数回答)

 治療中(未回復)の人は、自分が回復しない原因を「自身の性格や悩みの内容」と考える傾向が強い。「周囲の理解不足」や「治療の効果不足」に帰す人は10-20%程度しかいない。この傾向は、性・年代別であまり違わない。

10-1:(回復済みの人のみ)何をきっかけに、うつ病から回復していったと思いますか。(複数回答)

 回復した人の回復きっかけは、分散傾向が強く、まだ年代によっても異なる。
 20-30代は「時間」が解決しているが、50-60代は薬など「治療」と「休養」がきっかけと考えている人が多い。なお20代の回復者は「薬」「医師」など治療の効果を認める人が他世代に比べて少ないかわりに、「家族・友人」が奏功していると考える人がとても多い。


10-2:(回復済みの人のみ)何をきっかけに、うつ病から回復していったと思いますか。
「その他のきっかけ」の具体的内容は?

 「その他のきっかけ」を挙げた人の47%(=回復患者全体の12%)が、大きな環境変化で回復していた。一般的には「うつ病の治療中には重要な決断をしてはいけません、会社を辞めてはいけません」とされるが、実際には退職・転職をした人も多く、かつそれがきっかけで回復した(と捉えている)人が少なくないことが分かった。

詳しい内容はこちらのpdfファイルから。
うつ病患者は「医療機関での治療」をどう捉えているか 調査報告書(PDFファイル)

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