[ヘルスケアニュース] 2015/10/06[火]

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重症化リスクを知っている親は2割にとどまる

多摩北部医療センター小児科部長
小保内俊雅先生

 2歳までにほぼ100%の乳幼児が感染するといわれているRSウイルス(RSV)感染症。RSV感染症には重症化に至るリスクがあり、時には突然死につながる疾患であることは、あまり知られていません。アッヴィ合同会社が2歳以下の乳幼児を持つ父親、母親およそ1,000人を対象に行った調査では、RSV感染症を「どのような病気か知っている」と答えたのはおよそ3割。さらに重症化のリスクを認識している親は、わずか2割にとどまることが判明しました。

 アッヴィが10月1日に開催したメディアセミナーで「ちょうどいま、RSVは流行っています。私が勤務する病院にも2歳以下の乳幼児が週に3、4人入院しています」と語るのは、多摩北部医療センター小児科部長の小保内俊雅先生。さらに、「インフルエンザと同じように、RSVは生涯にわたって感染する恐れのある病気です。一方、インフルエンザと同じように重症化するおそれがあることは、あまり知られていません」と語ります。

 「PICU(小児集中治療センター)に入る呼吸器感染症の原因は、RSVがトップです。ウイルスが(気管や肺など)下気道まで侵入し呼吸がうまくできなくなる、ぜんそくのような反応を起こします。また、神経にも作用することから熱性けいれんを起こすこともあります。他のウイルスによるけいれんよりも長く続いたり、一日に何度もけいれんを起こすことがあります」と小保内先生。さらには、脳炎・脳症、心筋炎、無呼吸発作を起こすこともあるといいます。「無呼吸発作は生後3か月未満で起きます。感染初期から回復期に至るまで、どんなときにも起こりうる恐ろしい症状です」(小保内先生)

時に乳幼児の突然死を引き起こすRSV、その対策法は?

 3か月未満の子どもで起こる無呼吸発作以上に怖いのがRSV感染に伴う突然死です。小保内先生によると、乳幼児突然死症候群(SIDS)の患者さんに、RSV感染症していたという報告がよくあるといいます。そしてRSV感染症による突然死の特徴として、3歳未満まで発症する可能性があるという点があげられます。小保内先生は「厚生労働省は『1歳未満の子どもに起こった突然死』とSIDSを定義していますが、RSVによる突然死は1歳以降に起こることが少なくありません。そして、無呼吸発作と同様に、軽症の子どもでも発生することがあります」とその危険性を示唆します。

 RSV感染による突然死の原因は、致死性の不整脈が誘因と考えられています。「SIDSはうつ伏せ寝などによって呼吸ができなくなることが主な原因と考えられていますが、すべての死因が窒息というわけではありません。RSV感染症による突然死は、心臓死が先に発生しますので、『1歳を過ぎたから寝返りが打てるようになるから大丈夫』ということは、メカニズムとして全く関係ありません。また、SIDSの好発時期から外れてしまっているため、1歳半、2歳代の子どもが突然死するという理解が無く非常に危険です」と、小保内先生は乳幼児の突然死に誤解がある現状を語りました。

 現在、RSVの感染を防ぐワクチンはありません。RSVが体内で増殖することを防ぐお薬はありますが、あくまでも重症化を防ぐとこが目的であり、感染を防ぐことはできません。また、このお薬が保険適応となるのは最も感染リスクが高い早産児や先天性心疾患の子どもだけです。

 では、RSVにはどのような対策を講じたらよいのでしょうか。「まず、なんといっても手洗いとうがいです」と小保内先生。基本的なことですが感染症対策では欠かせない予防法です。アルコールティッシュなどでこまめに消毒することも有効。さらに子どもへの感染拡大を防ぐため、「少しでも鼻水や咳が出ている人はかならずマスクをつけるようにしていただきたいと思います。また、感染が拡大しているときには乳幼児を連れた不要不急の外出は避けましょう」と、自らを守ることはできない子どもたちのために、周囲の大人たちがこのような対策を徹底するよう呼びかけました。(QLife編集部)

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