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[教えて!ドクター] 2008/10/15[水]

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血糖値を安定させ腎症や網膜症等の合併症の進行や発症を押さえる事が可能
中医学の第一人者・小高修司院長からのアドバイス

取材協力/小高修司院長・中醫クリニック・コタカ
取材・文/松沢 実・医療ジャーナリスト

糖尿病は気と陰液のすべてが不足する気陰両虚が原因

 人間の身体は食べた食物を体内でブドウ糖の形に変え、それをインスリンというホルモンの力を借りてエネルギー源としています。
 「糖尿病はこのインスリンが膵臓から必要なだけ分泌されなかったり、あるいはなんらかの理由でインスリンが十分に作用できなかったりする病気です。その結果、血液中のブドウ糖が利用・処理されず、血中のブドウ糖濃度が高まって高血糖になり、さらに進行すると尿の中にブドウ糖が漏れて排泄されることから糖尿病という名前がつけられました」
 と中醫クリニック・コタカの院長、小高修司先生は指摘します。
 2500年前の中国では糖尿病を「消渇の病」といっていました。消渇とは「のどが渇く」という意味で、軽いうちはほとんど無症状なのですが、進行するに従い、のどの渇きがひどくなることからそう呼ばれたのです。「『消渇の病』の中には糖尿病と同じような症状を呈する尿崩症というホルモン異常から生じる病気も含まれていますが、そのほとんどは糖尿病と考えてよいでしょう」(小高院長)
 ところで、中医学では人体は気・血・津液の3つの基本要素から構成されていると考えています。簡単にいうと、気は生命エネルギーで、血は血液の血球成分に近い身体の栄養成分、津液は血清やリンパ液、汗、関節液などの体液です。
 「身体の中に気・血・津液が満ち、スムーズに全身をめぐっていれば心身ともに健康な状態といえますが、一つでもそれが不足したり、スムーズに流れなくなったりするとさまざまな病気が発症します」(小高院長)
 では、糖尿病の原因は何かというと、気・血・津液の3つの量が大きく不足している状態が主たる病因と考えます。陰とは「陰液」のことで血と津液を意味しますから、陰液と気の両方が虚している気陰両虚状態ということができます。糖尿病が極度に進行すると全身倦怠感や脱力感に襲われ、生きる気力を失っていきますが、まさにそれは中医学でいうところの気陰両虚も極限の状態にあるといえるのです。

糖尿病の進行を抑え、合併症の予防に役立つ中医学

 ご存じのように、いまは医学の進歩によって糖尿病それ自体で死亡することはなくなりましたが、糖尿病を治癒させることはできません。放置しておくと糖尿病性腎症や糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害などの合併症を招くので、現代医学ではいかに糖尿病の進行を抑えるのかが治療目標となっています。
 「具体的には血糖値が上昇すればするほど糖尿病は進行し、合併症も発症しやすくなるので、血糖値を下げて適正範囲のうちにコントロールする治療が行われています」(小高院長)
 一方、中医学における糖尿病治療の目標は、患者さんの糖尿病体質を改善するとともに、合併症の進行や発症を抑えることに置かれています。たしかに血糖値を下げるという点では現代医学の血糖降下剤の切れ味に及ばないのですが、糖尿病を身体の芯から克服していくと同時に、合併症の進行・発病を予防するところが中医学は大きな特長といえるのです。
 「とくにいろいろな事情から血糖降下剤があまり効かない患者さんや、血糖降下剤の働きをさらに高めたいと願う患者さん、あるいはそもそも西洋医学的治療を受けたくないとする患者さんなどにとっては、中医学は大きな拠りどころとなります」(小高院長)
 もちろん、現代医学の治療と併用することも可能です。

気・血・津液を増やし、お血を解消することが大事

keiraku.jpg 中医学では人体の構成するのは気・血・津液の3つが基本要素だと先述しましたが、気は肺(呼吸器)と脾胃(消化器)からつくられ、血と津液はその気からつくられます。そのためこの3要素すべてが不足した状態にある糖尿病を治療するには、まず気の流れをスムーズにしたうえで、気の量を増やすことが優先されます。流れの悪い川にダムを放流すれば、川が溢れて洪水を起こしてしまうからです。まず気の流れをスムーズにしたうえで、気をつくり補う治療が必要とされます。
 「全身に気が流れるようになると、血や津液も徐々に増えて流れるようになりますから、血や津液を補う方向で治療を始めます。西洋医学の言葉でいうと、治療を内臓強化の方向へ変え、糖尿病体質を克服する過程に向かっていくわけです」(小高院長)
 一方、糖尿病による腎症や網膜症、神経障害等の合併症は、毛細血管や細小血管という細かい血管に糖尿病特有の変化が現れることに起因しています。
 「中医学では血の流れの異常=お血から生じると捉え、合併症を予防し抑えるためにお血を解消する治療を行います」(小高院長)
 治療によって気・血・津液の流れや、その量が変わっていくと、次第に症状に変化が認められます。その変化を捉えて適切な診断を下し、さらによい状態へもっていくための生薬を処方していくので、漢方薬の処方は原則として1~2週間ごとに変えていく必要があります。
 「糖尿病に効く生薬はいくつもありますが、気を補う黄耆や、血や津液を補う玄参、葛根、山薬、そしてお血を解消する丹参などが代表的なものです。中医学では2つの生薬を組み合わせてより高い治療効果を得るための『対薬』と呼ばれる組み合わせがよく用いられますが、糖尿病に対する対薬としては丹参+葛根、玄参+蒼朮、黄耆+山薬が広く知られています。前二者は主に血糖値を下げ、後者は主に尿糖値を下げることに有効です」(小高院長)
 中医学の診断や処方ができる中医師に受診し、適切な治療を受けることが大切です。
 重要なのは中医学でも食生活や生活スタイルを変えていくことが、糖尿病治療のベースとなることです。とりわけ、冷たい飲料や食べ物の過剰摂取やストレスの多い生活は、肺と脾胃の働きを直撃し、気をつくるのを妨げ糖尿病の進行を促進させてしまいます。冷飲食を避け、腹式呼吸でストレスを発散させる生活スタイルの確立が求められています。

小高修司院長(こたかしゅうじ)

1946年生まれ。71年東京医科歯科大学医学部卒業後、同大学医学部、国立がんセンター、都立豊島病院などで頭頸部領域のガン手術を行う。その後、同病院内科医長(東洋医学担当)を経て、93年中国医学の専門診療所、中醫クリニック・コタカを開院する。著書に『思いやりの(仁)のガン治療』(健康ジャーナル)、『中国医学で病気を治す』(講談社)『老いを防ぐ腎ワールドの驚異』(同)など多数。

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