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[ヘルスケアニュース] 2022/03/30[水]

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ヘンズツウかるたで症状や思いを「見える化」

 ズキズキと脈を打つように頭の片側や両側が痛む片頭痛。実は、全疾患の中で2番目に日常生活への支障が大きい疾患1)ともいわれています。ところが、症状が客観的に見えづらく、当事者の痛みやつらさが社会で十分に認知されていないという問題があります。

 こうした背景から、片頭痛当事者や周囲の人の思いを「見える化」した「ヘンズツウかるた」が2021年11月25日、製薬会社の日本イーライリリーによるセミナーで公開されました。


五十嵐久佳先生(日本イーライリリー提供)

 ヘンズツウかるたは、当事者が周囲に言いづらい自身の症状やつらさを周囲の人に伝え、相互理解を深めるきっかけとなる役割が期待されています。

 頭痛の治療に詳しい五十嵐久佳先生(富士通クリニック頭痛外来、富士通株式会社本社産業医)はセミナーで、当事者と周囲の人が相互理解を深めることの必要性を説明しました。

 五十嵐先生によると、当事者と周囲の人の間には認識のギャップがあるそう。当事者は「嘔吐することもあるほどつらい症状がある」「さぼっていると思われないかという不安から痛みを我慢して働いている」などの状況がある一方で、周囲は痛みやつらさ、我慢して働いている状態が見えていないと問題視しました。こうした認識のギャップをなくすためには、見えない痛みや症状、不安、働きづらさなど当事者の状況を「見える化」し、相互理解に努めることが大切だといいます。

 かるたは「あ」から「ん」までの46音。内容を一部ご紹介します。

 片頭痛を抱えている、片頭痛当事者が周囲にいる、というみなさんが共感する言葉もあるのではないでしょうか。

 五十嵐先生はまた講演で、経済産業省の「令和3年度健康経営度調査」で従業員の健康意識向上のための教育として、「片頭痛・頭痛」の項目が追加されたことを指摘。「職場で片頭痛についての啓発活動の重要性が浸透する可能性がある」と期待を込めました。

「過去1年間に片頭痛または重度の頭痛のために医療機関を受診」39.7%

 同日のセミナーでは、片頭痛に関する「大規模横断的疫学調査」結果も報告。調査は2020年7月~9月にインターネットで実施。片頭痛の症状がある男女17,071人が回答しました。


平田幸一先生(日本イーライリリー提供)

 調査結果によると、「片頭痛の治療を求めることを躊躇した」のは、1か月あたりの頭痛日数が0~3日の人で34.6%、4~7日の人で38.6%、8~14日の人で40.6%を占めました。

 片頭痛の診断・受診・治療状況については、「現在市販薬を使用している」と回答した人が75.2%に及ぶ一方で、「これまでに片頭痛または重度の頭痛のために医療機関を受診したことがある」は57.4%で、「過去1年間に片頭痛または重度の頭痛のために医療機関を受診したことがある」との回答は39.7%にとどまりました。

 またセミナーでは、日本頭痛学会の代表理事やJPAC(頭痛医療を促進する患者と医療従事者の会)の共同代表を務める平田幸一先生(獨協医科大学副学長)が登壇しました。

 平田先生は講演で、「片頭痛による労働生産性の損失は大きい」と問題視した上で「こうした実態が社会で十分に認知されていない」と指摘。職場でも片頭痛の理解促進を目指した活動が必要だとしました。

 片頭痛は日常生活や労働生産性などにも深刻に影響する疾患です。「ただの頭痛」「いつものこと」と我慢したり、軽視したりせずに、医療機関で適切な治療を受けることが大切です。(QLife編集部)

1)GBD 2016 Disease and Injury Incidence and Prevalence Collaborators. Lancet 2017; 390: 1211-1259.

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