[統合失調症の治療と、よくある悩みの解決法] 2015/04/03[金]

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統合失調症の生涯の経過

 統合失調症は、考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続く精神疾患で、その原因は脳の機能にあると考えられています。約100人に1人がかかるといわれており、決して特殊な病気ではありません。思春期から40才くらいまでに発病しやすい病気ですが、薬や精神科リハビリテーションなどの治療によって回復することができます。
 統合失調症では、発症の前触れのような変化がある前兆期で、眠れない、イライラして集中力がなくなるなどの症状が続きます。発症すると不安や緊張感が高まり、幻覚や妄想、興奮といった特有の症状が目立ち、周囲とのコミュニケーションがうまくとれなくなっていきます。治療によって休息期から回復期へと向かいますが、再発してしまうことがあります。
 統合失調症の患者さんのうち、約半数が2年以内に再発しています。その後も再発を繰り返す患者さんもおり、病相が進むうちに認知機能障害(記憶する、なにかに注意を向ける、それに基づいて作業を行うなどができにくい状態)が進んでしまいます。一方で、早期に治療を受け、治療を継続することで、再発を防ぐことができます。再発を予防することで、社会機能を高く保ち、社会の中で生活を続けてゆくことができるようになります。

再発の予防に重要な服薬アドヒアランスの現状

再発リスク

 統合失調症の再発予防では、抗精神病薬を継続して服薬することが大変重要です。しかし、以前行われた患者さんを対象とした調査では、医師の指示通りに服薬している患者さんは3分の1ほどで、必ずしも服薬アドヒアランス(患者さん自身が服薬の意味を理解し、服薬を継続すること)は保たれていないことがわかりました。また、医師の指示通り抗精神病薬を服薬していないと、統合失調症の再発の可能性が高くなると言われています。
 服薬アドヒアランスは退院直後に大きく低下し、その後も月を追うごとに低下します。統合失調症の患者さんにとって、抗精神病薬の服薬を維持し続けることは簡単なことではないと考えられます。その原因の1つが飲み忘れです。

服薬・通院のアドヒアランスを保つための工夫とは?

デポ剤と経口薬における入院リスクの比較

 心理社会的教育を行うことで服薬・通院のアドヒアランスが向上することが知られています。心理社会的教育とは、患者さん自身やご家族に病気の症状や原因、治療について正しく知ってもらうことです。患者さんや周囲の人が病気や治療法を知ることで、前向きに治療に取り組めるようになり、アドヒアランスの向上にもつながります。
 また2~4週に1回の注射を行う抗精神病薬の持効性注射剤によって、服薬アドヒアランスを保つ方法もあります。複数の研究を合わせた最近の検討では、経口剤よりも持効性注射剤の方が、入院リスクが低い可能性があると言われております。
 持効性注射剤は、薬を一定の濃度で維持できるため、必要以上に投薬量を増やさなくてよく、副作用も少ないため、患者さんのQOLの向上が期待できます。
 近年、非定型と呼ばれる新しい抗精神病薬の持効性注射剤も数種類発売され、より副作用の少ないタイプの注射剤が使えるようになっています。

患者さんのライフスタイルや好みに応じた治療が選択できる

 抗精神病薬にも様々なタイプのお薬と剤形があります。持効性注射剤の場合、2~4週間に1回の注射で治療が可能で、受診も月に1~2回で済みます。そのほか、口の中でさっと溶けるOD錠(口腔内崩壊錠)や、水無しで服用できる内用液などの剤形もあります。患者さんのライフスタイルや好みに応じた治療選択が可能です。主治医や薬剤師に相談し、お聞きするのが良いでしょう。

宮田久嗣先生

宮田久嗣先生 東京慈恵医科大学精神医学講座教授
1983年東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。
現東京慈恵会医科大学附属病院精神神経科診療副部長、第26回日本依存神経精神科学会会長を務める(兼理事)。日本神経精神薬理学会評議員、日本アルコール・薬物医学会理事

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