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[ヘルスケアニュース] 2019/11/08[金]

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慢性疼痛治療、多面的な治療が重要に


(左)から牛田享宏先生、伊達久先生

 けがの痛み、神経痛、ストレスによって現れる痛みなど、痛みの種類はさまざま。中でも、3か月以上続く痛みを「慢性疼痛」と言い、日本では1700万~2350万人もが慢性疼痛を抱えて生活していると国内調査により報告されています。さらに、慢性疼痛の中でも、原因不明の痛みや、原因がわかっても治療で改善できないような痛みを「難治性慢性疼痛」と呼びます。症状が改善されない場合、痛みは日常生活や仕事に支障を来たし、さらにそのことが精神的な負担になり痛みがより悪化してしまうこともあります。

 ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社は10月31日、難治性慢性疼痛の治療をテーマに都内でプレスセミナーを開催。同セミナーでは、愛知医科大学医学部学際的痛みセンター教授/運動療育センターセンター長の牛田享宏先生と仙台ペインクリニック院長の伊達久先生が講演を行いました。

 慢性疼痛の治療では、多くの場合、薬物療法やリハビリテーションが行われています。しかし、このような治療で痛みがなかなか改善しない患者さんの中には、サプリメントなどの民間療法を選択し、さらに痛みを悪化させてしまう人もいるのだそうです。このような事態を防ぐためにも、「慢性疼痛の治療では、薬物療法やリハビリテーションを含めた多面的な治療が重要です」と、伊達先生。慢性疼痛では、身体的な問題だけなく、心理社会的な問題が関わっていることも多いのだそうです。そのような場合に治療として行われるのは、心理的アプローチです。伊達先生は「認知行動療法」を、ストレスと上手に向き合っていくために心の状態を整える心理療法のひとつとして紹介。「認知行動療法は、慢性疼痛の治療として保険適応になっていないことが課題ですが、慢性疼痛治療ガイドラインでも治療法として推奨されていることから、複数の学会から保険適応の要望が出ている状況です」と、説明しました。

 続いて、伊達先生は、神経ブロックによる治療や、外科手術よりも患者さんへの負担が少ない低侵襲手術などを紹介しました。神経ブロックは、一時的または長期間にわたり神経機能を停止させることで痛みを軽減させる治療です。また、低侵襲手術には、内視鏡による手術や脊髄刺激療法などがあります。脊髄刺激療法は、脊髄に微弱な電気を流すことで痛みを和らげる治療のこと。脊髄を通じて脳に伝わる痛みの信号を、伝わりにくくする効果があります。

 このように、慢性疼痛治療にはさまざまな治療法があり、今後はこれらの治療を組み合わせた集学的な治療が広まることが期待されます。

さまざまな診療科の医師や看護師などによるチーム医療の必要性

 牛田先生は、慢性疼痛治療における課題や今後の展望について講演しました。慢性疼痛に悩む患者さんは、さまざまな診療科を受診することが多い傾向にあります。例えば、最初、整形外科を受診したものの、症状が改善されなかったので、心療内科や精神科、ペインクリニック科を受診するといったケースです。しかし、このように患者さんが異なる診療科を受診するケースでは、医療施設側の連携がとれていない現状があるのだそうです。牛田先生は、「慢性的な痛みの治療は、精神科、整形外科といった診療科の垣根を越えてチームで行っていくことが大切」とコメント。現在、全国の大学病院を拠点に、診療科の垣根を越えて、慢性疼痛治療を行う取り組みが始まっていることを紹介しました。この取り組みでは、整形外科や心療内科の医師はもちろん、歯科医師や看護師、臨床心理士、理学療法士、作業療法士など、さまざまな医療スタッフがチームを組み、患者さんの症状を改善するために活動しています。

 その他にも、牛田先生は「ペインキャンプ」という入院型のプログラムを事例として紹介。ペインキャンプでは、運動療法や認知行動療法などさまざまなプログラムを集中的に実践するため、痛みによって仕事を休まざるを得なかった患者さんが、仕事に復帰できた例もあったそうです。牛田先生は今後について、「このような取り組みを全国に広めていき、痛みに悩む多くの患者さんが治療を受けられる体制を整えていくことが必要です」と、述べました。

 このように、慢性疼痛治療は日々進歩しています。「どうせ、良くならないから…」と諦め、我慢して痛みを抱え続けている方は、新たに病院を受診してみてはいかがでしょうか?厚生労働省慢性や痛み医学研究情報センターが運営するWEBサイト「慢性の痛み情報センター」では、慢性的な痛みを専門とする医療施設などを紹介しています。改めて専門医に診てもらうことで、症状の緩和につながるかもしれません。気になる方は、まずは医療施設を探すことから始めてみましょう。(QLife編集部)

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