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[ヘルスケアニュース] 2022/11/08[火]

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のどに症状が出ると命の危険も

 「遺伝性血管性浮腫」という病気の名前を聞いたことはありますか? 顔やのど、手、お腹(消化管)など、皮膚や粘膜があるさまざまな部位が腫れる病気で、主に遺伝子の変異によって引き起こされます。患者数が少なく、発病の機構がわかっていないなどの理由から、国は、遺伝性血管性浮腫を「原発性免疫不全症候群」の1つとして指定難病に定め、医療費の助成などを行っています。

 製薬会社のCSLベーリングは2022年10月13日、遺伝性血管性浮腫についてセミナーを開き、眞野訓先生(順天堂大学革新的医療技術開発研究センター)が講演しました。

 眞野先生は、「遺伝性血管性浮腫では、こすれるなどの物理的な刺激や精神的なストレスによって腫れる発作が出る」と説明。「症状がのどに現れると呼吸困難になるケースもあり危険だが、患者さんは多少の発作があっても、日常生活に支障がなければ医療機関を受診しない」と指摘しました。発作の頻度は、患者さんによって異なり、月に複数回という患者さんもいれば、年に数回という患者さんもいるといいます。

 最近ではさまざまな治療方法が開発されているとして眞野先生は、「今後は、いかに発作を予防するかが治療のポイントになっていく。患者さんは発作の心配をすることなく、生活を送れるようになるだろう」と期待を示しました。

認知度が低く、診断まで平均15年かかるというデータも

 同日のセミナーでは、遺伝性血管性浮腫の患者会であるNPO法人HAEJの理事長を務める山本ベバリーアンさんも登壇しました。

 山本さんが発症したのは12歳くらいだったそう。正しい診断がつかず、20代後半からは医療機関を受診しなくなりましたが、その後症状が悪化し、52歳で遺伝性血管性浮腫の診断を受けたといいます。山本さんは、「病気の認知度が低く、発症してから診断を受けるまで平均で15年かかる1)」と診断の遅れを問題視し、「正しい診断がつくまでに、必要のない検査や治療を受けるケースもあり、患者さんの身体的・経済的な負担は大きい」と指摘しました。

 「遺伝性血管性浮腫の発作がないときは健康で、なんでもできる一方、発作があると生活が制限されてしまう」(山本さん)。治療方法が充実し、発作の予防が可能になることが望ましいとしました。

 医療技術の発展により、患者数が少ない珍しい病気であっても、病気によっては治療法が増えてきており、治療を受けることで病気の進行を遅らせたり、現在の生活を維持できたりするケースが多くあります。あらゆる病気で、発症後、早期に正しい診断を受け、治療を始めることのできる環境の整備が求められます。(QLife編集部)

1)Iwamoto K, et al:Allergol Int. 2021;70(2):235-243.

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