治療と仕事の両立支援で重要なのは、上司と部下のコミュニケーション
[ヘルスケアニュース] 2022/11/01[火]
治療と仕事の両立支援は、企業が取り組むべき課題の1つ
日本は少子高齢化の進展に伴い、労働人口の減少や高齢の労働者の増加が見込まれ1)、病気を抱えて就労する人も増えると推測されています。また、病気を抱えて就労している人の92.5%が就労継続を希望しており、現在就労していない人でも70.9%が就労を希望しているという調査結果もあります2)。

(ヤンセンファーマ株式会社提供)
一方で、治療と仕事の両立に関する社内研修や教育等を行っている企業は3割に満たないのが現状です2)。病気を抱えながら働く人も、受け入れる企業側も、「どうしたら仕事を続けられるのか」「上司や同僚にどう伝えればいいのか」「どんな仕事を任せたらいいのか」など、さまざまな問題に直面しているのではないでしょうか。
企業側には、治療しながら働き続けられる環境や制度の整備・周知はもちろんのこと、社内風土の醸成も求められています。治療と仕事の両立支援は、今後、企業が取り組むべき課題の1つといえるでしょう。
治療と仕事の両立支援では上司の役割が重要
治療と仕事の両立支援の1つとして、製薬会社のヤンセンファーマでは「治療と仕事の両立」に関する社内の意識調査を実施しました3)。調査によると、病気や障害を抱えている人の約6割は上司にその事実を伝えており、その結果、これまでと変わらず同僚と同じように仕事を任せてもらえるといった配慮や支援が受けられたと答えています。
一方で当事者の約3割は、体調や治療による仕事への影響等について、上司らの理解を得るのが難しいと感じていることも示されました。これらのことから、治療と仕事の両立支援においては、上司が当事者の状況や意向を知り、新たな働き方を一緒に考えサポートすることが重要であると考えられます。
また、周囲もサポートの仕方がわからない等の理由で、3人に1人が病気や障害のある人と一緒に働くことを心配し、不安に感じていることが明らかになりました。当事者自身から上司や同僚に対して、「言ってほしくない・されると困ること」「どのようなときに体調が悪化するのか」などの情報を具体的に共有することも大切です。

(ヤンセンファーマ株式会社提供)
効果的な上司・部下間のコミュニケーションが社内文化を醸成する
治療と仕事の両立支援においては、病気や障害を抱えていても働きやすい環境や制度の整備・周知はもちろん、支えあう社内文化を醸成する重要性も指摘されています3)。そこでヤンセンファーマでは、効果的な上司・部下間のコミュニケーションに着目したシミュレーショントレーニングを開発しました。
トレーニングは2人1組で上司役と病気を抱える部下役となって対話を試みます。ただし、配役にはそれぞれ「寄り添わない上司」「過度に寄り添いすぎる上司」「あいまいなことしか言わない部下」「自分の状況をうまく伝えられる部下」と特徴が割り振られています。さまざまな立場のロールプレイングを通じて、上司に求められる役割や望ましいコミュニケーションのあり方を考えられるようになっているのです。

(ヤンセンファーマ株式会社提供)
実際にトレーニングを体験した社員からは、「ドライな上司には病気のことを言い出しづらかった」「寄り添ってくれる上司には安心して前向きに話せた」「『がんばります』しか言わない部下には、どこまで踏み込んで状況を尋ねていいのかわからなかった」「自分の状況を的確に伝え上司からアドバイスをもらうには、日頃から信頼関係を構築しておくことが重要だと思った」などの感想があがっており、上司の役割を再認識するとともに、当事者と一緒に働き方を考えるきっかけになったことがうかがえました。
ヤンセンファーマでは、このシミュレーショントレーニングをパッケージ化し、社外にも広く無料で提供していく予定とのことです。
みなさんの職場では、治療と仕事を両立しやすい社内文化は醸成できているでしょうか。あらためて、だれもが心配や不安を抱くことなく働けるよう、社内のコミュニケーションを見直してみるのもよいかもしれません。(QLife編集部)
1)内閣府将来推計で見る50年後の日本
[https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2013/zenbun/s1_1_1_02.html](10月24日閲覧)
2)平成25年度厚生労働省委託事業治療と職業生活の両立等の支援対策事業調査結果
3)ヤンセンファーマ:「治療と仕事の両立」調査結果(調査期間:2022年8月18日~9月2日、回答:ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ社員1,310人、方法:インターネット調査)[https://www.janssen.com/japan/sites/www_janssen_com_japan/files/20221003_v3.pdf](10月24日閲覧)
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