[ヘルスケアニュース] 2020/03/03[火]

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病態に合わせて治す“そけいヘルニア”とは―プレスセミナー開催


東京デイサージェリークリニックの柳健院長

 日本ベクトン・ディッキンソン株式会社と株式会社メディコンは2月18日、「病態に合わせて治す“そけいヘルニア”とは?」と題したプレスセミナーを都内で開催。東京デイサージェリークリニック院長で、日本医科大学外科非常勤講師の柳健(やなぎけん)先生による講演が行われました。

 そけいヘルニアは、日本で外科手術件数が多い疾患のひとつです。2014年6月に実施された社会医療診療行為別調査によると、ひと月に行われた消化器一般外科領域の手術のうち、虫垂切除術(盲腸)は約5,000件、痔の手術は約1万件でした。そけいヘルニアの手術は、痔の手術よりも多く、ひと月に1万2,000件近く行われていたことから、年間では15万件程度行われていると推計されています。

そけいヘルニアの手術法と種類

 そけいヘルニアは、一般的には「脱腸」と呼ばれる良性の病気です。加齢ともに下腹部から足の付け根(そけい部)の組織が弱くなり、本来おなかの中にある腹膜が袋状に飛び出してくることによって起こります。良性疾患で手術も比較的簡単に行なえますが、足の付け根という患者さんにとって恥ずかしい部分で起こるため、自己判断で治療を先延ばしにしたり、様子をみたりしてしまう傾向があります。

 そけいヘルニアの患者さんの状態や病態はさまざまです。性別、年齢、体型、体質、ヘルニアの大きさ、ヘルニアになってからの期間、基礎疾患の有無、下腹部の手術既往の有無などの違いにより、治療のしかたも異なります。そのため、一人ひとりの患者さんに合わせたテーラーメイド手術が行われています。

 従来の手術方法は、穴があいた部分を縫い合わせるものでしたが、縫い合わせた部分に突っ張りが生じ、術後に痛みが起こったり、突っ張った部分が裂け再発が起こったりすることがありました。

 現在は、「メッシュ法」と呼ばれる、穴を人工補強材のメッシュで補強する手術が主流となっています。メッシュを使った手術方法も数種類あり、メッシュの形や埋め込む場所の違いなど、患者さんの状態に合わせて選択されます。人間のおなかは表面から、皮膚、脂肪、筋肉、筋膜、脂肪、腹膜、腸管という構造になっており、メッシュ法の手術は皮膚を切るところから、メッシュを埋め込み、傷を閉じるまで、全8ステップで行われています。

 メッシュ法の中でも、「リヒテンシュタイン法」という手術方法は、ヘルニア穴の皮下脂肪と筋肉の間に平らなメッシュを埋め込み補強する方法で、主に腹膜と筋膜が剥離できないときに選択されます。表面の層に近いためメッシュを何か所も縫い付ける必要があり、ほかの手術法と比べると手術時間が長く侵襲度も高くなります。

 同じ平らなメッシュで補強する「アンダーレイ法」は、メッシュを筋膜と腹膜の間に埋め込むため、リヒテンシュタイン法に比べて縫い付ける数が少なくすみます。また、傘状のメッシュを筋膜の弱い部分に栓をするように埋め込み補強する「プラグ法」もあります。これらの手術は開腹で行われますが、この他にも、腹腔鏡で行う手術法などもあります。

安全性が高く手術時間が短い新しい概念の手術「オンステップ法」

 いま、新しいメッシュ法として、「オンステップ法」が注目されています。オンステップ法は、現時点では男性特有の「そけい管」にできた穴から起こるヘルニアが対象であるため、女性は対象外となっています。

 オンステップ法は、メッシュを埋め込む位置が、これまでのメッシュ法とは異なります。オンステップ法では、異なる層(筋膜と腹膜の間の層と皮下脂肪と筋肉の間の層)をまたいでメッシュを埋め込むのが特徴で、これにより、8手順かかるステップが6手順に短縮されました。手術ステップが簡便化されたため、手術時間も短く済むようになりました。手術成績から、安全性の高さも示されているそうです。

 柳先生は、オンステップ法について次のように述べました。「オンステップ法は簡便で、手術時間も短く、安全性の高い日帰り手術が可能です。この方法は”層をまたぐ”という、外科医にとっての今までの常識を覆す新しい概念から生まれた最新の手術法で、そけいヘルニア手術の1つの選択肢になります」(QLife編集部)

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