[血友病] 2018/06/21[木]

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血友病は、血液を固める凝固因子の一部の活性が低い、または欠けているため、出血が止まりにくくなる先天性止血異常症で、先天性血液凝固第Ⅷ因子障害(血友病A)と先天性血液凝固第Ⅸ因子障害(血友病B)の2つに分類されます。

患者のほとんどは男性で、平成29年度の「血液凝固異常症全国調査」によると、日本国内では血友病Aが5326人(男性5282人、女性44人)、血友病Bが1129人(男性1111人、女性18人)と報告されています。医療施設や地域ごとに設立された患者会を横断する連絡体として、血友病患者相互の連携を強化することを目的に結成された全国組織が一般社団法人ヘモフィリア友の会全国ネットワークです。

2017年に同ネットワークの理事長に就任した、「栄友会(三重県ヘモフィリア友の会)」代表の松本剛史先生は、三重大学医学部附属病院血液内科で診療にあたるとともに、ご自身も血友病患者です。患者として、医師として、患者会の代表として、血友病患者さんを取り巻く「いま」を松本先生に聞きました。

松本 剛史先生
松本 剛史(まつもと たけし)先生
一般社団法人 ヘモフィリア友の会全国ネットワーク
代表理事(理事長)
三重大学医学部附属病院 助教
輸血・細胞治療部 副部長
略歴
1998年三重大学第2内科入局。県内の関連病院を経て、2007年三重大学病院血液内科勤務に。2008年より輸血部(現 輸血・細胞治療部)所属。

ヘモフィリア友の会全国ネットワークについて

2008年にこの全国ネットワークができる以前にも、国内では各地域や病院ごとに患者会があり活動をしていました。しかし、それぞれの組織ごとの活動では、行政や医療者、製薬メーカーに対しての働きかけに限界がありました。そこで、組織の中の各患者会の要望を聞きながら対外的に活動をする全国組織として、ヘモフィリア友の会全国ネットワークが設立されました。全国組織ができたことで、国会で意見表明するなど国の政策にも関われるようになりましたし、また、情報も集約できるようになり、それまで各地域であった“情報格差”が少なくなったと感じています。現在では、約25団体に加盟いただいており、行政や製薬メーカーへの働きかけのほか、血友病に関連する医療情報等の収集と提供、各種講演会、シンポジウム等の開催や機関誌、書籍等の発行、そして患者さん以外の一般の方への啓発を行っています。

ヘモフィリア友の会全国ネットワークサイトTOP
ヘモフィリア友の会全国ネットワークサイトTOPより

栄友会(三重県ヘモフィリア友の会)について

1967年に設立された三重県の血友病患者さんの患者会が栄友会です。現在、三重県内の70名ほどの患者さんに、サマーキャンプや講習会、講演会などの季節ごとのイベントのご案内を送っています。サマーキャンプでは医療関係者も含め、毎年30名前後の方にご参加いただき、共に寝泊まりするなかで血友病患者さん同士が交流します。

血友病は患者数が少ない病気なので、患者さん同士が会う機会はそれほど多くはありません。そして、多くの患者さんが治療はもちろん、日常生活でも不安を抱えています。以前は、通院時や救急外来、入院時など患者さんやそのご家族同士が接する機会もありましたが、治療が進歩したことで、入院・通院回数も減少し、同じ境遇の人とコミュニケーションがとりにくくなっています。そうした不安を解消する情報提供は、医療機関でもできないことはないですが、患者さん同士だから話せることがあったり、いろんな人と話ができたりというのは患者会ならではだと思います。

「同じ境遇の方を1人でも多く助けたい」と医師の道へ

私が血友病と診断されたのは1歳ぐらいのときです。頭蓋内出血を起こし、受診した病院で診断されました。6歳くらいから、今の勤務先でもある三重大学病院に通院しています。中学2~3年生くらいまでは、注射は病院でしかできなかったので、出血するたびに救急外来を受診していました。その後は自分で注射ができるようになったので、救急外来に行くことはほとんどなくなりました。血友病の治療に携わるために、医師になることを目指し始めたのは高校生の時です。それまで通院していたこともあり、その時から「働くなら三重大学病院で」という思いはありましたね。

その時その時の最適な治療を提供したい

患者さんには、常に最適な方法を提供していきたいと考えています。血友病治療も進歩して、さまざまなお薬がありますが、「万人にこれが一番合う」という答えはありません。患者さんとよく相談して、その時その時、一番いいやり方を提供できれば、と思います。

血友病の治療では、自己注射を行うことが多くなってきましたが、週3回が2回になってしまうなど、だんだんルーズになってしまう人も。そんな患者さんに、ただ闇雲に怒っても仕方がないと思います。注射したくない気持ちはわかりますから。お子さんの患者さんの場合だと特にそうです。「やりたくないのは仕方がないですが、いずれはできるようにしてください」とご両親にも言いますね。

自身が患者であることで、患者さんへの説得力はあるのかな、と思います。でもどうしても甘くなっちゃいますね、気持ちがわかるから(笑)

医師と対等に話せるだけの知識を身につけてほしい

以前と比べると、血友病に対する社会の偏見は薄れていると思います。患者さんやそのご家族からも、「人に知られたらまずい」などといったことは無くなっています。ただ、まだまだ不十分なところがあるので、そのあたりはきちんと説明しないといけないと感じています。

治療は良くなって、良いお薬が次々と出てきていますが、正しく使わなくてはなりません。そのために、患者さんはしっかり勉強してほしいですね。医者のいいなりになっていてはだめ。先生に意見を言えるだけの知識を自分で勉強する、そういう意味でも患者会から情報を得ることは大事だと思います。

<お知らせ>
ヘモフィリア友の会全国ネットワークでは、2018年9月2日(日)に広島市で「ヘモフィリアシンポジウム2018 in 広島」を開催します。
シンポジウムでは、「保因者・保因者ケア、および中等症・軽症患者のケアについて」「新規製剤や半減期延長型製剤について」の講演のほか、パネルディスカッションが行われる予定です。
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