専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

筑波大学附属病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

消化器外科

分野

消化器・一般外科

特色

癌治療を中心とした消化器外科領域の他に、肝臓の移植を行っており、臓器ごとの専門医が担当してきめ細かい診療を心掛けている。治療法の主体は手術であるが、放射線や抗癌剤の適切な併用を行う集学的治療を関連診療グループと協力して行っている。

症例数

手術件数405例

食道癌=03~11年の食道癌手術治療総数は150症例。内科・放射線科と合同して術前診断の精度を高め、手術により治癒可能か、または抗癌剤・放射線を加えた集学的治療が必要かを明確に見極めた上で治療を進めている。私どもの基準で手術単独治療により治癒可能と推定された症例数は全体の1/3であったが、その50例の遠隔成績としては、術後3年・5年生存率が87%・84%と非常に良好であり、手術の質の高さが立証されている。また、手術方法に独自の工夫を凝らしており、完全な嚥下機能の温存・低率な吻合部リーク(1.5%)を確立している

胃癌=胃癌の主な手術件数は幽門側切除30例、噴門側切除4例、胃(残胃)全摘16例、部分切除1例で、その他GISTに対する手術も施行している。早期胃癌に対しては、術後QOL(生活の質)の低下が少ないような再建方法をとりながら、ガイドラインに従った診療を行っている。腫瘍内科、放射線科と連携をとりながら、集学的治療を施行している

大腸癌=結腸癌手術36例、直腸癌手術14例、その他の手術42例。直腸癌に対しては機能温存手術を心掛け、症例に応じて腹腔鏡下手術、小開腹手術を施行している。進行癌症例には積極的に術後補助化学療法を行っている

★炎症性腸疾患の外科治療症例は潰瘍性大腸炎4例、クローン病4例。積極的に鏡視下手術を行っている

肝臓=07〜11年の肝切除術数は209例(肝細胞癌92例、転移性肝癌58例、その他59例)。切除可能な症例には積極的に手術を行っている。肝細胞癌術後平均在院日数15日、過去5年の術後在院死亡1例。肝細胞癌の5年生存率は約51.7%。肝細胞癌治療はガイドラインに従い、切除、ラジオ波焼灼術(RFA)、肝動脈塞栓療法(TAE)などによる集学的治療を行っている

胆道=胆道癌切除例は、胆管癌10例(肝葉切除+胆管切除3例、膵頭十二指腸切除6例、肝外胆管切除1例)、胆嚢癌7例(肝切除+肝外胆管切除6例、開腹胆嚢摘出術1例)。5年生存率は胆管癌30%、胆嚢癌30%。肝門部胆管癌も積極的に切除を行っている。手術にあたっては3次元画像による手術シミュレーションを行い精緻な術前プランニングをして手術に臨んでいる。術後補助化学療法にも積極的に取り組んでおり、全国多施設共同臨床試験BCAT (Bile Duct Cancer Adjuvant Trial)が進行中である。その他、専門的知識が要求される胆道拡張症、膵胆道合流異常など胆道疾患全般にわたり診療を行っている。胆嚢良性疾患に対しては腹腔鏡下での治療を基本としている

膵臓=膵切除例は10年度27例、11年度32例行っている。特に、高難度手術の代表である“膵頭十二指腸切除(PD)”は03年以降、200例以上の経験を持ち、茨城県内の膵手術の中心的な役割を担っている。膵切除術において克服すべき膵液漏などに独自の対策を講じることにより、00~05年頃以前は術後のQOLが決して十分とは言えなかったPDも、今では術後4日目から食事を開始し、平均14日で退院して頂ける標準手術になった。安定した手術技術のおかげで、補助化学療法を術後早期から追加することが可能になり、手術だけを重視しすぎない、患者さんの総合的な予後の改善を目指す集学的治療が行えている

鏡視下手術=腹腔鏡下胆嚢摘出術21例、大腸手術4例、胃手術3例。

医療設備

腹腔鏡下手術装置、超音波外科吸引装置、ハーモニック・スカルペル、リガシュア、エンシール、ラジオ波焼灼装置、陽子線等。
  • セカンドオピニオン受入 〇
  • 初診予約 〇
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 千葉・茨城」(ライフ企画 2012年11月)

呼吸器外科

分野

呼吸器外科

特色

肺・気管支・胸壁・縦隔の外科治療を中心に専門的な診療を行っている。09年4月呼吸器外科グループとして独立し、新体制となり更に充実した。肺癌を中心とした胸部・呼吸器領域の腫瘍性疾患、悪性疾患の診断・治療、気胸・肺嚢胞性疾患・肺気腫、重症筋無力症、膿胸などの疾患の診断と外科手術を中心とした治療を行っている。胸腔鏡手術を積極的に取り入れ、低侵襲で痛みが少なく入院期間の短い治療を行っている。肺癌の手術もその8割以上に胸腔鏡を使用し、術後在院日数も7日に短縮している。進行症例には呼吸器内科・放射線治療科と連携の上集学的治療を積極的に行っている。セカンドオピニオンにも積極的に取り組んでおり、月〜金まで毎日受け付けている。

