[ヘルスケアニュース] 2017/12/01[金]

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人工関節手術受けた患者の62%「痛み感じなくなった」


帝京大学医学部附属病院整形外科教授 中川匠先生

 変形性関節症は、関節の軟骨と、その土台になっている骨が変性し、その結果として痛みや関節のこわばりが起こる病気です。股関節や膝関節に起こり、変形性膝関節症が進行するとO脚になるなど、外見からも足が変形していることがわかるようになります。痛みやこわばりで、動くことが億劫となり、生活範囲が狭くなるだけでなく、引きこもりがちな生活からうつ症状を呈する人も。健康で、自分の足で立って歩ける人生を送るために、関節の症状が重症化する前に、適切な治療を受けることが勧められます。

 日本ストライカー株式会社は、膝・股関節の疾患で人工関節手術の提案を受けた全国40~69歳の男女560人を対象に、人工関節置換術に関する調査を実施。2017年11月24日にメディアセミナーを開催し、調査結果を紹介するとともに、帝京大学医学部附属病院整形外科教授の中川匠先生と、神戸海星病院リウマチ・人工関節センター長の柴沼均先生が講演しました。

 日本における変形性膝関節症の患者は推計2530万人。股関節や膝関節の人工関節手術を受ける患者も増えています。人工関節手術を受けた患者のうち、手術後、「まったく痛みを感じなくなった」と答えたのは62.2%で、痛みの改善を実感している人が多いことがわかりました。「階段の上り下り」「30分以上歩くこと」「重たいものを持ち上げること」など、手術前には痛みが辛かった動作も、痛みを感じると答える割合が大幅に減少し、手術によって大幅に改善していることが示されました。「この結果は、実臨床で診ている患者さんの様子とも一致しており、実情を反映しているといえます」と中川先生。

 さらに、人工関節手術を前向きに考えるようになったきっかけを尋ねたところ、「提案した医師」(72.9%)との回答が多かったことから、中川先生は「我々医師の責任が大きいことを改めて感じました。手術が必要な患者さんには、しっかり説明しなければ」と述べました。「痛みをがまんしている患者さんはかなりいます。手術で痛みがなくなり、活発さを取り戻すことができれば、介護が必要な人も減るでしょう」(中川先生)

コンピュータがナビゲートして「神の手」クラスの熟練ワザを実現


神戸海星病院リウマチ・人工関節センター長 柴沼均先生

 柴沼先生は、人工膝関節手術を受けて、海外旅行を楽しんでいる80代女性や、人工股関節手術を受けて、趣味のダイビングを満喫している50代女性の例を紹介。患者が満足する手術を行うためには、「人工関節にすると、してはいけない姿勢や動作がたくさんある」という誤解を解くことや、身体の中で人工関節がどのように動くのかをよく観察し、適切な位置に人工関節を入れる技術が必要だと述べました。

 人工関節の手術では、コンピュータによる「ナビゲーションシステム」が使われ始めています。このシステムでは、実際の患者の関節を写したCT画像と、手術で入れる人工関節のデータを3次元で解析し、どの人工関節をどこに入れるべきかを判定。さらに手術中にも、1ミリ単位、1度単位の、肉眼ではわからないほどの正確さで人工関節を入れる医師の手技をナビゲートします。「以前なら、神の手を持つ熟練の医師でなければできなかった正確さで、誰もが手術できるようになっています」と柴沼先生。術後の合併症もかつての3分の1に減っているといいます。さらに将来的には、手術支援ロボットが人工関節手術を行う時代も、もうすぐそこまで来ているとか。「ナビゲーションシステムがカーナビなら、手術支援ロボットは自動運転車。リスクを冒す前に止まってくれます。患者さんに安全で正確な治療を提供できるようになってきています」(柴沼先生)

 人生100年の時代。いつまでも元気に歩いていられるように、人工関節手術という選択肢があることを、覚えておくとよいかもしれません。(QLife編集部)

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