[ヘルスケアニュース] 2026/03/31[火]

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若年層の発症が多く、増加傾向にある指定難病「潰瘍性大腸炎」

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が起こり、びらんや潰瘍ができる原因不明の炎症性腸疾患(IBD)です。主な症状として、下痢や血便、激しい腹痛、頻回な便意などが挙げられ、重症化すると発熱や体重減少などを伴い、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。国内の患者数は年々増加傾向にあり、疫学調査研究では現在推定約31万人に上ることが報告されています1。特に発症年齢のピークが20代から30代といった若年層に集中していることが大きな特徴です。進学、就職、結婚、出産といった重要なライフイベントを迎える働き盛り・学び盛りの時期に発症するため、症状を速やかに取り除き、症状が落ち着いた状態を長く維持して社会復帰を果たすことが、治療における重要な目標となります。

寛解導入療法の新たな選択肢「トレムフィア」皮下注製剤

こうした中、製薬会社のジョンソン・エンド・ジョンソンは2026年3月23日、中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者さんに対する初めてのIL23p19阻害剤「トレムフィア(一般名:グセルクマブ)」の皮下注製剤による寛解導入療法の承認取得に関する説明会を開催しました。

説明会に登壇した杏林大学医学部消化器内科学教授の久松理一先生は、新たな投与方法の選択肢について解説しました。これまでは点滴静注で行われるのが一般的でしたが、今回の承認により、治療の初期段階から皮下注射での導入が可能となりました。


久松理一先生(ジョンソン・エンド・ジョンソン提供)

久松先生によると、点滴静注と皮下注射のどちらを選択するかは、患者さんのニーズや背景に合わせて決定されます。病院での滞在時間を短縮したい方や、血管が細く点滴の針を刺すのが困難で心理的・肉体的負担が大きい方には皮下注射が適しています。一方で、自分で注射を打つことに抵抗がある方や、注射部位が赤く腫れるなどの局所反応が出やすい方には点滴静注が選択されるなど、同じ薬剤で患者さんの希望に沿った投与経路を選べるようになったことが大きな利点として挙げられます。また、医療現場にとっても、事前の薬剤調製や点滴ルート確保などの業務負担軽減につながることが期待されています。

あふれる医療情報の見極めと、潰瘍性大腸炎治療の今後の展望

説明会では、潰瘍性大腸炎の治療を続けながら社会生活を送る一宮亜美さんとの対談も行われました。インターネット上に医療情報があふれる現代における情報の見極め方について、一宮さんは「最も信頼しているのは主治医からの情報」とした上で、厚生労働省や学会のガイドライン、患者会が発信する公的な情報を参考にしていると話しました。 また、潰瘍性大腸炎治療の展望について久松先生は、「現段階では完治に至る根本治療法は確立されていない」と説明し、病気の原因解明という課題は残されているが、分子標的治療薬などの進歩により、副作用を抑えながら治療を続けることで、「健康な時とほぼ同じ社会生活を送れる患者さんは確実に増えている」と強調しました。詳細は同社のプレスリリースをご確認ください。(編集部)

1. Tsutsui, A., et al. J Gastroenterol , 2025;60:1513–1522.

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