症例数

手術症例数は新体制となり増加中、年間約200例超。内訳は肺癌が100例を超え、転移性肺腫瘍が約30例、縦隔腫瘍が約20例、気胸が約40例等

★肺癌にも積極的に胸腔鏡手術を導入し、標準的な肺癌手術は完全鏡視下に行い入院期間を短縮している

★縦隔腫瘍・気胸・膿胸等の手術にも積極的に胸腔鏡を用い低侵襲化を図っている

★肺癌治療は肺癌診療ガイドラインに沿って、十分なインフォーム・ドコンセントの上行っている。低肺機能者や高齢者には状態に応じて治療法を選択している

★術後補助化学療法を積極的に行い、入院する必要のない外来化学療法も行っている

肺癌5年生存率=IA期88.7%、IB期57.8%、IIA期75.8%、IIB期49.5%、IIIA期35.6%

★肺癌は組織型・遺伝子変異に基づき、補助化学療法および再発時の化学療法を選択するオーダーメイド治療を行っている

★気管狭窄に対し気管ステント、早期肺門部扁平上皮癌に対し、光線力学的治療を行っている

★低肺機能等で手術不能な場合は放射線治療部と連携し、照射範囲を病変に集中させる陽子線治療を行っている

★自己免疫疾患である重症筋無力症に対し症状の改善に有効な拡大胸腺全摘術を行っている

★膿胸・肺真菌症・肺膿瘍などの肺感染症、肺分画症・気管支原性嚢胞等の先天性疾患に対する手術を行っている

★手掌多汗症、反射性交感神経萎縮症に対して、胸腔鏡下交感神経焼灼術を行っている。

医療設備

胸腔鏡、狭帯域光観察(NBI:Narrow Band Imaging)胸腔鏡、蛍光気管支鏡、超音波気管支鏡、レーザー内視鏡、陽子線、リニアック、CT、MRI。
  • セカンドオピニオン受入 〇
  • 初診予約 〇
  • 主治医指名 〇
  • 執刀医指名 〇

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 千葉・茨城」(ライフ企画 2012年11月)

心臓血管外科

分野

心臓血管外科

特色

77年に筑波研究学園都市に開院以来、茨城県南地域に高度先進医療を提供する基幹病院として機能するとともに、茨城のみならず、全国に70人以上の優秀な心臓血管外科医を排出してきた。大学附属病院の性格上、他院から紹介の、特に難治性の疾患や合併症を持つ症例を扱う機会も多いが、最近では救急手術の依頼などにも積極的に対応し、地域の救急医療にも貢献している。スタッフ一同で、日常臨床で浮かんできた問題点解決のための研究にも積極的に取り組み、その成果をまた臨床現場にフィードバックできるよう努力している。http://www.md.tsukuba.ac.jp/public/clinical-med/cardiovascularsurg/index2.htm

症例数

予定手術日は月・火・木曜日であり、これに加えて随時緊急手術を行っている。過去数年間の当科の総手術数は、年間平均約300例で年々増加している。心臓移植を除くすべての心臓血管手術を行っているが、とくに心臓・胸部大動脈手術は、09年度に173例、10年度に153例、11年度に148例行った。総手術件数の増加に反して、心臓・胸部大動脈手術数が減少している理由として、新しい冠動脈ステントの開発による冠動脈バイパス手術の減少が大きな因子となっているのは、他の施設の動向と同じである

★先天性心疾患では、安定した標準術式で根治できる症例に対しては、小さな切開創で低侵襲手術を短時間で行っている。新生児・乳児期に手術を要する場合には、できるだけ根治術に取り組むことにしているが、複数回の段階的手術を行うこともある。心室中隔欠損孔の連続縫合により手術時間を短縮したり、大動脈弁閉鎖不全に対して弁形成術(leaflet extension法)を全国に先駆けて導入している

★心臓弁膜症では、人工弁置換は機械弁・生体弁を説明の上、ご希望にあわせて選択していただくことにしている。リウマチ性や感染が原因でない弁逆流症には、弁形成にも積極的に取り組んでいる。僧帽弁膜症に合併することの多い心房細動に対する手術も同時に行うことにしている

★冠動脈バイパス手術では、内胸動脈・橈骨動脈などの動脈グラフトを積極的に使用し、狭窄の先すべてに血流を増加させる完全血行再建を原則としている。人工心肺を使用しない心拍動下冠動脈バイパス手術を原則としている

★大動脈・末梢血管手術では、大動脈瘤に対する手術治療に加え、症例検討を厳密に行ったうえで、できる場合には積極的にステントグラフト内挿術を選択している。閉塞性動脈疾患については、バイパス手術のみならず、カテーテル治療・末梢血造血幹細胞移植治療(先進医療)なども駆使して、総合的に最適な治療を選択できるようにしている。下肢静脈瘤に対しても、十分な検査を行った上で、硬化療法・大伏在静脈高位結紮ならびにストリッピング手術に加え、レーザー治療も導入して、患者様のニーズに合う治療を行うことにしている

★心臓ペースメーカー・ICD植え込み手術では、当院循環器内科(青沼和隆教授)との連携で手術適応の検討を慎重に行い、両心室ペーシングを含めて積極的に取り組み、近県からの紹介患者を含め症例が大幅に増加してきている。心臓ペースメーカー・ICDのリード抜去にも循環器内科とともに、人工心肺をできるだけ使用することなくレーザー抜去システムと外科的抜去の組み合わせ対応している。

医療設備

心カテーテル・血管撮影装置、CT、MRI、心エコー、RI検査装置、人工心肺装置、IABP、PCPS、自己血回収装置、心臓クライオ手術装置、12年末に完成する新病棟には、ハイブリッド手術室、ダヴィンチ手術用ロボットなどを導入する。
  • セカンドオピニオン受入 〇
  • 初診予約 〇
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 〇

