出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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精索静脈瘤
せいさくじょうみゃくりゅう

もしかして... 男性不妊症  不妊症

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精索静脈瘤とは?

どんな病気か

 精索の静脈(蔓状静脈叢)が蛇行、拡張し、その程度が強い場合は陰嚢内に腫瘤を形成します(図7図7 精索静脈瘤)。陰嚢痛を訴えることもあります。80~90%は左側に生じ、思春期以降に多いのですが小児にもみられ、男性不妊症の原因になることがあります。

原因は何か

 左側の精巣静脈は右に比べて長く、左の腎静脈へと合流していきますが、還流障害が生じて静脈血が停滞・逆流すると、精索静脈がこぶ状に拡張してきます。その原因としては、静脈弁の先天性不全や左腎静脈が上腸間膜動脈により圧迫されることが考えられています。静脈のうっ血により陰嚢内の温度が上昇して、精巣の発育不全、精子の形成不全を引き起こし、不妊症の原因になります。

検査と診断

 精巣の上部に腫瘤を触れたり、陰嚢や鼠径部の疼痛を訴えることもあります。数分間立位にして腹圧をかけると腫瘤がはっきりします。患側の精巣が小さいこともあります。アイソトープを使った診断法もありますが、通常は触診と超音波検査で十分診断できます。

治療の方法

 治療は外科手術によります。成人で疼痛が強い場合や、男性不妊症の原因と考えられる場合には手術の適応となります。思春期でも精巣の大きさに差がある場合は、将来の不妊を予防するため手術の適応と考えられています。開腹または内視鏡下で拡張した血管を結紮(しばる)する方法が通常行われます(高位結紮術)。術式間で手術成績(再発率)にはほとんど差がありません。

 この病気は男性不妊症患者の25~30% にみられ、手術により精巣の大きさが改善したとの報告はありますが、不妊症が改善するかどうかの結論は、まだ得られていません。

(執筆者:たけだ泌尿器科クリニック院長 武田 光正)

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