[ヘルスケアニュース] 2026/06/29[月]

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見過ごされがちな排尿トラブル、生活や仕事への深刻な影響

中高年男性の多くが抱える「尿が出にくい」「夜中に何度もトイレに起きる」といった排尿トラブル。その主な原因とされるのが「前立腺肥大症」です。

2026年6月23日、医療機器メーカーのボストン・サイエンティフィック ジャパンによるメディアセミナー「排尿トラブルは『年齢のせい』と見過ごされていないか」が開催されました。札幌医科大学医学部泌尿器科学講座教授の舛森直哉先生が登壇し、シニア男性800人を対象とした調査から見えてきた排尿トラブルの実態と、前立腺肥大症の最新の治療選択肢について解説しました。

同社が行った55歳〜85歳の男性800人を対象とする調査では、排尿トラブルがある人の4人に1人、現在治療中の人に至っては半数が「生活への影響が大きい」と感じていることが分かりました。具体的には、「外出先でのトイレが気になる」「夜間頻尿による睡眠不足」といった悩みが挙げられ、旅行や趣味を諦めたり、仕事のパフォーマンスが低下したりと、生活の質(QOL)に直結している実態が浮き彫りになりました。

しかし、尿の状態に不満があっても、4割以上の方が誰にも相談していません 。その理由の半数以上が「年齢のせいだと思ったから」というものでした。舛森先生は、「加齢によるものと我慢してしまい、受診までに1年以上かかるケースも多い」と警鐘を鳴らします。

薬物治療の限界と、知っておきたい治療の選択肢


舛森直哉先生(ボストン社提供)

前立腺肥大症は、膀胱の下にある前立腺が大きくなり、尿道を圧迫することで様々な症状を引き起こす病気です。初期は尿の勢いが弱くなり、進行すると膀胱が過敏になって頻尿や尿もれを招きます。最悪の場合、尿が全く出なくなる「尿閉」や腎機能障害につながる恐れもあります。

治療法としては、生活習慣の改善や薬物治療から始まりますが、今回の調査では薬物治療を受けている人の約4割が治療に不満を抱えており、その主な理由として「症状が改善しない」ことを挙げていることが分かりました。それにもかかわらず、不満を抱えながらも服薬を続けている理由は、「他の治療法を知らないから」が約7割を占めていました。

舛森先生は、「薬物治療は症状を緩和するものであり、効果には限界がある」と指摘します。薬で十分な効果が得られない場合、前立腺の組織を取り除く外科的手術という選択肢がありますが、これまでは体への負担(侵襲)の大きさが懸念されていました。

体への負担が少ない「低侵襲治療」が新たな希望に

そうした中、近年注目されているのが水蒸気などを用いた「低侵襲治療(MIST)」です。従来の手術に比べて出血などのリスクが少なく、体への負担を大幅に抑えられるのが特徴です。

2026年4月には、関連3学会(日本泌尿器科学会、日本排尿機能学会、日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会)による『経尿道的水蒸気治療に関する適正使用指針』が改訂されました1) 。これまでこの低侵襲治療は「高齢で手術リスクが高い方」などに限定して推奨されていましたが、今回の改訂により「従来の手術療法と並ぶ選択肢の一つ」として、働き世代を含む幅広い世代に推奨されるようになりました。低侵襲治療が選択肢となったことで、日帰りや数日間の短い入院での治療が検討しやすくなりました。

舛森先生は「少しでも煩わしさや生活への支障を感じたら、我慢せずに気軽に泌尿器科を受診してほしい」と呼びかけました。もし、現在のお薬で効果を感じていない場合も諦める必要はありません。

排尿トラブルは「ただの老化現象」ではなく、適切な治療で改善が見込める疾患です。症状を放置して我慢を続けると、毎日の楽しみや活力を奪ってしまいかねません。まずはご自身の症状や日々の悩みを医師にしっかりと伝え、自分に合った治療法を見つける一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。(QLife編集部)

1)一般社団法人日本泌尿器科学会、日本排尿機能学会、日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会「経尿道的水蒸気治療に関する適正使用指針(第2版)」(2026年6月25日閲覧)

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