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 千葉・茨城」(ライフ企画 2012年11月)

腎臓内科

分野

腎臓内科

特色

当科では原発性糸球体腎炎、糖尿病・高血圧・膠原病等による二次性腎疾患、多発性嚢胞腎を含めた遺伝性腎疾患、間質性腎炎などすべての内科的腎疾患ならびに急性・慢性腎不全および維持透析患者における合併症などを総合的に診断、治療している

★また、腎疾患以外の肝疾患、自己免疫疾患や神経筋疾患などの疾患に対しても、積極的に血液浄化療法などの治療を行っている

★教育面においては、優れた内科医ならびに腎・透析専門医の育成に努めている。また、糸球体腎炎発症に関わる免疫学的機序、腎臓と幹細胞、腎疾患モデル動物の開発、腎疾患におけるミトコンドリアの関連などの基礎的研究、ならびに慢性腎炎・ネフローゼ症候群・急速進行性糸球体腎炎の疫学・治療法などの臨床的研究にも力を注いでいる

★山縣教授は厚生労働省進行性腎障害調査研究班急速進行性腎炎分科会の分担研究者を05年から務め、07年度に開始した厚生労働省「腎疾患重症化予防のための戦略研究」の研究リーダー、10年度からは研究代表者として、かかりつけ医と腎臓専門医の協力体制による透析導入患者の減少を目指し、現在この知見をもとに慢性腎臓病の医療連携の構築と均てん化、および医療施策への反映の検証を行っている。

症例数

外来患者数は週に約250人、近隣の医療機関からの紹介患者も多く、慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、糖尿病・高血圧・膠原病等による二次性腎疾患、多発性嚢胞腎、間質性腎炎などの腎疾患、および慢性腎不全患者に至るまで幅広く診療している。入院ベッド数は19床で、年間入院患者は約200人

★原発性糸球体腎炎や二次性腎疾患などの確定診断に必要な腎生検は、主に超音波下で経皮的に、年間約100例程度施行している。さらに、週1回病理組織検討会を開き、臨床所見と総合して診断・治療法の決定と予後の推定を行っている。各種腎疾患の治療法に関しては、臨床所見・病理組織所見から得られた診断・各治療の反応性・予後、各治療による副作用および個々の患者における合併症を総合して、十分なインフォームド・コンセントを提示した上で、最善な治療方針を選択している。また、関連医療機関で施行された腎生検標本に対しても、病理組織診断(光学顕微鏡、蛍光抗体法、電子顕微鏡より)を年間約200例程度行い、各医療機関に報告している

★すべての内科的腎疾患ならびに腎不全患者に対して、薬剤師、管理栄養士、看護師、臨床検査技師等のメディカルスタッフと協力し、患者・家族を対象とした腎臓病教室の開催や個別指導により、薬物療法、食事療法、生活指導を含めた総合的な治療を実践している

★慢性腎不全患者の新規透析療法導入数は年間40~50人、重症合併症に対する治療目的にて紹介される維持透析患者は年間50~100人、その他、急性腎不全患者や他臓器疾患の合併症を有する保存期慢性腎不全患者の検査・治療の際の一時的な透析療法を含めると、延べ透析患者数は年間約350人である。新規血液透析療法導入の際に必要な内シャントも腎臓内科医が作成しており、年間約100例施行している。安定した新規維持血液透析患者は関連医療機関に紹介し、維持腹膜透析患者は腹膜透析外来で診療を継続している。一方、他の医療機関からの紹介を受ける透析患者は、長期維持透析合併症に対する治療のほか、悪性腫瘍合併のための手術・放射線・薬物療法目的や、虚血性心疾患や弁膜症などの心疾患に対するカテーテル治療、手術療法目的など様々で、各診療科と協働して治療にあたっている

★生体腎移植および献腎移植の際に、消化器外科を主とした移植チームに参加し、検査・治療を行っている

★血液浄化療法は、劇症肝炎・術後肝不全に対する血漿交換療法や全身性エリテマトーデス、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症などの自己免疫疾患や神経筋疾患に対する血漿交換および免疫吸着療法を年間30~40人、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患症例に対する血球成分除去療法(顆粒球吸着療法)を年間20~30人、計延べ年間80~100件施行している。また、多臓器不全・SIRSに対する持続血液透析濾過やエンドトキシン吸着療法も年間10~20件施行している。

医療設備

血液浄化療法部に人工透析室(9床):個人用血液透析濾過装置11台・血漿交換装置5台・持続血液透析濾過装置5台、ICU内にも移動式逆浸透装置を2台有する。その他、病院全体としてCT、MRI、核医学検査等、大学病院として標準的な設備を完備している。
  • セカンドオピニオン受入 〇
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 千葉・茨城」(ライフ企画 2012年11月)

整形外科

分野

整形外科

特色

外来1日平均90人、入院ベット数約50。ベット数の制限から、関連病院と連携し合って治療を行い、入院手術待ち日数の短縮を図っている。外傷は関連施設で行われることが多いが、合併症を伴った難治例を受け入れている。人工関節置換術は、クリーンルームと抗菌薬投与の改良から感染に対し高い安全性を確保しております。自己血輸血は国内でも早期から取り入れており、人工関節置換術などの待機可能な症例に施行されてきている。医学医療系(整形外科)と体育系(スポーツ医学)の運動器系研究に携わる教官が協力して健康スポーツクリニックを行っている。スタッフの数は多く、高い専門性の発揮が可能。高度先進医療を必要とする難治例や他院からの紹介患者が多く、各領域ごとの専門診体制により最先端かつ最良の医療を提供するよう努めている。

