[ヘルスケアニュース] 2017/03/17[金]

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効率的な運動療法を検証

 食習慣の欧米化と運動不足に伴って、肥満人口が増えるなか、肝機能に異常がある成人が急増しています。背景にあるのが、糖尿病や肥満などの生活習慣病に起因する「非アルコール性脂肪性肝疾患」、いわゆる“脂肪肝”の増加です。脂肪肝の治療は、食事療法や運動療法が基本となりますが、運動に関しては肥満改善効果が少ないこともあり、これまではあまり注目されていませんでした。

 筑波大学医学医療系の正田純一教授、同体育系の田中喜代次教授らによる共同研究グループでは、運動療法の種類と強度の違いが、脂肪肝での肝脂肪蓄積と肝の硬さに及ぼす影響を検討する臨床試験を通して、効果的な運動プログラムを探りました。

 対象となったのは、運動習慣がなく、脂肪肝をもつ中年の肥満男性61人。ランダムに3つのグループに分けて、レジスタンストレーニング(RT)、高強度インターバルトレーニング(HIAT)、中強度持続性トレーニング(MICT)をそれぞれ1週間に3回、12週間に渡って実施してもらい、ランダム化比較試験を行いました。

HIATのみ、肝硬度が減少

 RTは、筋肉に一定の負荷をかけて筋力を鍛える、“筋トレ”の一種。残りの2つは有酸素運動で、HIATはJAXA(宇宙航空研究開発機構)が宇宙飛行士向けに考案した自転車による訓練方法。13分間のインターバルプログラムで構成されており、消費カロリーは約180kcal。MICTは、自転車を40分間こぎ続ける訓練方法で、HIATの倍にあたる約360kcalを消費します。

 運動を行なった結果、脂肪肝の肝脂肪蓄積では、3グループ全てが同じぐらい減少しており、大差はみられませんでした。しかし、脂肪肝の肝の硬さと、異物や腸管細菌由来の内毒素を処理するクッパー細胞の機能についてはHIATのみ改善がみられ、脂肪肝の進行抑制に関わる抗酸化ストレス応答遺伝子の発現増加も認められました。

 このことから、HIATは、肝臓の硬さが増している進行した非アルコール性脂肪肝に対して有用な運動プログラムであることがわかりました。今後、大規模なサンプルサイズからなる臨床試験などが必要となりますが、同大では「大学で開催している減量教室などで、肥満、生活習慣病による脂肪肝の患者への医療支援ツールとして活用していきたい」としています。(菊地 香織)

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