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[ヘルスケアニュース] 2020/10/16[金]

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【この記事のポイント】

  • アルコール依存症のうち、治療が必要なのに治療を受けていない人が約9割
  • 近年は「断酒」だけでなく「飲酒量の低減」(減酒)を目的とした治療が始まっている
  • 新型コロナの影響で、飲酒によるさまざまな影響が懸念されている

「アルコール依存」を本人は認めたがらない傾向、未治療は9割


久里浜医療センター 樋口進院長

 最近の生活習慣を見直して、「お酒を飲む量が増えた」「お酒を飲まずにはいられない」といった状態になっている人はいませんか?コロナ禍でのさまざまなストレスから、自覚なしで飲酒量が増えたという人も多いのではないでしょうか。それが習慣的に、依存するほどであれば、治療を必要とする可能性があるかもしれません…。

 大塚製薬は10月9日、アルコール関連問題啓発プレスセミナーを開催。国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長(アルコール健康障害対策関係者会議会長)を講師に迎え、「アルコール健康障害対策〜最近のトピックスと今後の課題」のテーマで講演が行われました。

 多量の飲酒を続けることで脳に障害が起き、自分の意思ではお酒の飲み方をコントロールできなくなるアルコール依存症という病気。飲みたいという気持ちを抑えられなくなり、身体や精神面に悪影響を及ぼすだけでなく、仕事や家庭に支障を来すようになります。

 日本でアルコール依存症の生涯経験者は約100万人と推計されているのに対し、治療を受けている患者数はわずか5万人と報告されています。「アルコールに依存していることを本人は認めたがらない傾向があります。治療が必要なのに治療を受けていない割合が9割にものぼり、いわゆる“治療ギャップ”が他の精神疾患(うつ病やパニック障害など)と比較して高いというのもこの病気の特徴です」と、樋口院長は現状について解説しました。

飲む量を減らす「減酒」を目的とした治療法

 アルコール依存症の治療ギャップを埋めるため、新しい治療方針(ガイドライン)の作成や新しい治療法が開発されています。その一つが、「減酒」を目的とした治療です。

 これまでは、「断酒の継続」が唯一の治療目標として考えられてきましたが、ヨーロッパの多くの国で飲酒量を減らすことが治療オプションとして認められていることや、以前から依存度が低い患者さんがいたことなどを踏まえ、日本でも「飲む量を減らす」、減酒治療に焦点を置いたアルコール依存症の診断治療ガイドラインが2018年に発行されました。

 診療ガイドラインの作成にも関わっている樋口院長は、「アルコール依存症の専門医だけでなく、内科や精神科などの医師も対応できるようにガイドラインは作成されました。依存度が低めの人は、まず減酒を目標とし、最終的には断酒を目指す。アルコール依存症の治療は、心理社会的治療が中心ですが、外来で処方されるお薬による薬物治療を行うこともあります。まず減酒を目指す治療を内科や精神科などで行うことで、アルコールに悩む方の受診の敷居が低くなることも期待されます」と、説明しました。

コロナ禍でのお酒との付き合い方、大丈夫?

 新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の大流行による生活の変化が、アルコールとの付き合い方にも影響を及ぼしている可能性があります。「今まで飲酒していなかったのに、新型コロナの影響による不安感を紛らわす手段として飲酒を始めた」という人もいるかもしれません。また、「ステイホーム」による家庭内暴力の発生は、飲酒によって助長されている可能性が指摘されているといいます。

 「新型コロナが及ぼす飲酒への影響について十分に検証された論文などは少なく、実態は調査中ですが、アルコールによるさまざまな影響が懸念されています。前の日のことを覚えていないほど飲んだり、お酒を飲まないと手が震えたり、少々のお酒では酔えなくなってきた、など、お酒に関連することで思い当たることがあれば注意が必要です」と、樋口院長は呼び掛けました。

 大塚製薬では、2019年から「適度な飲酒」の啓発・支援活動を実施しており、社内研修やポスター掲示によって潜在的なアルコール依存症の早期発見を推進しています。また、全都道府県と連携協定を結んで啓発ポスターなどを提供しています

 飲酒習慣のある大人の皆さん、まずは自分自身の飲酒量を振り返ってみませんか?(QLife編集部)

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