縦隔炎
じゅうかくえん
縦隔炎とは?
どんな病気か
縦隔とは、上方は胸郭入口部、下方は横隔膜、前方は胸骨、後方は脊柱によって囲まれた腔です。簡単には、左肺と右肺の間の領域と考えればよいでしょう。この縦隔に感染を起こした病気を、縦隔炎と呼びます。
症状の現れ方
食道に孔があくと、胸骨後方の激痛、悪寒戦慄、発熱が現れます。重症になると細菌が血液のなかに入り、敗血症を発症する場合もあります。
検査と診断
内視鏡検査に引き続いて胸骨後方の激痛などを訴えた場合や、食道がんの既往のある人が同様の症状を訴えた場合には、本症を疑って胸部X線を撮影します。胸部X線像では、縦隔陰影の拡大や縦隔気腫がみられます。血液検査では、白血球数の増加やCRPが高値を示します。
治療の方法
強力な抗菌薬(ペニシリン、セフェム系、カルバペネムなど)を投与します。小さな孔であれば保存的治療でも治癒しますが、大きなものでは外科的処置が必要です。孔がふさがるまでは、絶飲絶食として点滴で栄養を補給します。
原因が食道がんの場合、予後は極めて不良ですが、ほかの原因の場合ではおおむね治ります。
病気に気づいたらどうする
患者さんよりも医師が、この疾患を疑うことが重要です。内視鏡検査に引き続いて胸骨後方の疼痛を患者さんが訴えた場合には、すみやかに胸部X線を撮影する必要があります。
患者さんも、内視鏡検査から帰宅後に胸骨後方の疼痛を感じたら、すぐに内視鏡検査をした医師に連絡をとります。
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コラム縦隔気腫
縦隔内に空気がたまる病気をいいます。重い物を持ち上げる、出産、排便時のいきみ、発声、咳などで肺胞内圧が急激に上がり、肺胞が破裂して発症します。気管支喘息の発作時や内視鏡検査後に起こることもあります。
やせ型の若年男性に多いのですが、自然気胸と異なり喫煙との関係はありません。自覚症状としては胸痛が多く、頸部、前胸部などに皮下気腫を伴うと、特有の握雪感(雪を握ったような感じ)を認めます。
胸部X線像では、心臓辺縁に沿う空気層(多くの例で左側に)がみられます(図47)。
多くの例では、安静のみで空気は吸収され、治癒します。再発は15%程度にみられます。
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