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[ヘルスケアニュース] 2019/12/06[金]

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国内有病率10万人に1人の希少疾患「脊髄性筋萎縮症(SMA)」


東京女子医科大学医学部名誉教授・特任教授
臨床ゲノムセンター所長
齋藤加代子先生

 日本では、患者数が国内で5万人未満の病気を「希少疾患」と言います。希少疾患は、患者数が少ないことから、治療法の開発がなかなか進まない、専門医が少なく診断・治療が遅れるなど、さまざまな課題があります。また、多くの希少疾患は遺伝によるものであると知られており、幼児期に発症することが多く、患者さんは生涯にわたり障害を抱える可能性も。そのため、希少疾患に対する社会の理解はとても大切です。一方で、多くの人々が希少疾患について知る機会を得られず、患者さんやその家族に対するサポートも十分とは言えないのが現状です。

 中外製薬株式会社は、希少疾患患者さんの抱える悩みや課題を発信し、解決を目指すことを目的とした患者さん支援プロジェクト「SPOTLIGHT」を立ち上げ、活動を行っています。同プロジェクトの一環として、同社は11月29日に「神経筋疾患と就労、改善への取り組み」と題したメディアセミナーを開催。東京女子医科大学医学部名誉教授・特任教授/臨床ゲノムセンター所長の齋藤加代子先生、株式会社仙拓代表取締役社長の佐藤仙務(ひさむ)さんらが講演しました。

 齋藤先生は、神経筋疾患の一種「脊髄性筋萎縮症(SMA)」をテーマに講演をしました。SMAは、日本における有病率が10万人に1人の希少疾患。神経筋疾患の中では、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と同じ「運動ニューロン病」という種類に分類されます。多くのSMAは、survival of motor neuron(SMN)というタンパク質をつくる「SMN1遺伝子」の異常によって発症することがわかっています。SMNタンパク質は、運動ニューロンが正常な機能を維持するために必要なタンパク質です。そのため、遺伝子の異常が原因で十分につくることが出来ないと、脊髄内の運動ニューロンが少しずつ消失し、筋肉が脳からの信号を受信できなくなります。その結果、筋力の低下や筋肉の萎縮などを引き起こします。症状が進行すると、思うように体を動かせなくなり、自分で呼吸することができない状況になる場合もあります。

 SMAは、主に、乳児期に発症し症状が重症な「I型」、乳児期から幼児期に発症する「II型」、幼児期から小児期に発症する「III型」、成人期に発症する「IV型」に分類され、発症年齢が早い型ほど重症です。症状は、型によってさまざまで、I型であれば、支えなしに座ることが出来ない、上手に飲み物を飲めない、呼吸がうまくできない、など。SMAは進行性の病気でもあることから、齋藤先生は「それぞれの型に特徴的な症状を見逃さずに、早く治療を開始することが大切です」と解説しました。

SMA患者の“寝たきり社長”が語る、「できない」を「できる」に変えるために大切なこと


佐藤仙務さん

 続いて、「ICT×障がい×起業・雇用『寝たきり社長』が問う『働く』ということ」と題して、佐藤さんが講演しました。SMA I型の佐藤さんは、現在、左手の親指と口だけが動く状態で、寝たきりの生活を送っています。「子どもの頃は、誰でも大人になったら、働くことが当たり前だと考えていました」と佐藤さん。しかし、佐藤さんは、就職活動の際に雇用してくれる所を見つけられなかったそうです。そこで、佐藤さんは、働くために自ら会社を起こすことを決意。2011年、19歳の頃に、WEBサイトの制作や名刺のデザインを行う「合同会社仙拓」(現在は、株式会社仙拓)を幼なじみと立ち上げました。現在、会社のメンバーの半数程度は、重度の障害がある人だそうです。「インターネットがつながる環境があれば、寝たきりの人であっても、パソコンを使って働くことができるんです」と、佐藤さんは語りました。

 また、これまでに佐藤さんは、会社の立ち上げ以外にもさまざまなことに挑戦し、夢を叶えてきました。佐藤さんの叶えてきた夢は、自身の体験を書籍にして出版すること、生まれ育った愛知県東海市の「ふるさと大使」を務めること、MBA(経営学修士)を取得すること、大学の講師を務めること、など、多岐に渡ります。「夢を叶えるために大切なことは、うまくいかなかったときに、できない理由ではなく、できる方法は何か?を考えること。そして、ひたすら行動し続けることです」と、佐藤さん。最近では、障害のある人がカウンセラーとなり、テレビ電話で高齢者とお話しする、介護予防サービスの実証を開始するなど、新たな挑戦も始まっています。佐藤さんは、「これからも、障害者の社会進出を応援できるように活動していきます」と、力強く述べました。

障害のある人がどのような状況に置かれているか、まずは知ることから始めよう


(左)から佐藤さん、大山さん、竹中さん、齋藤先生

 最後に、齋藤先生、佐藤さんに加えて、障害のある人が情報通信技術(ICT)に関する技術を身に付けるための支援を行う「プロップ・ステーション」理事長の竹中ナミさん、SMA患者さん・家族を支援する「SMA家族の会」会長の大山有子さんによる座談会が行われました。

 竹中さんは、障害のある人の就労が思うように進まない理由について、「重度の障害のある人に仕事ができる、と思っている人がそもそも少ないと思う」と、考えを述べました。その他、4人の登壇者から、障害のある人の雇用を行っている企業であっても職場のバリアフリーが進んでいないことや、障害のある人は基本的に経済活動中のヘルパー利用ができないことなど、さまざまな課題が挙げられました。このような課題を解決していくためにも、齋藤先生は「まずは、障害のある人がどのような状況に置かれているかを多くの人々に知ってもらうことが大切です」と述べました。

 また、「企業側も、障害者を雇うことへの不安があると思います」と大山さん。企業側の不安を解消するために、「雇用研修やコンサルタントの導入などを通じて、企業側の不安を解消することも大切なのではないか」とお話しされました。息子さんがI型のSMA患者である大山さんは、佐藤さんのような若い世代の障害のある人の活躍にも触れ、「(佐藤さんの活躍が)障害のある子どもたちの、将来への希望になってもらえたら」とコメントしました。

 SMA患者さんのように、症状の進行によっては障害を抱えて生活することを余儀なくされ、働きたいと思っても、なかなか働くことができない患者さんたちがいます。障害のある人が当たり前に働くことができる社会を目指して、まずは、SMAのような希少疾患患者さんがどのような状況に置かれているのか、どんな悩みを抱えているのかを知ることから始めてみてはいかがでしょうか。(QLife編集部)

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