前立腺がん治療は「SDM(協働意思決定)」で後悔のない選択をー宮本亞門さんが語る医師とのコミュニケーション
[ヘルスケアニュース] 2026/08/25[火]
「前立腺がんについて知り、向き合うきっかけづくり」に取り組む製薬会社のバイエル薬品は2026年8月23日、前立腺がん治療における医師とのコミュニケーションの重要性を考える市民公開講座「伝えてみよう 言葉ではじめる前立腺がん治療」を開催しました。セミナーでは、東海大学医学部の小路直先生(外科学系腎泌尿器科学領域 領域主任教授)による最新治療の解説と、自身も前立腺がんを経験した演出家の宮本亞門さんを交えたトークセッションが行われました。
男性罹患数1位の前立腺がん、多様化する治療と「SDM」の大切さ
第一部では、小路直先生が前立腺がんの基礎知識や最新の治療法について講演しました。 前立腺がんは2017年以降、日本人男性で最も多く診断されているがんです。近年は画像診断技術が進歩し、MRIと超音波を融合させてがんの位置を正確に把握する「標的生検」などが普及しています。

小路 直先生(バイエル薬品提供)
また、治療法も多様化しており、当面は治療を行わず経過を観察する「監視療法」から、ロボット支援手術、放射線治療、ホルモン療法、さらにはがんの局所のみを治療する「フォーカルセラピー」まで多様な選択肢があります。それぞれの治療法には尿漏れや性機能障害など異なる副作用もあり、「どの治療が最も優れている」という正解はありません。患者さんの病状や年齢、「治療後にどのような生活を送りたいか」という価値観によって最適な選択は異なります。
そこで小路先生が強調したのが「SDM(Shared Decision Making:協働意思決定)」です。医師が一方的に治療法を決めるのではなく、患者さんと医師が情報を共有し、対話を重ねながら「一緒に」治療方針を決定していくプロセスが、これからの前立腺がん治療には欠かせないと語りました。
宮本亞門さんが直面した、がん告知後の戸惑いと「言いづらさ」
第二部のトークセッションには、2019年に前立腺がんを経験した演出家の宮本亞門さんが登壇しました。宮本さんは、テレビ番組の企画で受けた人間ドックをきっかけにがんが発覚しました。告知を受けた後、自身でもインターネット等で前立腺がんについて調べたものの、人によって症状や治療内容があまりにも違いすぎ、調べれば調べるほどわからなくなってしまった、と当時の混乱を振り返りました。

宮本亞門氏(バイエル薬品提供)
また、医師とのコミュニケーションについて、「日本の場合は『先生』っていう強い印象があるので、何か違うことを言ったら失礼じゃないか、今後治療していく上で嫌われたくない、といったいろんな複雑な気持ちが絡んでしまい、質問がしづらくなるところはありますよね」と、多くの患者さんが抱える悩みも代弁しました。
それでも宮本さんは、自身の納得のいく治療を選ぶために勇気を出して行動しました。
「セカンドオピニオンをしていいですか?と思い切って主治医に伝えたら、『もちろんです。いろんなことを調べて納得できた治療を一緒にやっていきましょう』という言葉をもらったことが非常にうれしかった」と振り返りました。
後悔しないために、医師と話し合って自分で治療を決める
主治医との対話を通じて信頼関係を深めた宮本さんは、自身の治療に向き合う強いエネルギーが湧いてきたと話します。そして病気と向き合う患者さんへ向けて、次のような力強いメッセージを送りました。
「自分の痛みも自分の悩みもわかるのは自分しかいないんです。どう悩んでいようが苦しもうが、とにかく自分が最後に決めたほうが、後で人のせいにしなくて済む。だから後悔しないように自分で決めていく。だからこそ話し合うことが大切だと思っています」
小路先生も、「医師は患者さんが病気を乗り越えるためのパートナーだと思って、遠慮なくコミュニケーションをとって通院してほしい」と呼びかけました。
今回のセミナーを通じて、前立腺がん治療における「対話」の重要性が改めて示されました。治療後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、わからないことは遠慮せずに聞き、自分の希望を伝えることが、自分のための治療の第一歩となります。(QLife編集部)
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