[ヘルスケアニュース] 2017/03/15[水]

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日米欧5か国で共同治験

 かけばかくほどかゆくなる…。こうした悪循環に悩まされるアトピー性皮膚炎。なかなか治らない、しつこいかゆみが特徴で、アレルギー体質の人や、皮膚のバリア機能が低下している人に多くみられる皮膚の病気です。

 今のところ、かゆみをピタッと止める“特効薬”はなく、ステロイド外用薬などでかゆみを軽減する「対症療法」が主な治療法となっています。かゆみの発生には、サイトカインの一種「インターロイキン-31(IL-31)」が関与していることがわかっており、IL-31を標的としたかゆみの治療戦略が期待されてきました。

 このたび、京都大学大学院医学研究科の椛島健治教授、九州大学、東京逓信病院らがドイツ、アメリカ、イギリス、ポーランドの研究機関と共同で、治療薬として開発中の抗IL-31受容体ヒト化モノクローナル抗体「nemolizumab」の安全性や有効性、最適な投与量などを調べる国際共同治験を行いました。nemolizumabは、IL-31と結合する受容体IL-31RAのみを標的とするヒト化モノクローナル抗体で、これらの結合を阻害することで効果を発揮します。

睡眠の質も向上

 対象は、国内外のアトピー性皮膚炎患者264人。いずれも、軟こうなどの外用剤では十分な治療効果が得られない中程度から重症の患者です。治験では、投与量の異なる4つのnemolizumab群と、比較のためのプラセボ(偽薬)群に約50人ずつ分けて、どのグループも薬剤またはプラセボを12週間に渡って皮下投与しました。その結果、かゆさ、アトピー性皮膚炎の重症度とも、プラセボ群に比べてnemolizumab群で改善効果が認められました。

 さらに、アトピー性皮膚炎の患者は、かゆみのために寝付くまで時間がかかり、夜中にかゆくて目が覚めてしまうことが知られています。そこで、今回の治験では睡眠についても検証。すると、投与後3週後には、安眠している時間がプラセボ群に比べて、nemolizumab群では40~50分長くなることも明らかになりました。

 治験では、nemolizumabによる重篤な副作用は確認されず、かゆみ抑制効果があることが確認されました。さらに、睡眠の質が上がったことから、患者のQOL(生活の質)向上にも役立つことが示されました。今後、IL-31の制御がアトピー性皮膚炎の新たな治療手段となることや、さらなるQOLの向上につながる可能性が期待されており、アトピー性皮膚炎の患者さんに“朗報”が届く日も遠くないかもしれません。(菊地 香織)

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