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[ヘルスケアニュース] 2020/02/13[木]

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日本から発信するHIV感染症/エイズ治療の到達点と展望-メディアセミナー開催

 エイズ(AIDS)とは、日本語で後天性免疫不全症候群、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染により発症する疾患です。HIV感染者でも、免疫の低下により指標とされる23疾患のいずれか1つ以上を発症していなければエイズではありません。

 ヴィーブヘルスケア株式会社は1月31日、未治療の成人および小児HIV感染症患者さんを対象とした2剤療法薬「ドルテグラビルナトリウム・ラミブジン配合錠(製品名:ドウベイト配合錠)」の製造販売承認取得を機に、「日本から発信するHIV感染症/AIDS治療の到達点と展望~HIVと共に生きる人々の負担を軽減する、2剤療法製剤の意義を説く~」と題したメディアセミナーを開催。熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センターの松下修三教授と、同社メディカルアフェアーズ部の古賀一郎部門長による講演が行われました。

正しい知識のアップデートで、スティグマのない社会を実現


熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センター
松下修三教授

 HIV感染経路で最も多いのが、同性間の性的接触です。性的マイノリティへの偏見、HIV感染やエイズに対する正しい知識がない、検査オプションが少ないという課題もあり、エイズ発症前のHIV検査の受診が進んでいません。こうした現状を打開するためには、HIV感染とエイズに対する正しい知識をアップデートし、スティグマのない社会を実現することが大切だと松下修三先生は指摘します。

 「抗ウイルス療法の進歩により、HIV-1に感染しても、普通に生きられる時代になりました。早期治療を開始し、継続できればパートナーへの感染も起こりません。しかし、新規感染例は予想ほど減少していません。日本でもエイズを発症してから判明する症例が続いており、早期診断・治療開始に向け、HIV検査の選択肢を増やし、敷居を低くする必要があります。エイズの予防・治療の研究は今後も継続されることが重要です。エイズを含む性感染症の予防は、自己責任だけではなく、正しい知識のアップデートと性の多様性を受け入れる社会が求められます」

HIV陽性者の負担を軽減する2剤療法という新たな治療


ヴィーブヘルスケア メディカルアフェアーズ部門長
古賀一郎氏

 日本で初めてHIV感染者が報告されたのは1980年代で、当時は「不治の病」とされていました。その後、治療薬(逆転写酵素阻害薬)の開発により、HIV感染からエイズ発症や症状の進行を遅らせることはできるようになりましたが、効果が長続きしないことが課題でした。1996年、新たな治療法が確立され、HIV感染早期に治療を開始できれば、健常者とほぼ同じ寿命が得られるようになりました。

 しかし、HIV陽性者は生涯、薬を飲み続けなければならず、1996年に治療法が確立した当初は、多くの薬を毎日飲むというものだったそう。近年は、配合剤など治療法の進歩により1日1回の治療も可能になりました。一方、患者さんの高齢化により、合併症の増加、多剤併用による副作用、他の薬剤との相互作用、薬剤の耐性化、高額な治療費といった、長期投与によるさまざまな問題が残されています。

 現在は、逆転写酵素阻害薬2剤+異なる作用の1剤、計3剤服用する治療が主流となっています。しかし、ここからさらに1剤でも服薬量を減らすため、同社の2剤療法薬の可能性を検討する臨床試験が行われました。その結果、有効な結果が得られ、2020年1月に厚生労働省から製造販売承認を取得しました。古賀一郎部門長は、講演の中で、次のように述べています。

 「2剤療法薬は、有効性、安全性、薬剤耐性に対するバリアの高さを示し、欧州と米国のHIV治療ガイドラインで推奨療法に加えられました。生涯、抗HIV薬の服薬が必要なHIV陽性者にとっては治療費の負担も少なくすみます」(QLife編集部)

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