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[ヘルスケアニュース] 2022/02/14[月]

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皮膚疾患の悩みを解決するおしゃれで機能的な衣服が開発

 皮膚が赤くなって盛り上がり、その皮膚の一部がはがれ落ちる乾癬という病気があります。患者数は世界で約1億2,500万人、日本では約40~60万人1)2)とされており、根治療法はいまだに見つかっていません。

 製薬会社のヤンセンファーマは2021年11月9日、「『医療』×『衣料』が作る未来~課題解決としてのファッション」と題し、乾癬患者さんの衣服に対する悩みから生まれたプロジェクトのイベントを開催しました。イベントは、「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2021(SIW)」の一環として開かれたものです。


当日の様子(ヤンセンファーマ提供)

 イベントでヤンセンファーマは、医師に乾癬と診断され、3年以内に入院または通院をした経験のある全国の20歳以上の男女500人を対象に2020年7月、インターネットで実施した調査結果を報告しました。「『衣・食・住』のどの分野で乾癬によるストレスを感じますか?(複数回答)」という問いに対し、「衣」と答えた人は69%と最多。「住」は55%、「食」は14%でした。衣服に関係する具体的な悩みとしては、「フケが落ちてしまう」「掻いて血が滲んでしまう」「白い服や黒い服が着られない」「関節炎によってボタンの着脱が難しい」などの声があるといいます。

 こうした悩みを解決する取り組みとしてヤンセンファーマは2020年、衣服ブランドFACT FASHION(ファクトファッション)をアパレル会社のMAISON SPECIAL(メゾンスペシャル)や乾癬の患者会と共に立ち上げています。


玉井秀樹さん(ヤンセンファーマ提供)

 イベントでは、MAISON SPECIALで実際に販売されることとなった衣服について、同社の玉井秀樹さんが「インサイド・アウト(裏返し)がコンセプト」と紹介。「縫い代を外側にし、肌に触れないようにする工夫をデザインのポイントとしても活用した」と説明しました。このほか、「肩のあたりの生地をすべりやすい素材にすることで、はがれた皮膚が落ちやすい」「大きめのボタンとボタンホールにより、関節炎があっても着脱しやすい」など、乾癬患者さんが衣服について抱えている悩みの解決とデザインを両立させたそう。このような患者さんの課題とその解決策を FACT FASHION ICONSとしてイラストでも表現しているといいます。

 「あらゆる課題を抱えている人が、ファッションを通して前向きになる可能性を広げていきたい」と玉井さん。「乾癬患者さん以外の人がデザインに興味を持ち、そこからFACT FASHIONについて知るというコミュニケーションが生まれることにも期待している」と話しました。

乾癬という病気を自然に知るきっかけに

 FACT FASHIONの衣服を着用してイベントに登壇した皮膚科医の大塚篤司先生(近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授)は、「今回FACT FASHIONの服を着てみて、買いたいと思った」と感想を述べ、「衣服を好きな人が乾癬という病気を自然に知る機会もできた」と評価しました。


大塚篤司先生(ヤンセンファーマ提供)

 大塚先生は、「乾癬患者さんは無意識的に自身の生活を病気に合わせ、自分に制限をかけてしまっている場合がある。患者さん自身でも気がつかない不自由さを抱えている」と指摘。また、「医師として、皮膚にダメージが少ない素材について知識を共有することはできるが、縫い目がかゆいと言われてもできることはない」と説明し、「患者さんが不自由なく服を選べるようになるのは進歩だ」との考えを示しました。

 イベントには、10代で乾癬を発症した山下織江さん(一般社団法人 INSPIRE JAPAN WPD乾癬啓発普及協会理事)も登壇し、衣服について悩みを抱えていた過去を明かしました。「皮膚や自分を隠すために夏でも長袖長ズボンの服装をしており、とてもヘアスタイルやファッションを楽しめなかった。紺色の制服を着るのも嫌だった」(山下さん)


山下織江さん(ヤンセンファーマ提供)

 イベントでFACT FASHIONの衣服に身を包んだ山下さんは、「格好いい衣服を着ると気持ちが前向きになる」と笑顔で話しました。

 衣服に悩みを抱えている乾癬患者さんが69%に上るという調査結果からも、皮膚疾患が患者さんの生活に大きな影響を与えていることがわかりました。医療機関を受診して治療に臨むことや、FACT FASHIONのような取り組みが広がることで、患者さんが病気に制限されることなく、自分らしい生活を送れるようになるとよいものですね。(QLife編集部)

1)Kubota, K et al.:BMJ Open. 2015;5(1):e006450.
2)照井正ほか:臨床医薬. 2014;30(3):279-285.

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