症例数

11年度の手術実績:上肢機能外科=外傷・腱損傷18件、神経手術肘33件、関節30件。脊椎外科=頸椎手術22件、胸椎・腰椎手術37件、腫瘍18件、側彎症11件。股関節外科=人工関節置換術71件、人工関節再置換術16件、大腿骨頭壊死に対する骨髄血移植術30件、小児股関節11件。膝関節外科=人工関節置換術30件、人工関節再置換術7件、靱帯再建術(十字靱帯・側副靱帯) 13件。足関節外科=人工関節置換術1件、関節形成術5件。創外固定・骨延長=15件。外傷(救急)=人工骨頭置換術13件、観血的整復内固定術32件

手外科・肘関節外科・末梢神経障害=手外科領域では、手の疼痛性疾患、腱損傷・骨関節外傷、拘縮、感染、先天異常、関節リウマチ、CRPSなど幅広く診療を行い、良好な成績をあげている。診断困難な例、難治例や他院で治療がうまくいかなかった例に対しても対応している。腱損傷では、術後早期運動療法を行い良好な結果をあげている。関節リウマチでは、手・肘の機能障害や腱断裂に対して再建術や人工関節手術を行い、患者さんが使いやすい手・肘を再建している。月状骨軟化症(キーンベック病)には、低侵襲な新しい治療法を導入し、好結果を得ている。手・肘のスポーツ外傷・障害は、成長期から成人まで年代や競技レベルに応じた治療を行っている。変形性肘関節症に対しては関節形成術を行い、良好な結果を得ている。末梢神経損傷では、欠損を伴う症例に対し、神経伸長による神経移植を行わない新しい治療法を開発し、治療しています。腕神経損傷では、高分解能MRIや術前術中の電気診断を駆使し、適切な診断に基づいた神経剥離・神経移植・神経移行術を行っている。手根管症候群や肘部管症候群に対しては、電気診断により適切な評価を行い、良好な結果を得ている

脊椎・脊髄外科=上位頸椎から腰仙椎まで、年間約100~120件の手術(09~11年)を行っている。脊椎・脊髄腫瘍、後縦靭帯骨化症(OPLL)、リウマチや透析脊椎症、特発性・変性側弯症手術、悪性腫瘍の脊椎転移、再手術や多数回手術症例などが多くなっている。頸椎症性脊髄症、腰部脊柱管狭窄症に対する手術では、全身合併症のため関連病院での手術が困難な症例、高齢手術例が増加している。脊椎内視鏡や顕微鏡をつかった低侵襲手術を積極的に手掛けており、腰椎椎間板ヘルニアに対する経皮的脊椎内視鏡視下髄核摘出術(PELD)や脊椎内視鏡視下椎弓切除等の認定医療機関となっている。骨粗鬆症性圧迫骨折の偽関節例の一部適応例には、バルーン椎体形成術「骨セメント注入」を行っている。外来診療は、火曜日と木曜日に脊椎専門外来(紹介予約制)を行っている。また、長期休み(夏休み・冬休み・春休み)には、側弯症の特別外来を行っている。現在、大学附属病院では、検査・手術待ち期間が長くなっているので、筑波大学整形外科脊椎診療グループで、日本整形外科脊椎脊髄病医、脊椎脊髄病学会脊椎外科指導医のいる関連病院と連携をとりながら診療している

股関節外科=変形性股関節症・関節リウマチに対する人工股関節全置換術は、最少侵襲による6~8cmの手術創にて行い、早期離床、早期退院を目指し、1~3週の入院期間で済む成果をあげている。ベッド数の制限から、近医への出張手術も取り入れることにより、年間200例以上の人工股関節全置換術/再置換術を大学スタッフが行っております。臼蓋形成不全に対する臼蓋回転骨切り術や必要に応じて大腿骨の骨切り手術も採用している。先天性股関節脱臼や大腿骨頭壊死ではMRIによる予後予測と保存ならびに手術的治療を行っている。また、大腿骨頭壊死に対して、骨髄細胞移植を用いた新しい治療法にも取りくんでいる

膝関節外科=幼児の先天性膝蓋骨脱臼や若者の前十字靭帯損傷・半月板損傷などのスポーツ障害から高齢の方の変形性膝関節症まで、幅広く膝関節疾患を対象に治療を行っている。大学病院の性格上、手術までの待機期間が長いため、場合によっては近隣の関連施設に紹介して手術をさせていただくこともある。したがって、合併症の多い高齢者や関節リウマチ患者様の人工膝関節全置換術の手術件数が多くなるが、その他にも変形性膝関節症に対しては人工骨を用いた高位脛骨骨切り術や単顆型人工膝関節置換術など適応に応じて手術を行っている。スポーツ障害には関節鏡手術を主に行っており、トップレベルの選手からスポーツ愛好家のみなさまにも満足していただける治療を目指しています。前十字靭帯損傷では最新の治療法を採用しており、半月板も可能な限り縫合し、骨軟骨移植術なども応用して正常な関節機能を残す努力をしている。また複合靭帯損傷の治療も多く行っているのでご相談下さい。競技レベルの高い選手については術後リハビリテーションを体育科学系スポーツクリニックと連携し、早期競技復帰を目標にサポートしている

