肥満症の当事者が適切な医療にたどり着きにくいのはどうして?
[ヘルスケアニュース] 2025/12/08[月]
肥満体型(BMIが25以上)で、「痩せたい気持ちはあるけれどなかなか減量できない」と悩んでいませんか?
肥満に加えて、高血圧などの健康障害があるか、健康障害を引き起こすリスクがある場合は、「肥満症」として医療機関での治療の対象となります。肥満症は、脳卒中や心筋梗塞を引き起こしかねない深刻な病気です1)。しかし、肥満症で治療にたどり着いている人は多くないといわれています。
なぜ、肥満症の当事者は適切な医療にたどり着きにくいのか――。製薬会社のノボ ノルディスク ファーマが11月21日に都内で開いたセミナーで、肥満症治療の専門家である新谷哲司先生(医療法人みかんの花 理事長/みかんの花クリニック 糖尿病・内分泌・代謝内科 院長)と、肥満症当事者のタナカさん(仮名)がそれぞれの視点からその課題を語り合いました。
肥満症が「治療できる」と周知する必要がある
新谷先生はセミナーで、「肥満は食べすぎや運動不足といった個人の努力不足が原因と思われがちだが、遺伝的要因や成育歴、メンタルヘルス、社会経済状況など、本人の努力だけでは制御できない複合的な要因がある」と説明。「自己管理ができない人」といった誤った認識が広まっていることや、当事者自身が「太っているのは自分の責任だ」と感じる傾向を問題視しました。
18歳以上で肥満の日本人2,001人にオンラインで実施したアンケート調査結果によると、体重に悩み始めてから医療従事者に相談するまで、平均で6年もの期間を要していることが明らかになっています。また、約8割が「減量はすべて私の責任である」と回答しており、自己責任だと思っていることが受診をためらう要因のひとつとなっていることが示唆されています2)。
新谷先生は、「血圧が高い、コレステロール値が高い、尿酸値が高いといった肥満に伴う症状は治療の必要があると多くの方は知っているが、肥満症を『治療するべきもの』と認識している人は多くないのではないか」と指摘。「肥満症について『治療をしないといけない』『治療できる病気なんだ』と患者さんご本人やご家族に知っていただくことが大事だ。社会全体としても認識を改める必要がある」と強調しました。
肥満症が改善し、友だち付き合いも意欲的に
肥満症治療を受けている当事者のタナカさんは、コロナ禍での外出制限や肩の手術による運動不足が重なり、4~5年で体重が約20kg増加。関節への負担から旅行や散歩が困難になり、寝返りが打ちづらい、服のサイズが合わなくなるなど日常生活にも影響が出たといいます。

周囲から体型について批判を受けたり、自分のことを責めたりして、次第に人前に出ることをプレッシャーに感じるようになったというタナカさん。肥満症を改善できないかと悩んでいたところ、知人の紹介で新谷先生のクリニックを受診し、専門的な治療につながったそうです。
タナカさんは「体重が減ったことで、人前に出ることへの抵抗感が薄れ、旅行や友人との交流にも意欲が湧いてきた」と話しました。
新谷先生によると、肥満症治療については医療従事者でも詳細には認知していないことがあるそうです。
もしかして、肥満症かも? と思って受診する医療機関に悩まれる場合は、インターネットで肥満症を治療できる医療機関を探すことができます。ぜひご活用ください。(QLife編集部)
1)日本肥満学会編:肥満症診療ガイドライン2022,ライフサイエンス出版,2022.
2)Caterson ID et al: Diabetes Obes Metab. 2019;21(8):1914-24.
本試験はノボ ノルディスク社のスポンサーシップにより実施された。
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