出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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急性喉頭炎
きゅうせいこうとうえん

もしかして... 感冒  かぜ症候群  肺炎  猩紅熱  麻疹

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急性喉頭炎とは?

どんな感染症か

 感冒かぜ症候群)にかかった時に、声を出す喉頭部分がとくに強い炎症を起こした状態をいいます。

 ウイルスに感染して起こる場合が多く、さらにインフルエンザ菌、肺炎球菌、溶血連鎖球菌、ブドウ球菌などの細菌との混合感染を起こすこともあります。刺激性のガスや煙、ちりやほこりの吸入、たばこの吸いすぎ、気候の急変、鼻かぜやのどの炎症が誘因となり、冬に多くみられます。猩紅熱麻疹百日咳などの感染症に合併することもあります。

症状の現れ方

 鼻水やのどの痛みなどのかぜ症状に引き続いて、または前触れなく突然、声がれ、発作性の咳、痰が出るようになり、時に軽度の発熱や嚥下痛(食べ物を飲み込む時の痛み)を伴うこともあります。選挙運動やスポーツの応援など過激な声の酷使から発症することもあります。

検査と診断

 耳鼻咽喉科でのファイバースコープ(軟性内視鏡)などを使ったのどの検査で、粘膜の発赤や腫脹(はれ)をみることで診断できます。

治療の方法

 声がれがひどい場合、数日間声をいっさい出さない沈黙療法が必要になります。薬物治療が主で、抗菌薬や消炎薬を内服します。また、吸入器またはネブライザーから喉頭へ局所的に抗菌薬、ステロイド薬、血管収縮薬(腫脹を軽減)の噴霧投与を行います。

病気に気づいたらどうする

 声の安静(発声しないこと)と、のどが乾燥しないように加湿することが大切です。たばこはいっさい避け、水分補給と室内の湿度の維持、十分な睡眠と栄養補給、疲労回復に努めます。早めに耳鼻咽喉科医の診察を受けてください。

急性喉頭炎と関連する症状・病気

(執筆者:東京女子医科大学東医療センター耳鼻咽喉科准教授 余田 敬子)

咽頭喉頭炎に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、咽頭喉頭炎に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

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コラム症状が強い喉頭炎

東京女子医科大学東医療センター耳鼻咽喉科准教授 余田敬子

 特殊な喉頭炎では、時に生命を脅かす危険性を伴います。喉頭は気管の入り口にあり、この部分がウイルスや細菌に感染して炎症を生じ、高度にはれあがると気道閉塞(窒息)を起こすことがあるからです。病状によっては、すぐに呼吸改善の緊急処置や入院治療を必要とする場合があります。

 このような重い喉頭炎として、急性喉頭蓋炎と急性声門下喉頭炎があげられます。気管の入り口のふたとなっている喉頭蓋が炎症を起こす急性喉頭蓋炎は小児にも成人にもみられます。軽いかぜの症状から急に症状が悪化して、高熱、激しい嚥下痛(食べ物を飲み込む時の痛み)、喘鳴(呼吸時にのどから聞こえる狭窄音)を伴う呼吸苦に進みます。

 喉頭から気管の入り口まではれる急性声門下喉頭炎は、クループとも呼ばれ6カ月~3歳までの乳幼児に多く、犬がほえるような咳や声がれを伴います。

 いずれの場合も、早期に受診して適切な治療を受けることが大切です。

急性喉頭炎に関する医師Q&A