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[ヘルスケアニュース] 2020/02/10[月]

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出血が止まりにくくなる遺伝性の希少疾患「血友病」


東京医科大学臨床検査医学分野教授
天野景裕先生

 毎年2月の最終日は、希少・難治性疾患の患者さんの生活の質の向上を目指した啓発イベントが開催される、世界希少・難治性疾患の日(Rare Disease Day:RDD)。2020年は、2月29日がRDDです。この日を前に、RDD日本開催事務局とファイザー株式会社は2月4日、希少疾患のひとつ「血友病」をテーマにセミナーを開催。東京医科大学臨床検査医学分野教授の天野景裕先生、血友病患者の鈴木幸一さんらが講演しました。

 血友病は、出血を止めるために必要な「血液凝固因子」という体内物質が生まれつき不足していることで、出血が止まりにくくなる遺伝性の病気です。12種類見つかっている血液凝固因子のうち、第VIII(8)因子が不足している場合を「血友病A」、第IX(9)因子が不足している場合を「血友病B」といいます。血友病は、その遺伝形式から、症状の現れる患者さんのほとんどが男性です。女性では、遺伝子の異常を持っている場合でも、血友病を発症せず「保因者」となるケースが多く、日常生活での出血症状で診断されることはあまりありません。日本国内の患者数は、血友病Aが5,301人、血友病Bが1,156人と報告されています(血液凝固異常症全国調査 平成30年度報告書より)。

 血友病患者さんは、通常であればいつの間にか止まっているような出血を、気付かぬうちに繰り返してしまいます。例えば、関節内で出血を繰り返してしまうと、関節が動きにくくなったり、動かした時に痛みが出てしまったりする「血友病性関節症」になります。「出血を繰り返したことで生じる障害を残さないことが、血友病治療の目標」と、天野先生は説明しました。

 血友病の治療では、不足している血液凝固因子を補う「凝固因子製剤」という薬を使用します。凝固因子製剤を用いた治療では、薬の開発技術の進歩とともに、出血したときに行う「出血時補充療法」、運動するときなど出血する可能性がある行動をするときに事前に行う「予備的補充療法」が可能となり、現在では、出血の有無や活動内容に関わらず定期的に行う「定期補充療法」を行えるようになりました。また、最近では、凝固因子製剤の働きを弱める「インヒビター」という抗体のある患者さんであっても、治療効果が期待できる薬が登場しています。

「治療の進化で人生の楽しさが向上した」という患者さんも


鈴木幸一さん

 重度の血友病A患者である鈴木さんは「血友病治療薬の進歩により、生活のクオリティが格段に変化した」と、言います。例えば、定期補充療法を受け始めたことで、「大きな出血を起こすケースが激減し、安心して活動できるようになった」のだとか。以前であれば、血友病患者さんは、出血を避けるために思う存分運動することができませんでした。しかし、定期補充療法が当たり前になった現在では、友だちと一緒にサッカーを楽しんでいる患者さんもいるそうです。

 その他にも、以前は、凝固因子製剤の冷蔵保存が必要だったため、オフィスに冷蔵庫を設置してもらったり、保冷ボックスを持ち運んだりする必要がありました。しかし、室温保存が可能な薬の登場でその負担が解消され、以前よりも行動範囲が広まったそうです。このような変化を受けて、鈴木さんは「治療の進化で、人生の楽しさが向上したと思う」と、考えを述べました。

新たな治療も開発中、血友病患者さんが高いQOLを維持できる時代に

 確実に進歩している血友病治療ですが、さらに新しい血友病治療の開発も進んでいます。血液を固まりにくくするアンチトロンビン(AT)や組織因子経路インヒビター(TFPI)を阻害することで止血が期待できる薬の臨床試験が始まっているほか、生まれつき不足している血液凝固因子を自分で作れるようにする遺伝子治療の臨床試験も欧米を中心に進んでいます。遺伝子治療については2020年2月現在、日本でも臨床試験の準備が進んでいるそうです。

 このような血友病治療の進歩を踏まえ、天野先生は「医療従事者が血友病の管理をうまくサポートできれば、患者さんは高いQOL(生活の質)を維持できるようになった」と、コメント。患者さんが日本全国どの医療機関でも、同じように質の高い診療を受けられるように、血友病診療連携システムの構築も進んでいます。

 また、患者さんのよりよい治療環境をつくるために大切になるのが、患者さんを取り巻く社会の人々の理解です。「多くの方々に、血友病に関する最新の正しい知識や認識を持ってもらえたら」と、鈴木さん。皆さんも、2月29日のRDDをきっかけに、まずは血友病の最新情報を正しく理解することから始めてみてはいかがでしょうか。(QLife編集部)

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