出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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腰痛、関節痛から考えられる主な病気

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腰痛から考えられる主な病気

◆ 腰痛に伴って下肢の痛み・しびれ、下肢の筋力低下、排泄障害

疑われる病気
腰椎椎間板ヘルニア

◆ 臀部や大腿後面の痛み、腰曲がりや体が側方に曲がる

疑われる病気
変形性腰椎症

◆ 長時間の立ち仕事や同じ姿勢を続けたり、体を後ろに反らせると痛みが増強

疑われる病気
腰椎分離・すべり症

◆ 間欠性跛行、前かがみになると症状がなくなる、連続歩行距離・時間の短縮

疑われる病気
腰部脊柱管狭窄症

◆ ただ腰が痛い、痛みが強くなったり弱くなったりを繰り返す

疑われる病気
腰痛症

◆ 臀部痛、深呼吸時の胸部痛、股関節・膝関節・アキレス腱部の痛み

疑われる病気
強直性脊椎炎

◆ 大腿背面から下腿、足背部などの痛み・しびれ

疑われる病気
座骨神経痛

◆ 腰背部痛

症状 疑われる病気
背骨が曲がってきた 骨粗鬆症
骨盤・大腿骨・下腿骨の圧痛・叩打痛、あひる歩行 骨軟化症
発熱、圧痛・叩打痛 高熱(急性)、微熱(慢性) 化膿性脊椎炎
微熱 脊椎カリエス

◆ 腰背部痛・側腹部痛

症状 疑われる病気
血尿、頻尿、残尿感、排尿困難 発熱 急性腎盂腎炎
吐き気、便秘 遊走腎
下腹部痛、血尿 尿管結石
水尿管症

◆ 下腹部の腫瘤感・膨満感・痛み、月経異常、動悸、息切れ

疑われる病気
子宮筋腫

◆ 不正性器出血、おりものの増加、下腹部痛、血尿

疑われる病気
子宮頸がん

◆ 肩こり、憂うつ、ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)、発汗、動悸、めまい

疑われる病気
更年期障害

◆ 腹部に拍動性の腫瘤、腹痛

疑われる病気
腹部大動脈瘤

◆ 胸・背中・骨の痛み、全身倦怠感、貧血、むくみ、骨折、体重減少

疑われる病気
多発性骨髄腫

関節痛から考えられる主な病気

◆ 膠原病

症状 疑われる病気
両頬の蝶形紅斑、中心部が脱色して萎縮した発疹、寒冷時の手指の蒼白~紫色 全身性エリテマトーデス
ゆっくりと進行する筋力の低下、筋肉痛、眼瞼部のはれた紫赤色の皮疹 多発性筋炎・皮膚筋炎
手指から体の中心に向かって広がる皮膚の硬化、寒冷時の手指の蒼白~紫色 強皮症
発熱、体重減少、紫斑、皮膚の潰瘍、貧血、胸痛、腹痛、血痰、高血圧 結節性多発動脈炎・顕微鏡的多発血管炎
発熱、全身倦怠感、体重減少、筋肉痛、紫斑、手や足のしびれ アレルギー性肉芽腫性血管炎
全身性エリテマトーデス、多発性筋炎・皮膚筋炎、強皮症の症状をあわせもつ 混合性結合組織病
手指などの朝のこわばりが特徴、左右対称性の関節の痛み、はれ、発赤、熱感 関節リウマチ
大きな関節(膝、足首、肘、手首など)に左右対称に現れるはれ・痛み 小児特発性関節炎
口や眼の乾き、耳下腺のはれ、味覚異常、疲れ眼、関節の朝のこわばり シェーグレン症候群
発熱、関節の痛みとはれ、皮膚に輪の形をした赤い発疹、心不全症状 リウマチ熱

◆ その他

症状 疑われる病気
急に足の親指のつけ根などにはれ・熱感・発赤を伴う激痛 痛風
関節(半数以上が膝関節)のはれ・痛み・熱感・発赤、発熱、体重減少 偽痛風
膝、股関節、膝・手・足・肘の関節痛 変形性肘関節症
手における変形性関節症
変形性股関節症
変形性膝関節症
変形性足関節症
正座や足首の前の部分をこする動作により足首の前に起こる痛み・はれ 足関節滑液包炎
股関節・膝関節の痛み、歩く様子がおかしい、3歳~10代前半の男子に多い ペルテス病
手足の骨の関節に近いところから発症、骨の関節の痛み・はれ、筋肉痛 骨肉腫
発熱、寒気、ふるえ、膝・太もも・肩などの関節の痛みとはれ 化膿性関節炎

腰痛、関節痛とは?

人の体は、200本を超える骨によって形づくられています。骨と骨の連結部分を関節といい、骨と関節、それを動かす筋肉や腱、さらに運動神経や知覚神経により、私たちの体は自由に動くことができるようになっています。
したがって、それらのどれかひとつにでも障害が起こると、さまざまな痛みが生じてきます。ここでは、そのなかの「腰痛」と「関節痛」についてみていきます。

腰痛を起こす病気

重い上半身を一手に支えている腰…腰痛は人類が2本の足で立って以来の宿命的な症状といえます。整形外科系の病気はもちろん、それ以外の病気でも起こり、原因となる病気は多岐にわたるため、単に腰部の痛みだけでなく、随伴する症状がないかどうかにも十分に注意を払う必要があります。
さまざまな検査をしても、とくに原因となる器質的病変が見当たらず、下肢痛などの神経症状を伴わない腰痛を腰痛症と呼んでいます。一般に「ぎっくり腰」と呼ばれる急性腰痛症と、痛みが強くなったり軽くなったりを繰り返す慢性腰痛症があります。
急性腰痛症は、何か腰を痛くするきっかけがあって、あるいはとくに理由もなく突然激しい腰痛が出現します。痛み以外に症状がないのが普通で、数日以内に痛みがとれるならそれほど心配いりませんが、持続するなら腰椎椎間板ヘルニアなども考えられますので整形外科へ受診してください。
近年増えている骨粗鬆症でも、腰痛が起こることがあります。閉経後の女性に多い病気で、最大の原因であるカルシウム不足への注意が叫ばれています。
整形外科系以外の病気では、まず腰部近辺にある臓器の病気があげられます。急性腎盂腎炎、遊走腎など腎臓の病気、子宮筋腫、子宮頸がんなど婦人科の病気では、腰痛は重要な症状のひとつです。

関節痛を起こす病気

関節に異常が起こると、痛みをはじめ、はれや運動制限、強直(関節が固まり動かなくなること)、変形などが生じます。関節の痛みには、とくに刺激を加えないのに痛む自発痛、押すと痛む圧痛、動かすと痛む運動痛があります。その痛みはさらに、1カ所の関節が痛む単発性と複数が痛む多発性、片側の関節が痛む場合と左右対称に痛む場合に分けられ、これらは病気を診断するうえで重要なポイントになります。
関節痛といえば、膠原病があげられます。全身に分布する膠原線維が何らかの原因で変化して起こる病気です。症状は病気により差がありますが、発熱、体重減少、関節や皮膚・循環器・肺・腎臓の症状、貧血など、かなり共通した症状を示します。
そのほか、足の親指が突然激しく痛みだす痛風や骨の腫瘍など、さまざまな病気が関節痛を起こします。骨肉腫は代表的な骨の悪性腫瘍で、若い人に多く発生します。腫瘍の増殖が旺盛で、肺を中心としたほかの部位へ転移しやすい性質をもっているため、何よりも早期発見が望まれます。