足部・足関節外科=足部外科領域では、先天性内反足・外反母趾などの足部変形、変形性足関節症、関節リウマチなどの関節疾患、スポーツ障害などの診療を行っている。先天性内反足ではPonseti法に基づいた矯正法を行っている。関節リウマチでは従来の関節固定や関節切除術に加え、関節温存手術、人工足関節置換術を行っている。足関節靭帯損傷では、機能的装具療法や局所材料を用いた再建術を行っている。関節鏡を駆使し、診断のほか、骨棘切除などの関節形成術や骨軟骨損傷に対する鏡視下手術も行っている。大腿骨頭壊死同様に距骨壊死に対しても、骨髄細胞移植を用いた治療に取り組んでいる。近年、軽度の外反母趾に対しては、日帰り手術も行っている

その他=イリザロフなど創外固定を応用した骨延長・骨移動術を、骨感染症の難治例や骨腫瘍例に対し病巣部切除後の欠損部修復に用いている。この方法は、小児の先天性骨疾患や外傷後の変形治癒に対しても積極的に用いられている。難治性偽関節に対しては、骨髄細胞移植を用いた治療や創外固定による治療で、好成績を得ている。骨粗鬆症は、最新の骨塩量装置を用いた骨量測定、骨代謝マーカー測定を行い、骨粗鬆症の診断ならびに治療効果の判定を行い、地域の病院・医院と連携しながら治療を行っている。関節リウマチはリウマチ内科と、小児の骨軟部腫瘍は小児外科・放射線科と共同して治療している。その他の診療科との連携も密で、骨感染症や合併症を有する症例では、内科・外科・小児科等の医師を含め総合的診療を行っている。火曜午前の総回診以外、一般整形外科と健康スポーツクリニックを開設している。

医療設備

CT 2台(64列および16列検出器)、MRI 3台(1.5T、3T)、SPECT装置2台、骨密度検査装置(DXA法)、超音波診断装置、神経生理機能検査装置。手術室は全室高性能空気フィルター装備で無菌手術室1室、高性能手術用顕微鏡、各種関節鏡、術中電気診断(MEP、SEP、SCEP)、手術用X線透視装置3台、超音波手術装置、レーザー手術装置、回収型自己血装置など。
  • セカンドオピニオン受入 〇
  • 初診予約 〇
  • 主治医指名 〇
  • 執刀医指名 ×

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 千葉・茨城」(ライフ企画 2012年11月)

形成外科

分野

形成外科

特色

形成外科全般を扱う。大学病院の特色として他科での悪性腫瘍切除後の再建や、先天性の疾患を扱うことが多い。茨城県内のセンターとして、顔面の骨折、切断指再接着などの救急疾患は10カ所の関連病院と連絡をとりあっている。10年より乳房再建外来を開設し、1期、2期再建、インプラントを行っている。

症例数

先天性の疾患では体表のもの(外から見えるもの)はほぼすべてを取り扱い、唇裂、口蓋裂、耳介の奇形、手足の奇形、外陰部奇形、臍の変形などを行っている。後天的な疾患としては血管腫(赤アザ)、色素性母斑(黒アザ)、皮膚の良性および悪性腫瘍(皮膚のできもの)や外傷(事故ややけど)の治療やその後の瘢痕や変形、加齢による眼瞼下垂、シミなどの治療を行い美しい仕上がりを目指している。手術時期は疾患によって異なるが、早期の受診により方針を説明し、患者さんに安心を与えるよう心がけている

★顔面の外傷、骨折は新鮮なものは救急外来経由で行う

★切断指の再接着や指趾の外傷後の変形や機能障害は微小外科(マイクロサージャリー)の手技を用いる

★熱傷後の瘢痕や母斑(アザ)の形成は植皮、皮弁、エキスパンダー、レーザーなどを用いた治療を行っている

★皮膚腫瘍(基底細胞癌、扁平上皮癌など)の切除、再建および頭頚部領域の再建を形成外科的手技、マイクロサージャリーの手技を用いて行っている。また乳癌術後変形に対する再建およびインプラント治療も行っている

★専門外来は毎週水曜に乳房再建外来を行っている。関堂教授は再建外科、富樫講師は小児先天異常の治療、足立講師は色素斑・母斑(アザ)、腫瘍の治療佐々木講師は手の再建を主としている。

医療設備

3D-MRI、CT、手術用顕微鏡、色彩計、各種のレーザー。
  • セカンドオピニオン受入 △
  • 初診予約 〇
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 千葉・茨城」(ライフ企画 2012年11月)

産婦人科

分野

産婦人科

特色

大学病院として各々の専門性を生かし、より高度で安全な医療を提供できるように、婦人科と産科に分かれて診療を行っている。婦人科は、婦人科悪性腫瘍、子宮筋腫、子宮内膜症、性感染症、更年期障害など幅広く婦人科疾患に対応している。すべての患者さんについて、診断から治療、その後の管理まで当科の専門医が責任を持って行っているのはもちろんのこと、状況に応じて院内の様々な診療科と密に連携をとっている。また、何よりもインフォームド・コンセントを重視し、患者さんがご自分の病状とそれに対する様々な治療法の詳細を十分に理解された上で、ご自分で適切な治療法を選択できるように心掛けている。http://www.s.hosp.tsukuba.ac.jp/

