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[ヘルスケアニュース] 2016/10/18[火]

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抗ウイルス薬開発につながる大きな成果

画像はリリースより

 九州大学、筑波大学などの共同研究グループは、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の原因ウイルスであるムンプスウイルスがヒトに感染するために使う受容体の構造を解明したと発表しました。同時に、受容体とウイルス糖タンパク質が結合した状態を原子レベルで可視化することにも成功しており、既存のワクチンの改良や、抗ウイルス薬開発への道が開かれたと期待が寄せられます。

 おたふくかぜは、国内でも小児を中心に毎年数十万人が罹患する全身性ウイルス感染症。4年に1度のペースで全国規模の流行を繰り返しますが、抗ウイルス薬はなく、対症療法が治療の中心となっているのが現状です。

 怖いのはさまざまな合併症を引き起こすことで、特に入院加療を要する髄膜炎は患者全体の1~2%が発症。また、成人男性が急性精巣炎になると不妊症につながる恐れもあり、大人になってからの感染には注意が必要です。予防接種は任意接種のため、接種率は20%以下と低く、無菌性髄膜炎やムンプス脳炎といった副反応も低頻度ながら報告されています。

ムンプスウイルスに再感染する理由も判明

 今回の研究は、ウイルス学的実験だけでなく、構造生物学的実験とコンピューター科学計算、生化学的実験を組み合わせて行われ、ムンプスウイルスがヒトに感染するために使う受容体が単なる「シアル酸」ではないことを解明しました。受容体にウイルスの表面にある糖タンパク質HNが結合することで、ウイルスはヒトの細胞に侵入しますが、その構造を原子レベルで可視化することにも成功。受容体が“鍵”、ウイルス糖タンパク質HNが“鍵穴”という関係にあることから、詳細な結合様式が明らかになることで、抗ウイルス薬の開発が前進すると考えられます。

 さらに、今回の研究では、12種類あるムンプスウイルスの遺伝子型間で、ウイルス糖タンパク質HNのアミノ酸配列の違いが特に大きい領域に、抗体ができやすいことも明らかになりました。抗体がウイルス感染を阻害できる全ての遺伝子型に共通な部位にできにくいことを示しており、既感染者やワクチン接種者が再び感染してしまう理由の1つとしています。

 HIVやインフルエンザウイルスなどでは、ウイルス糖タンパク質の原子レベルの形に基づいたワクチンや抗ウイルス薬の開発・改良が進められています。同研究の成果により、おたふくかぜについても同様の手法での開発・改良の道が開かれたと言えるでしょう。研究グループは「時間はかかりますが、ヒトの健康への貢献を目指して研究を進めており、今回の成果がその一翼を担うことを期待しています」と話しています。(菊地 香織)

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