毎日吸うことの大切さ ~喘息治療の基本のキとは?~
[喘息と向き合い、自分らしい毎日を] 2025/09/29[月]
吸入器による喘息治療を行っているにもかかわらず、症状がダラダラと続く喘息患者さんの場合、風邪や花粉症などをきっかけに症状が悪化することも少なくありません。このような患者さんの中には、吸入器の使用方法を確認してみると、症状が出たときだけ吸入するなど毎日きちんと服用していないことがあります。「そこまで重症でないから」と自分の判断で使用している方も、適切な治療方法を学び、毎日確実に吸入することで症状の安定化につながります。
このマンガでは、喘息治療で悩む患者さんによくある落とし穴を例に、「毎日吸うことの大切さ」について学び、症状が改善していく姿を描いています。
無理なく治療継続するうえで、吸入器ごとの特徴や使い方を理解することも大切です。一般社団法人日本喘息学会が公開している「吸入操作ビデオ」では、喘息治療薬における各種吸入器の正しい使い方を動画で確認できます。サポートツールとして、ご活用ください。










喘息治療Q&A 〜治療を続けるために知っておきたいこと〜

症状が落ち着いているので、薬を減らしたい/やめたい/通院しなくてもいいでしょうか・・・
症状が落ち着いているのは、お薬が効いている証拠です。ただし、喘息は気道の慢性的な炎症疾患ですから、症状がなくても実は炎症が続いていることがあります。自己判断で薬を減らしたり中止したりすると、症状が再燃するリスクが高まります。喘息治療薬は種類によって役割が異なりますが、処方された予防のための吸入薬は症状がなくても続けることが大切です。薬の調整は必ず医師と相談して行いましょう。定期的な通院で状態を確認することも重要です。症状がコントロールできていれば、通院間隔を延ばせる場合もありますので、医師に相談してみてください。
長期間の薬の使用で副作用は心配ないのでしょうか?
喘息の吸入薬は、お薬を肺に直接届けるように設計されています。正しい用量・用法で使用すれば、長期間使用しても重大な副作用のリスクは低いとされています。むしろ、喘息をコントロールせず発作を繰り返すことは、肺機能の低下など健康への悪影響が大きくなります。吸入後のうがいを忘れずに行うことで、喉の不快感や口腔内の問題も予防できます。もし気になる症状があれば、すぐに医師に相談してください。定期的な通院で状態をチェックしながら、安心して治療を続けることが、喘息と上手に付き合うコツです。
忙しい朝は吸入を忘れがちです。夜だけの使用でもよいですか?
お薬の種類によって異なりますが、もし1日2回使用する薬を夜だけにしてしまうと、十分な効果が得られないことがあります。特に朝は喘息症状が出やすい時間帯なので、朝の吸入は重要です。忙しい朝でも続けるコツとしては、「携帯電話のアラーム機能を活用する」「吸入薬は洗面所など必ず目につく場所に置く」「歯磨きなど毎日の習慣と一緒に行う」などがあります。朝が難しい場合は、吸入のタイミングを調整できないか医師に相談してみましょう。あなたが継続しやすい方法を見つけることが、治療成功の鍵です。
ご自身が処方されている吸入薬の特徴や正しい使用方法については「吸入操作ビデオ*」で確認してみてください。
*一般社団法人 日本喘息学会 吸入操作ビデオ
吸入を忘れてしまった場合は気付いたタイミングですぐに吸入をするべきでしょうか?
予防のための吸入薬を忘れてしまった場合、基本的には気づいたときにすぐ吸入して構いません。ただし、次の予定時間が近い場合(数時間以内)は、忘れた分は飛ばして、次の時間に通常通り使用しましょう。「忘れたから」といって2回分を一度に吸入することはしないでください。毎日決まった時間に使用する習慣をつけることが大切です。
風邪をひいたときは、喘息の薬はどうすればよいですか?
風邪をひいたときこそ、喘息の薬はいつも通り継続することが重要です。風邪は喘息発作の引き金になりやすいため、この時期に吸入を中断すると症状が悪化するリスクが高まります。咳が長引く場合は、単なる風邪ではなく喘息症状の悪化かもしれません。風邪の症状が2〜3日以上続く場合や、呼吸が苦しくなる場合は、早めに医師に相談しましょう。
運動時に症状が出やすいのですが、運動は控えめにした方がよいですか?
医師から運動制限が出ている場合は控えましょう。特に指示がなく、適切に服薬継続をしている場合、基本的は運動を控える必要はありません。運動すると喘息症状が出やすい方の場合、いくつかの対策があります。「運動前に医師の指示に従って予防的に吸入薬を使用する」「ウォーミングアップを入念に行う」「ほこりっぽい場所での激しい運動を避ける」「寒い日は口や鼻をマスクやマフラーで保護する」などが効果的です。喘息があっても、適切な管理で活躍するアスリートもたくさんいます。症状が気になる場合は、運動の種類や強度について医師に相談してみてください。
花粉症の季節は特に気をつけることはありますか?
花粉症の季節は喘息症状も悪化しやすいため、特に注意が必要です。対策としては、「花粉シーズン前から喘息の予防薬を欠かさず使用する」「花粉の飛散量が多い日は外出を控える」「外出時はマスクやメガネを着用し、帰宅後は手洗い・うがい・着替えを行う」「花粉症の薬も医師の指示通りに服用する」などがあります。喘息と花粉症は関連が深いため、両方の症状をコントロールすることが大切です。症状が悪化する前に医師に相談しましょう。
東田 有智(とうだ ゆうぢ)先生
近畿大学病院 特任教授/病院長(近畿大学病院統括)
1980年に近畿大学医学部卒業後、米国Mayo Clinic Dept. of Immunology(Prof.Gleich) への留学などを経て、2002年より近畿大学医学部 呼吸器・アレルギー内科教授。2020年より一般社団法人日本喘息学会 理事長、2022年より公益財団法人日本アレルギー協会 理事長を務め、現在に至る。
提供:ノバルティスファーマ株式会社
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。