[ヘルスケアニュース] 2017/12/06[水]

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月経回数の増加で増える子宮内膜症患者、不妊・がんのリスクにも


東京大学大学院医学系研究科 産婦人科学講座 准教授
甲賀かをり先生

 月経中に起こるお腹の痛みや腰痛、いわゆる「生理痛」をがまんしていませんか。20~49歳の女性1,000人に生理痛の程度を尋ねた調査では、3人に1人が「ひどい」生理痛に悩んでいるという結果が出ています。生理痛など「月経困難症」を訴える女性のうち、約25%が「子宮内膜症」と診断されています。子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所に発生し、月経が起こるたびに増殖、悪化する病気です。バイエル薬品株式会社は11月30日、子宮内膜症に関する勉強会を開催。東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座准教授の甲賀かをり先生が講演しました。

 子宮内膜症の患者数は、国内では推定260万人といわれ、年々増加傾向。過去40年間で約30倍に増えているとのデータもあります。その背景には、「女性のライフスタイルの変化が関係している」と甲賀先生。昔の女性に比べて現代女性は初経が早まって閉経が遅くなったうえ、晩婚・晩産化、少産化の傾向にあり、生涯を通じた月経回数が増えています。そしてこの月経が、子宮内膜症の原因となると考えられています。

 子宮内膜症の主な症状は、「痛み」と「不妊」。日本子宮内膜症協会が行った患者調査によれば、症状の頻度は、月経困難症(生理痛)が約90%、排便痛が約60%、不妊・性交痛がそれぞれ約50%でした。また、不妊女性の約30~50%が子宮内膜症ともいわれ、子宮内膜症の治療と不妊治療の間でジレンマを抱える女性も。さらに、「子宮内膜症でない人に比べて、子宮内膜症患者さんの卵巣がんの発生率は約8.95倍。年齢が上がるほど上昇します」と甲賀先生。卵巣がんを予防するためには、卵巣の全摘手術が望ましいと考えられます。妊娠を希望する患者さんは、“がんの予防”と“妊娠の希望”どちらを優先するかの選択を迫られることにもなりかねないのです。

気軽に相談できる産婦人科の“かかりつけ医”を

 甲賀先生によれば、「子宮内膜症の患者さんは、症状が進行してから受診する方が多い」とのこと。日本では、最初の症状が出てから子宮内膜症の確定診断がつくまでに平均7.5年かかるそうです。診断に時間がかかる理由は、患者さんの受診が遅れるため。子宮内膜症は、症状が進行すると治療が難しくなる病気です。「月経困難症、いわゆる生理痛を我慢せずに、早い段階で受診することが重要です」(甲賀先生)

 それでは、子宮内膜症を疑うサインにはどのようなものがあるのでしょうか。日本子宮内膜症啓発会議 子宮内膜症 Fact Noteによれば、「鎮痛薬が効かないほど月経痛がひどい」「徐々に月経痛がひどくなってきている」「月経以外のときでも下腹部痛がある」「性交時に腰が引けるほど痛い」「排便のときに痛みがある」「肛門の奥のほうが痛い」「なかなか妊娠できない」といった症状がある場合は、子宮内膜症が疑われるとしています。これらのうち、ひとつでも該当する場合には、がまんせず、すみやかに産婦人科を受診しましょう。

 最後に、月経痛などの症状がひどくなくても「20~25歳になったら、婦人科検診に行きましょう」と甲賀先生。知らないうちに子宮内膜症が進行していることもあるといいます。「気になったことを気軽に相談できる、産婦人科の“かかりつけ医”をつくってほしいですね」と締めくくりました。(QLife編集部)

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