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[病院を知ろう!プロジェクト] 2009/05/01[金]

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患者参加の端緒となった2004年版

Q:今回のガイドライン作成が始まったきっかけを、教えてください。
A:日本小児アレルギー学会では、2004年に一般向け診療ガイドラインを初めて作りました。その時は専門医だけで作成したのですが、校正ゲラの段階で、ある患者支援者団体の方に意見を求めたそうです。

Q:それは、うまくいったのですか?
A:患者支援者団体の方が、その時に行った指摘は、ぜんそくの子どもや親御さんの立場を考慮した、とても的確なものだったそうです。そのため、本づくりの最終段階だったにもかかわらず、指摘のほとんどが反映されたそうです。この出来事があったおかげで、専門医の中にも「患者の意見を聞くほうが役立つものができる」という思いを持った医師がいたようです。

Q:この時の経験が今回の快挙へとつながっていったのですね。
A:もう一つ、2004年版の反省に「普及が進まなかった」という点もあったようです。後の調査でわかったことですが、ぜんそく児の親御さんたちにとって、2004年版は教科書的で、実生活の中で使いづらいものでした。それで、「せっかく、患者向けにガイドラインを作っても、利用が広がらないのでは意味がない。患者や家族が本当に知りたい内容を余すことなく盛り込もう。そのためには患者の意見を中心に据えて作成しよう。」と、作成担当の専門医は考えたのです。また、普及促進の観点からいっても、自分達が作ったガイドラインならば患者側から一生懸命に広めてくれるだろうという期待もありました。

Q:でも、誰を「患者の代表」として選ぶのか、が難しいところですよね。
A:その点は、日本小児アレルギー学会も困ったようです。でもちょうど、ガイドライン作成責任者だった西間三馨先生と、先に述べた京大の中山教授との出会いがあって、ご支援することになりました。中山班としても、PIGLの実利用第一号を求めていた事情もあったのです。「患者委員」という、ガイドライン作成のなかで「患者の代表」になるべく近い役割を果たす人の選定を引き受けました。

Q:「患者委員」の選定方法を、具体的に教えてください。
A.まず、「Google」と「Yahoo!」それぞれ300件、計600件の検索を行い、連絡先が分かるアレルギー疾患の患者団体41団体を抽出しました。インターネットを活用したのは、先に挙げた英国のやり方に倣ったものです。そこには「社会に情報発信する役割を認識する患者団体であれば、その手段としてホームページを用意し、患者の声を診療ガイドラインや医療政策に反映させる意思を持っている」という前提があります。

Q:なるほど。
A:こうして抽出した患者団体に、ガイドライン作成への参加意思や団体の運営状況を確認するアンケート調査を実施しました。そして、回答のあった20団体の機能を、ガイドライン作成参加の視点から設定した評価基準にもとづいてスコア化し、上位4団体を選出。そして、各団体から推薦してもらった候補者に対して面接を行って、最終決定しました。


初会合。左が患者委員、右が医師委員

Q:その患者委員だけで、ガイドラインを作成したのですか?
A:いえ、患者委員4名だけでなく、医師委員6名と患者委員の活動を支援する私達コーディネーター2名の、合計12名体制で「作成委員会」を組成しました。医師委員には、患者本位の診療を実践している専門医が揃っていましたが、さすがに最初の顔合わせの時は「患者さんや家族を相手にいったい何が始まるのか」という緊張感が漂っている気がしました。

Q:作成委員会は、何から着手したのですか?
A:最初の半年間は、どのような構成にするかの検討に時間を費やしました。「医師向けガイドラインを、分かりやすい患者ことばに書き換える」のではなく、「患者や家族が本当に知りたい内容を余すことなく伝える」ことが今回の大きな目的でしたから、患者視点での骨格づくりが必要だったのです。

Q:どれくらいの頻度で、会議をしたのですか?
A:構成を検討する間は月3回のペースです。そして、次の半年で、原稿執筆に入りました。ここからは、患者と医師がペアになり、患者委員が執筆した原稿を担当の医師委員が確認・助言するという協働作業になりました。お互いに忙しいので、真夜中に原稿をやりとりする電子メールが飛び交っていました。このような過程を経て、医師委員たちも患者委員の力を認め、お互いの信頼関係が深まっていったように思います。


患者委員による構成検討会議の様子

Q:完成するまでに1年間もかかったのですか。
A:第1稿が完成した後、編集者も参加し、全員で原稿チェックをしながら、完成度を高めていきました。患者委員は何度も文章を手直しし、「ここはチャートにしよう」とか「表にまとめたほうがよい」とか、ビジュアル面も工夫していました。また医師委員は、同時に作成が進められていた医師向け診療ガイドラインの最新の医学情報を反映させるべく、内容の刷新を図るなど、それぞれが寝る間を惜しんでの作業が印刷直前まで続きました。

Q:誰が、そのお金を出したんですか?
A:必要経費を負担したのは、日本小児アレルギー学会です。患者委員、医師委員、コーディネーターに支払われたのは交通費のみですが、出来上がったハンドブックが各自に50冊ずつ配布されました。


専門医の講義で、医学の最新情報も吸収

Q:作業は、ほとんど無償だったのですね。
A:作成委員は報酬条件について納得したうえで参加しています。ただ、今後より多くの患者さんや家族に積極的に参加してもらうためには、報酬面についても検討していかなければならないでしょう。


記事の続き ≫

患者と医師の協働作業ドキュメンタリー
 1.日本初の「患者による患者のためのガイドライン」できた
 2.2年前の取り組みが、今回の快挙につながった。
 3.患者は「素人」ではなく、生活の「専門家」

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