[ヘルスケアニュース] 2017/01/11[水]

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関連する血中代謝物20種類を同定


画像はリリースより

 抑うつ症状(気分の落ち込み)がある患者の血液から、抑うつ重症度に関連する20種類の血中代謝物を同定したと、九州大学などの共同研究グループが発表しました。微量の血液成分から複数の代謝物を同時計測できる解析を行うことで発見したもので、採血による重症度の客観的評価法の開発に大きく貢献することが期待されます。

 うつ病は、抑うつ症状のほか、意欲低下や罪悪感などさまざまな症状が現れる精神疾患として知られています。重症になると、自殺念慮(死にたい気持ち)という症状から自殺に至ることもあり、治療において重症度の評価は不可欠とされています。

 しかし、現状は、精神科医が行う心理検査「ハミルトンうつ病評価尺度」やアンケート式による「PHQ-9」という抑うつ重症度評価尺度が一般的です。いずれも患者の主観的な訴えや態度に基づいているため、評価が難しい症例もあり、より客観的な評価法の開発が求められています。

自殺念慮の有無を予測するアルゴリズムも開発

 研究は、九州大学病院、大阪大学医学部付属病院、国立精神・神経医療研究センター(各機関の連携病院・クリニックを含む)を受診した患者を対象に実施。まず、患者に対してハミルトンうつ病評価尺度とPHQ-9を行い、抑うつ重症度を評価しました。次に、患者の血液成分をメタボローム解析で分析し、100種類以上の血中代謝物を計測しました。

 これらの血中代謝物と抑うつ重症度の相関を調べた結果、重症度に関連する代謝物20種類を同定することに成功。さらに、各症状に関連する代謝物が異なることも発見しました。例えば、自殺念慮に関しては、脳内免疫細胞ミクログリアとの関連が示唆されるキヌレニン経路の代謝物が強く関わっていることがわかりました。また、人工知能にも使われる技術を導入し、数種類の代謝物情報から自殺念慮の有無や強さを予測するためのアルゴリズムも開発しました。

 うつ病治療は、早期発見・早期介入が重要です。研究グループは「今回の成果を手がかりとし、採血による簡便な客観的評価法が開発されることで、精神科以外の医療機関や健診などで抑うつ状態のスクリーニングが可能となり、将来的に国民全体の精神健康へ貢献することが期待されます」とコメントを寄せています。(菊地 香織)

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