[ヘルスケアニュース] 2017/04/07[金]

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特殊構造をもつ糖鎖に着目


画像はリリースより

 アルツハイマー病の発症原因のひとつ「アミロイドβタンパク(Aβ)」の蓄積に関わる特殊構造をもつ糖鎖「シアル酸修飾ケラタン硫酸糖鎖」を、名古屋大学大学院の研究グループが発見しました。同時に、この糖鎖を合成する酵素も明らかになり、酵素の働きを阻害することによる新たな治療法の開発が期待されます。

 アルツハイマー病患者の脳では、Aβが何らかの原因で重合して沈着します。その結果、脳内に「アミロイド斑」が形成され蓄積し、神経伝達に重要な「シナプス」の構造が脱落します。通常は「ミクログリア」という脳内の免疫担当細胞がアミロイド斑を貪食しますが、この能力が下がると、アルツハイマー病が進行してしまいます。

 研究グループでは、アルツハイマー病の進行に伴ってミクログリアで発現誘導される特殊構造をもつ糖鎖に着目。アルツハイマー病の病変および認知機能低下とどのように関わっているかを、アルツハイマー病モデルマウスと患者の脳を使って検討しました。

早期診断法の開発も期待

 「ケラタン硫酸」と呼ばれる糖鎖に着目して解析した結果、モデルマウスの脳において、ミクログリアの細胞表面に特殊な糖鎖が発現誘導されることが判明。この糖鎖は、ケラタン硫酸が「シアル酸」で修飾を受けた特殊な構造をもつ「シアル酸修飾ケラタン硫酸」で、特定の酵素によって合成されることも明らかになりました。

 さらに、モデルマウスでこの酵素を欠失させたところ、シアル酸修飾ケラタン硫酸糖鎖も消失。その結果、ミクログリアによるAβの貪食が進み、アミロイド斑の沈着が抑制されることが確認できました。モデルマウスだけでなく、患者さんの脳においても同様の現象が認められたことから、アルツハイマー病の進行を抑えることが可能となるメカニズムが解明されました。

 今後は、危険因子として同定されている複数のミクログリア分子とシアル酸修飾ケラタン硫酸糖鎖の関わりを明らかにすることにより、発症メカニズムの解明も加速すると考えられます。研究グループは「シアル酸修飾ケラタン硫酸糖鎖を合成する酵素に対する阻害剤や糖鎖中和抗体を用いた新規治療法の開発、さらに、糖鎖構造を指標にしたアルツハイマー病早期診断法の開発も期待される」としています。(菊地 香織)

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