症例数

外来患者数=婦人科1日平均約100人、入院患者数=婦人科1日平均約50人

婦人科診療=中心は婦人科悪性腫瘍の治療。4人の婦人科腫瘍専門医が、他の産婦人科専門医、レジデントとともに、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌などの婦人科悪性腫瘍の診断・治療にあたっている。ここ数年、初回治療例だけで年間約200例の婦人科浸潤癌を扱い、全国の国立大学病院の中で第1位の患者数である。また、単に手術を行って治ればそれで良いということではなく、若い女性では妊娠できる能力をいかに残すことができるかにも、細心の注意を払っている。また子宮頸癌などの広汎子宮全摘出術での神経温存など機能温存に努力している。子宮筋腫、良性卵巣腫瘍などの良性疾患の治療は、内視鏡(腹腔鏡、子宮鏡)手術を主体とした最新の治療法を導入し、より患者さんの負担の少ない治療法を採用している。また、積極的に自己血輸血を行い、輸血の副作用軽減に努めている。年間手術件数約400件。平均在院日数約12日間

子宮頸癌=Ib期以上の浸潤癌の治療実績数は年間80例以上、上皮内癌を加えると170例以上の治療を行っている。I・II期癌では、主として自律神経温存の広汎性子宮全摘出術を行い、III・IV期癌では、放射線療法、化学療法の併用により高い治療成績を収めている。上皮内癌、微小浸潤癌に対しては積極的に短期入院での円錐切除術を行い、正確に診断することを重視するとともに、若い女性では妊娠できる能力の温存に心掛けている。若い女性で、限局した上皮内癌の場合、入院することなく「レーザー外来」でレーザー蒸散療法を行う

子宮体癌=治療実績数は毎年80例以上(0期癌である異型内膜増殖症を加えると約90例)の治療を行っている。子宮体癌も手術療法が基本だが、最近はより正確な診断のもとに、よりきめ細かい治療を行うように心掛けている。傍大動脈節転移に対しては、徹底郭清を行った後、化学療法に加えて腸管や骨髄への照射を避けた原体照射を行う。また、若年で早期発見された場合には、ホルモン療法(高用量MPA療法)により子宮を摘出せずに保存的に治療することも試みている

卵巣癌=発見時にすでに広い範囲に癌が広がっていることが多く、婦人科癌の中では最も予後が悪い癌だが、最近は手術療法と化学療法を組み合わせる集学的治療法により、その予後が徐々に向上しており、当科では手術ならびに化学療法に造詣の深い医師が、毎年40例以上の卵巣癌の治療(境界悪性腫瘍を加えると約60例)に力を注いでいる。特に進行癌の手術では、全大網切除、横隔膜下腫瘍切除、傍大動脈節郭清など積極的な腫瘍縮小(減量)手術を行っている。正確に診断された初期の卵巣癌で妊娠を希望される患者さんに対しては、片側の卵巣と子宮を温存の上、化学療法を省略し、良好な予後と妊娠できる能力の温存との両立を果たしている。また、卵巣癌再発例に対する手術も適応を考えて積極的に行っている

内視鏡手術=子宮頸癌Ia期・子宮体癌I期の子宮全摘出術・リンパ節生検には腹腔鏡下手術を導入している

★その他外来の特徴は、自己血外来(自己血を準備するための外来)、ナイスミィディー外来、レーザー外来を開設していることである。最近、外来での子宮鏡を無麻酔でできる最新型を導入し、積極的に行っている。外来段階で、CT、MRIをすばやく行うことができ、診断もトップレベルである。悪性腫瘍治療後のフォローアップは再発の危険性に応じて、通院間隔を定めている。外来化学療法も希望があれば行う。

医療設備

全国に4カ所しかない陽子線治療をはじめ、腟内照射(RALS)、組織内照射が可能。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 千葉・茨城」(ライフ企画 2012年11月)

眼科

分野

眼科

特色

①眼科全般の診断、治療、②難治性白内障、③角膜移植手術、④網膜硝子体手術、⑤眼腫瘍、眼窩腫瘍手術、⑥緑内障、⑦小児眼科。それぞれの専門スタッフによる診療体制を整えており、県内外の他施設からの紹介患者が多い。

症例数

10年度の外来患者数は新患が約2,000人、再来が約30,000人、手術件数は約1,700件である

★白内障・眼光学分野では一般的な白内障の他に、各地から紹介された難治性白内障の手術を数多く手がけている。また、先進医療である多焦点眼内レンズやトーリック眼内レンズにも力を入れており、良好な結果を収めている。波面収差解析、3次元前眼部OCTや、偏光OCTなど、バラエティーに富んだ測定器械を駆使して光学的な質(optical quality)、視覚の質(quality of vision)をキーワードとして様々な観点から視機能の評価を行っている。オルソケラトロジーに関しては国内臨床試験を担当し国内では最も早い時期から携わっている

★角結膜分野では、すべての前眼部疾患に対応できることを特徴とする。角膜内皮移植術や深層前部層状角膜移植などの最新角膜移植手術を行っており、最小の侵襲で最大の治療効果が得られるようになった。また羊膜移植も積極的に行っている。角膜感染症に関しては、PCR/LAMP法を用いた遺伝子検出から新規薬物療法の開発に至るまで、すべての領域でフルセットの診断と治療を行うことができる

