出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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はれ、むくみから考えられる主な病気

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はれから考えられる主な病気

◆ 顔面

症状 疑われる病気
顔とくに頬・耳・眼の周囲、手足がはれる 丹毒
頬がはれる 乾酪性上顎洞炎
上顎洞がん

◆ 歯ぐき

症状 疑われる病気
歯ぐきが赤くはれ、出血する 歯周病
白血病
歯肉がん

◆ 首

症状 疑われる病気
耳の下から首にかけてはれる 耳下腺炎
唾石症
ミクリッツ病
首の前面部がはれる 甲状腺腫瘍
甲状腺機能亢進症
亜急性甲状腺炎
首のリンパ節がはれる 鼻・のど・口などの炎症
川崎病
咽頭がん
肺がん
肺サルコイドーシス
悪性リンパ腫

◆ 乳房

症状 疑われる病気
赤くなってはれ上がり、痛む 急性化膿性乳腺炎

◆ 性器

症状 疑われる病気
陰囊が全体的にはれる 急性精巣上体炎
精巣腫瘍
陰囊水腫
腹水、黄疸 肝硬変
外陰部がはれて、むくみ、強く痛む 感染性外陰皮膚炎
腟カンジダ症

◆ 関節・骨

症状 疑われる病気
全身の関節がこわばり、痛み、はれる 関節リウマチ
足の親指のつけ根の痛み、はれで始まる 痛風
膝・足の関節が痛み、はれる 変形性膝関節症
変形性足関節症
股、膝などの関節が痛み、はれる 結核性関節炎
太ももや上腕などの骨が痛み、はれる 化膿性骨髄炎

◆ 下肢

症状 疑われる病気
下肢がむくみ、はれて、痛む 血栓性静脈炎
多くは下肢のむくみ・はれ、腹水 肝硬変

◆ その他

疑われる病気
毛囊炎
脂肪腫
悪性腫瘍

むくみから考えられる主な病気

◆ 腎性浮腫

症状 疑われる病気
顔・手足のむくみ、尿が出にくい ネフローゼ症候群
血圧の上昇、血尿 急性糸球体腎炎
とくに下肢のむくみ、労作時の息切れ、胸苦しい 糖尿病性腎症

◆ 心性浮腫

症状 疑われる病気
足を中心とするむくみ、夕方強くなる、呼吸困難 慢性心不全
肺性心

◆ 肝性浮腫

症状 疑われる病気
多くは下肢のむくみ、腹痛、腹水、黄疸、手掌紅斑、意識障害 肝硬変

◆ 内分泌性浮腫

症状 疑われる病気
眼のまわり・顔・手足のむくみ、汗をかかない、寒がり 甲状腺機能低下症
顔がむくんで赤ら顔、手足が細くなる、おなかは太る クッシング症候群

◆ 栄養障害性浮腫

症状 疑われる病気
顔・下肢・全身のむくみ、腹痛、下痢、吐き気・嘔吐 メネトリエ病
蛋白漏出性胃腸症
手足のむくみ・しびれ感、動悸、筋力低下、脚気心 ビタミンB1欠乏症

◆ 静脈性浮腫

症状 疑われる病気
足の静脈の怒張、立位での足のだるさ・重量感・痛み、むくみ 静脈瘤
頭・まぶた・腕のむくみ 上大静脈症候群

◆ リンパ性浮腫

症状 疑われる病気
夕方の足・かかと・手の甲のむくみ、皮膚の硬化 リンパ浮腫

◆ その他

はれ、むくみとは?

「はれる」というのは、皮膚のある部分が異常にふくらむことをいいます。皮膚以外でも、体内の臓器やリンパ節などの腫脹も広い意味でははれに入ります。
「むくみ」とは、血液中の水分が血管のなかから外ににじみ出し、異常に増加した状態で、「浮腫」ともいいます。おでこやすねなど、すぐ下に骨があるところを数秒間押して放すと、ペコッとへこんでしばらく元にもどらないなら、むくみと考えられます。

はれている

はれを起こす原因にはさまざまありますが、日常、最もよくみかけるのは炎症によるものです。切り傷や刺し傷などの外傷による細菌感染、炎症を伴う皮膚障害、虫刺されや日焼け、薬かぶれなど。そのほか腫瘍ができたり、血液やリンパ液がたまり、うっ滞を起こしたりするとはれてきます。
皮膚の症状としてのはれは、たいていの場合は一過性の炎症で、皮膚科で適切な治療を受ければ心配ないものです。しかし、なかにはがんなどの存在を示しているはれもあるので注意が必要です。
リンパ節は直径1mmから2cmくらいの大きさで、全身に約500~600個散らばっています。ウイルスや細菌による感染症など多くの原因ではれてきますが、とくに注意したいのが悪性リンパ腫やがんによるもの。悪性リンパ腫では全身のどのリンパ節でもはれますが、とくに首や腋の下、足の付け根の部分のリンパ節のはれが直接触れて確認できる場所です。一般に、はれているリンパ節を圧しても痛みのない場合が多いのですが、急にはれが大きくなったときには痛みを伴うことがあります。
関節のはれで代表的な病気は関節リウマチ。関節炎(はれ)は、最初は手首や指の関節に起こる傾向があり、進行すると大きな関節に及び、ほぼ全身の関節に現れることもあります。関節リウマチは女性に多く発症し、男性の約5倍くらいです。
よく似たものに痛風がありますが、こちらは90%以上が男性に発症します。背景に高尿酸血症があり、初めて発症する人の約70%は足の親指の付け根の関節がはれて赤くなり、激痛が起こります。

むくんでいる

人間の体重の約60%は水分で、さまざまな調節機構がはたらいて、その水分を常に一定に保っていますが、それが障害されるとむくみが起こります。
病気や異常がとくになくても、過労や睡眠不足、運動不足、女性の月経時や妊娠時などや、長時間乗り物に立って乗っていると足がむくむことは、日常よく経験します。
また、塩分のとりすぎや薬剤の服用(非ステロイド性抗炎症薬、血管拡張性降圧薬、ナトリウム含有薬、甘草製剤など)でもむくみます。
病気によるむくみは、腎臓、心臓、肝臓、内分泌系、静脈、リンパ節などの病気で起こります。
はっきりとした原因がないのに、全身性のむくみが周期的に起こるものを特発性浮腫といいます。このむくみは立位で誘発されることが多く、一般には夕方にむくみが著しくなり、下肢や手、腹部、顔に出現します。