会員限定この記事を読むと10pt 進呈!!

新規会員登録(無料) ログイン

[ヘルスケアニュース] 2022/05/20[金]

いいね!つぶやく はてなブックマーク

心臓は「がんばり屋さん」、知らない間に無理をしているかも

 超高齢化社会の日本において、心不全患者さんの数は増加の一途を辿り、現在の患者数はおよそ120万人1)。この心不全の原因の1つが「心臓弁膜症」です。

 しかし、この心臓弁膜症。一度は聞いたことがあるような……、でも実際にはよくわからないという方が多いのではないでしょうか?

 医療機器メーカーのエドワーズライフサイエンスが、心臓弁膜症への理解を把握するために実施した調査の結果によると、7割以上の高齢者・介護者は、心臓弁膜症を含む心疾患が健康に影響を及ぼす疾患であることを認識していませんでした。また、6割以上の高齢者・介護者は心臓弁膜症が心不全の原因のひとつだと知らないこともわかりました。調査は、65歳以上の高齢者と35~64歳までの介護者1,600名を対象として2022年2~3月にオンラインで行われたものです。


小室一成先生(エドワーズライフサイエンス提供)

 心疾患の治療に長年従事している小室一成先生(東京大学大学院循環器内科学教授)は2022年5月9日、同社が開いたセミナーで講演し「心臓弁膜症をはじめとする心不全は、多くの疾患の予後を悪くする”循環器疾患の終末像”だ」と指摘。発症前の予防や、発症後に適切な治療を受けることの重要性を強調しました。

 そもそも、心不全とは一体どんな病気なのでしょうか? 日本循環器学会と日本心不全学会では「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、命を縮める病気」と定義しています。発症当初は自覚症状がなく、「あれ、少し疲れやすくなったかな」という程度でも、進行すると一気に悪化してしまいます。心不全は完治することがないため、予防が大切です。小室先生は講演で、「発症前に予防することはもちろん、発症後は最適な治療を受け、悪化させないことが大切だ」と話しました。

「疲れやすい」「胸が痛い」など当てはまる症状があれば受診を

 心臓には4つの弁があります。この弁に障害が起き、本来の役割を果たせなくなった状態を心臓弁膜症といいます。その中でも4割を占めるのが、「大動脈弁狭窄症」です2)。これは、動脈弁という心臓の弁が硬くなり、弁が十分に開かなくなってしまうため、狭い出口から血液を送り出す現象、狭窄(きょうさく)が起こり、通常よりも心臓に負担がかかる病気です。

大動脈弁狭窄症について小室先生は、「病気を発症しても、症状に気づきにくい」と問題視し、以下の経験であてはまるものが増えたら、年齢のせいだと思わずに医療機関を受診するよう、呼びかけました。

  • 散歩の途中で立ち止まる回数が増えた
  • 洗濯物を干していると息切れがする
  • 足早で歩くと胸が痛む
  • 階段を上るだけで息切れが長引く

 医療機関受診の重要性については、同日のセミナーに出席した心臓弁膜症ネットワーク代表理事の福原斉さんも強調。


福原斉さん(エドワーズライフサイエンス提供)

 福原さんは心臓弁膜症のひとつである大動脈弁閉鎖不全症と診断され、計6回の手術を受けた経験を踏まえ、「もっと自分の心臓の声に耳を傾けて、少しでもいつもと違ったら受診してほしい」と述べました。また、同ネットワークのホームページで当事者の体験談を紹介しているそうです。

 「階段を上るのが疲れるな……」という経験は誰もが1度はあるのではないでしょうか。ちょっと疲れやすいかも、息切れがするなど、思い当たる症状があれば、心疾患の治療に詳しい循環器専門医へ気軽に相談しましょう。循環器専門医は、日本循環器学会のホームページから調べることができます。


梅沢富美男さん(エドワーズライフサイエンス提供)

 また、セミナー終盤には、心臓弁膜症の啓発を目的としたテレビCMに出演している梅沢富美男さんが登場。「多くの人
に心臓弁膜症を理解してもらえると嬉しい」と訴えました。梅沢さんは奥様が元臨床検査技師であり、健康についても関心が高い様子でした。

 大動脈弁狭窄症は、聴診と心エコー図検査によって診断できるそう。どちらも痛みはなく、短時間で行うことが可能だといいます。少しでも不安なことがあったり、1か月前と体調の変化を感じたりした場合は、ぜひ医療機関に足を運んでくださいね。積極的な受診が早期発見、早期治療への近道です。(QLife編集部)

1)Okura Y, et al: Impending epidemic: future projection of heart failure in Japan to the year 2055. Circ J 72: 489-491, 2008.
2)Lung B, et al: Contemporary Presentation and Management of Valvular Heart Disease: The EURObservational Research Programme Valvular Heart Disease II Survey. Circulation 140: 1156-1169, 2019.

記事を読んでポイント獲得!

10pt 進呈!!

この記事を読んで
簡単なアンケートに回答すると、
"Amazonギフト券に交換できる"
QLifeポイントを獲得できます!

心臓弁膜症に関する
心不全に関する
この記事を読んだ人は
他にこんな記事も読んでいます。
記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。