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[ヘルスケアニュース] 2016/10/05[水]

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死菌混入の肉や乳製品を口にすることがリスクに

画像はリリースより

 脳や脊髄、視神経などに病変が起こり、多様な神経症状の再発と寛解を繰り返す神経難病、「多発性硬化症」。落語家の林家こん平さんが発症し、その闘病風景がテレビで放送されたことで、初めて目にした方もいるかもしれません。欧米人に多い病気とされ、日本の患者数は10万人あたり15人前後にとどまっていますが、実は40年間で20倍に急増しています。

 この多発性硬化症について、順天堂大学大学院医学研究科神経学講座のグループが、イタリア・サルデーニャ島にあるSassari大学や国内の獣医学者と共同で、「ヨーネ菌」と呼ばれる家畜の抗酸菌感染症の原因菌に着目した研究を行いました。

 家畜のヨーネ菌感染率が高いサルデーニャ島では、多発性硬化症患者が10万人あたり224人と発症率が非常に高く、これまでもヨーネ菌との関連が疑われてきました。ヨーネ菌に家畜が感染すると慢性下痢症の腸炎を発症しますが、ヒトはヨーネ菌の終宿主ではないため、慢性下痢症は起こしません。しかし、感染家畜の肉や乳製品などに混ざった「死菌」を口にすることで、刺激に反応しやすい状態になると考えられてきました。

特定のHLAタイプが発症リスクを高める

 今回の研究では、日本人の健常者50人、多発性硬化症患者50人と、多発性硬化症の疑いがある患者12人、他の脳神経疾患患者30人を対象に、血清の感染因子とヨーネ菌の抗原に対する免疫の反応を測定し、統計解析を実施。多発性硬化症の患者は、ヨーネ菌の特定部位において30%と、非常に高い陽性を示す結果となり、サルデーニャ島の患者と同頻度であることがわかりました。

 さらに、白血球の血液型である「HLA」遺伝子に関して、サルデーニャ島の患者を解析。その結果、「HLA DR/DQ」を持っている場合、ヨーネ菌の特定部位に対する抗体陽性率が高いことが判明しました。HLA DR/DQの組み合わせは、日本人患者でも多いことが報告済みで、このHLA型遺伝子を持っている場合は人種に関わらず、ヨーネ菌の特定部位に対する抗体陽性の頻度が高いことが予想されます。

 これらの結果から、多発性硬化症の発病にヨーネ菌死菌の経口摂取が関連しており、特定のHLAを持つ場合は、死菌が混入した肉や乳製品を口にすることで発症リスクが高まることが明らかになりました。現在、ヨーネ菌においては実用的なワクチン療法はなく、化学治療も難しいとされています。しかし、肉や乳製品に混ざった死菌の徹底した排除や、家畜飼育業者への啓発活動などを行うことで、発症や患者数の増加を抑えることができる可能性はあります。今回の研究成果が、多発性硬化症の予防や治療法の開発につながる第一歩になることが期待されます。(菊地 香織)

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