★網膜硝子体分野では、年間約500件の手術を行っている。そのうち緊急手術が約150件と多いのが特徴である。また県南で唯一24時間体制の眼科当直を行っている施設であるため、眼外傷が多い。糖尿病網膜症や黄斑浮腫など、糖尿病網膜症関連の手術が全体の半数を占める。黄斑円孔、黄斑前膜、黄斑浮腫、糖尿病網膜症、網膜剥離、眼外傷などあらゆる手術を行っている。網膜剥離の最終復位率は95%以上、外傷による術後視力残存率は70%を超える。小切開無縫合硝子体手術による早期眼圧上昇、前房フレアの変動、角膜形状、涙液動態、立体視、変視、コントラスト感度に対する評価を行っており、より低侵襲な硝子体手術を目指すべく努力をしている。黄斑変性に関してはレーザー治療や抗VEGF抗体による硝子体注射を行っている。未熟児網膜症の診療も行っている

★ぶどう膜分野では、サルコイドーシス、ベーチェット病、原田病などの代表的ぶどう膜炎疾患をはじめとして様々なぶどう膜炎に対する診断、治療を行っている。症例により、ステロイドのテノン嚢下注射、硝子体手術なども行っている

★緑内障分野では、線維柱帯切除術、線維柱帯切開術、隅角癒着解離術を中心として年間約120件の手術を施行している。12年度よりインプラントによる緑内障手術も行っている

★斜視分野では、専門眼科医とともに4人の視能訓練士が診療にあたり、年間約30件の手術を施行している

★眼部腫瘍・眼窩疾患分野;茨城県内では眼腫瘍を専門とする施設が他にないため、県内全域から多数の症例が紹介される。眼瞼腫瘍、結膜腫瘍、眼窩腫瘍、眼窩吹き抜け骨折を中心として年間約100件の手術を施行している。悪性腫瘍が占める割合が全体の4割と高く、拡大手術や再建術、さらに放射線治療や化学療法などの後療法を必要とする症例が多いのが特徴である。脳神経外科、形成外科、耳鼻咽喉科、皮膚科との合同手術を速やかに行えるような体制作りを心がけている。さらに当院では陽子線センターも稼働しているため、幅広い選択肢の中から最適な放射線治療を選ぶことが可能である

★涙道分野に関しては、涙道内視鏡を導入し、難治症例に対しては涙嚢鼻腔吻合術を行っている。

医療設備

各種角膜形状解析装置、前眼部光干渉断層計(OCT)、前眼部撮影装置、眼底OCT、各種レーザー光凝固装置、前房フレア測定装置、前眼部・後眼部超音波装置、各種眼軸測定装置、波面センサー、眼底カメラ、自動視野計、網膜電気生理学的検査装置、大型弱視鏡など。
  • セカンドオピニオン受入 〇
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 〇
  • 執刀医指名 〇

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 千葉・茨城」(ライフ企画 2012年11月)

歯科口腔外科

分野

歯科口腔外科

特色

ISO9001を取得している筑波大学附属病院において、当科は茨城県の歯科口腔外科の中心的役割を担い、主として一般病院・診療所等での対応が困難と思われる口腔顎顔面領域の疾患(良性・悪性腫瘍、口唇口蓋裂、顎変形症、外傷、顎関節疾患、顎顔面補綴、口腔感染症)の診断と治療を行っている。虫歯、歯周疾患、義歯製作は原則として行っていないが、医療の進歩や高齢者社会に伴い増加している全身疾患を持つ患者さんに対してはこの限りではなく、主治医と緊密な連絡をとり、適切に対処している。また、高度先進医療として、インプラント治療、顎顔面補綴治療も実施している。

症例数

年間(11年)の症例数は、外来新患者約2,310人、入院患者約220人、入院手術件数約188件。症例の内訳は、悪性腫瘍26例、良性腫瘍91例、嚢胞92例、外傷59例、奇形・顎変形症21例、顎関節疾患132例、口腔感染症77例、埋伏歯・抜歯506例などである

★口腔癌については、視診、触診に加えて、CT、MRI、エコー等の画像診断により、病変の範囲、頸部リンパ節転移、他部位転移の有無を検討した上で治療法を決定する。隔週で開かれている放射線科とのカンファレンスも参考としている。初期癌に対しては、主として手術療法を行い、日常生活に支障をきたすような術後機能障害はみられない。進行例に対しては機能温存を考慮して化学放射線療法により、腫瘍の縮小を図った後、切除範囲を極力小さくした治療を実施している。また、広範囲切除する場合には形成外科と協同でマイクロサージャリーを用いた遊離皮弁により欠損部の即時再建手術を行い、術後機能、形態の温存に努めている。欠損が生じた場合には、顎顔面補綴により機能回復を図る。口腔癌の治療成績は、I期97.5%、II期78.8%、III期69.6%、IV期72.1%である。00年から筑波大学内に陽子線治療の有用性の確立を目的に陽子線医学利用研究センターが設立され、口腔癌についても、放射線腫瘍科との対診を行い、通常の放射線治療に加えて陽子線照射治療も実施している

★唇顎口蓋裂に対しては、口唇形成術、口蓋形成術、腸骨移植による顎裂閉鎖術を通常どおり実施している。また、術後の咬合については院外矯正医との連携を取っている。顎変形症に対しては、チタンプレートや生体吸収性樹脂プレートによる固定も実施している

