[ヘルスケアニュース] 2018/02/27[火]

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治療し無発作が2年以上続くなど、条件を満たせば可能


自治医科大学 臨床医学部門 脳神経外科学 主任教授
川合謙介 先生

 2014年に改正・施行された「道路交通法」では、運転免許の取得や更新の際に、病状を偽って申告し、「正常な運転ができないおそれがある状態」であるにもかかわらず運転を続け事故を起こした場合の量刑が重くなりました。てんかん患者さんのうち、運転に支障をきたす発作が起こる可能性が高いと判断された場合、この「正常な運転ができないおそれがある状態」に該当します。症状や発作の頻度について自己診断してしまい、「大丈夫だから」と運転したすえに事故を起こすと厳罰に処されることになります。

 てんかんの持病がある人が運転する車による事故は、マスコミでも大きく報道されがちで、てんかんと診断されたら運転できなくなる、と思っている方も多いかもしれません。しかし、事故の報道が大きく報じられる一方、きちんと治療をして発作がない期間が2年以上続いているなど、条件を満たせば、てんかん患者さんでも再び自動車運転免許証を持てるようになることはなかなか伝えられていないのが現状です。こうした、「てんかんと自動車運転」について正しい情報を広めるため、てんかんの治療薬を製造販売する製薬会社ユーシービージャパン株式会社は2月21日に都内でプレスセミナーを開催しました。

 平成27年度に警察庁が行った調査によると、てんかん患者さんのおよそ8割は、主治医から運転に関する説明や助言を受けたことがあると回答しています。しかし、説明を受けていない・説明されたことを覚えていないという患者さんが2割を占めていました。これについて、自治医科大学脳神経外科・てんかんセンターの川合謙介先生は「説明があっても、運転を禁止されるだけで、運転できない代わりに利用できる福祉サービスがあることや、治療で発作が抑えられれば、運転免許証を再発行してもらえることまで、しっかり説明しきれていないケースもある」と話します。

発作が再発しないために、生活も服薬も規則正しく

 「道路交通法」と同時に改正された「自動車運転死傷行為処罰法」では、自動車運転免許証を交付する警察や公安委員会に対し、発作によって意識障害や運動障害が起こる病気の人には免許を与えないこと(運転免許の取消)が定められました。ただし、てんかん患者さんの全員がこれに該当するわけではありません。てんかんと診断されて一度は自動車運転免許証が取り消されても、道路交通法の定める「正常な運転ができないおそれがある状態」にならないことがわかれば、再び免許を取り直すことができます。そのために必要な条件は、「目が覚めている間に、意識や運動が障害される発作が2年以上ないこと」。治療によって発作が抑えられているなら、自動車の運転ができるようになるのです。

 てんかん発作を抑える抗てんかん薬は、患者さんにあった薬でなければ、めまいやふらつきなどの副作用が起こることもあり、「副作用があるために薬の服用をやめてしまう患者さんもいる」と川合先生。しかし、専門の医師でなければ、患者さんにあった薬の処方も難しいのが現実といいます。「自己判断で服薬をやめずに、てんかんの専門医に相談してほしい」(川合先生)

 しばらく発作がなかったのに、発作が再発してしまったという場合は、運転免許を持っていても「正常な運転ができないおそれがある状態」。自動車の運転は絶対にやめましょう。お薬を変えるなど治療を見直すことや、どのくらいの期間運転をやめればよいかについては、必ず主治医と相談を。「発作が再発しても、薬を調整したり、外科治療をすることで、発作がなくなり、運転できるようになる可能性もあります」と川合先生。また、発作がなくなって運転免許を取り戻した後も、発作が再発しないよう、規則正しい服薬と規則正しい生活が大切です。「発作が再発する誘因となるのは、薬の飲み忘れ、睡眠不足や疲労、ストレスの蓄積や発熱、女性の場合は月経など。これらの条件が重ならないように注意して、これらの条件が重なってしまった場合は運転しないようにしましょう」(川合先生)

(QLife編集部)

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