[ヘルスケアニュース] 2018/02/15[木]

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肝硬変患者の30%が「潜在性肝性脳症(ミニマル肝性脳症)」の可能性も


奈良県立医科大学内科学第三講座(消化器・内分泌代謝内科)
主任教授 吉治仁志先生

 肝炎や肝硬変などの病気の進行で、アンモニアなどが肝臓で代謝できず脳に達することであらわれる「肝性脳症」。あすか製薬株式会社の推計によると、国内での肝性脳症患者は約3万人とされていますが、検査でもわずかな異常しかみられない「潜在性肝性脳症(ミニマル肝性脳症)」は肝硬変患者の30%が該当するとされており、潜在患者はより多くいるとみられています。

 重症では昏睡状態になる場合もあるこの肝性脳症について、あすか製薬株式会社が都内でプレスセミナーを開催。奈良県立医科大学内科学第三講座(消化器・内分泌代謝内科)主任教授の吉治仁志先生が、肝性脳症の具体的な症例や認知症との判別、今後期待される治療変革の可能性について講演しました。

特徴的な手のふるえ「羽ばたき振戦」

 肝性脳症患者さんの訴えとして、「頭がボーッとする」「足がつまずく」「うまく字がかけない」、家族からは「目つきがおかしい」「おかしなことを言う」「食事をとらない」といったことがあります。肝性脳症は、睡眠異常、見当識障害、異常行動、もの忘れなど認知症やうつ病と症状が似ているため、見過ごされる場合があると吉治先生は言います。

 また、羽ばたき振戦という特徴的な手のふるえがあらわれることも。

  1. 腕を前に出し、手のひらを下に向ける
  2. 手首を反らせて、その手のひらを目の前の人に見せるようにする

 羽ばたき振戦があると、手のひらを上に向けていることができず、パタパタと倒れてしまいます。

 認知症疾患診療ガイドラインでは、認知症との鑑別が必要な疾患(全5疾患)のひとつとして、肝性脳症が挙げられています。「肝性脳症の場合、認知症やうつ病の治療をしても症状は改善されません。肝臓専門医による肝機能検査などの判別が重要です」(吉治先生)

 肝性脳症の治療について、「海外で30年以上前から使用されていた薬が、日本でも使えるようになり、入院や通院などの患者さんの負担が減りました」と吉治先生。「認知症と診断されている患者さんのなかにも、こういった病気が隠れていることがあります。日本全国の病院と、日本人における難吸収性抗菌薬リファキシミンの長期投与について共同研究を進め、しっかりとエビデンスを出して、肝性脳症を含めた肝硬変患者さんの予後を改善していきたい」と締めくくりました。(QLife編集部)

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