★顎骨骨折に対しては積極的に手術を行い、主としてチタン製ミニプレートによる骨片固定術を実施し、入院期間、顎間固定期間の短縮による早期社会復帰を図っている。また症例によっては、生体吸収性樹脂プレートによる固定術を行い、後のプレート除去手術を省略できるようにしている

★顎関節疾患のうち、顎関節症に対しては、外来通院での薬物療法、スプリント治療が主体となっているが、習慣性脱臼、顎関節強直症に対しては手術を第一選択にしている

★口腔感染症に対しては、画像診断により感染源を精査し、抗菌薬の適切な投与と、切開排膿などの消炎、原因除去によって回復を図るが、感染源が身体の深部にある場合にはエコー下での穿刺排膿を行っている。炎症が拡大している場合は、積極的に全身麻酔下での切開排膿手術を行っている

★インプラント治療は、数種類のチタン製インプラントのうち、最も適切なものを使用し、1回法あるいは2回法による治療を行っている。多数歯欠損に対しては、先進医療制度を用いて入院全身麻酔下で埋入している。また、口腔癌などによる顎顔面の欠損症例に対しても、インプラント治療を用いて改善を図っている

★埋伏歯抜歯は、通常、外来局所麻酔下で行うが、抜歯後の不安や通院期間の短縮を考慮し、患者さんの希望により入院全身麻酔下での多数歯抜歯を行っている。重篤な全身疾患を持つ有病者の抜歯は、万全な安全対策をとるため院内他科との連携を密に取り、入院下で行っている

先進医療=顎顔面補綴、インプラント義歯。

医療設備

CT(3次元CTも含む)、MRI、咬合圧測定システム、カラードプラ・エコー、インプラントシステム、口臭測定装置、ファイバースコープ。
  • セカンドオピニオン受入 〇
  • 初診予約 〇
  • 主治医指名 /
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 千葉・茨城」(ライフ企画 2012年11月)

内分泌代謝・糖尿病内科

分野

糖尿病内分泌内科

特色

生活習慣病のスペシャリスト集団として、代謝疾患(糖尿病、高脂血症、高血圧、高尿酸血症、肥満症)については、動脈硬化性合併症予防の観点から、食事・運動療法指導などを含む幅広い対応が可能。特に糖尿病に関しては、2~3週間の教育入院制度が充実し、専門的ケアチームによる診療・指導体制を充実させており、地域医家の先生方からも多くご利用いただいて好評である。内分泌疾患(視床下部下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、性腺)に関しては、茨城県のセンターとして専門的診療の提供に努めており、県内外から広くご紹介をいただいている。

症例数

糖尿病=定期的に通院中の糖尿病患者は1,500人程度。糖尿病の治療は、徹底した食事療法および運動療法の指導に加え、各患者の糖尿病の病態やライフスタイルに合わせた最適な治療法を選択し治療にあたっている。入院中に大部分の方が良好な血糖コントロールを得て退院している。糖尿病の合併症である網膜症、腎症、神経障害、動脈硬化症についても関係各科と連携して診療している。糖尿病治療には患者自身の病気に対する理解と食事療法・運動療法の実践すなわち患者教育が不可欠なため、本院では週5回の糖尿病教室を開催しており、また看護師および栄養士による個人向けの栄養指導も充実し、退院時までには糖尿病についての基礎知識の習得および食品交換表による献立の作成が可能なことを目標としている。エアロバイクやダンベル体操を含む運動療法の指導も実践している。また、糖尿病教室は誰でも自由に参加することができ、栄養士による個人指導を受けることもできる。以上の糖尿病教育システムは、かかりつけの先生方からの紹介でもご利用いただける

脂質異常症=地域の先生方からご紹介いただいた家族性および難治性の症例を含めて、動脈硬化症の進展を予防する観点から、十分な高脂血症のコントロールを目指して治療にあたっている

痛風・高尿酸血症=薬物・生活指導などを行っている

甲状腺・副甲状腺疾患=バセドウ病、橋本病など各種の甲状腺疾患の診断(核医学的診断を含む)と治療を甲状腺内分泌外科との協力体制のもとに行っている

下垂体疾患=先端巨大症、プロラクチノーマ、尿崩症、下垂体機能低下症などの下垂体疾患を、最先端の画像診断、内分泌負荷試験、カテーテル採血検査などを駆使して診断し、専門的なホルモン補充療法や、必要に応じて脳神経外科とも協力しながら治療をすすめている

副腎性腺疾患=褐色細胞腫、原発性アルドステロン症、クッシング症候群などの各疾患についても専門的な診断・治療を行っている。副腎静脈血サンプリング検査可能

性腺機能低下症=男性ホルモン低下症に対する補充療法などを泌尿器科と協力して実施している

生活習慣病を中心とした新地域連携診療システム=かかりつけの診療所の先生方が、当院が持つ生活習慣病指導resource(糖尿病教育入院や糖尿病教室、栄養指導、運動療法教室など)を気軽にご利用いただけるように、また治療困難例、内分泌疾患が疑われる症例などについて、当院専門外来診察依頼ができるように、「生活習慣病を中心とした新地域連携診療システム」を整えている。かかりつけの医療機関の先生方から、連絡(FAX 029-853-3712、TEL 029-853-3727)をいただくことにより、当科外来診療の予約がとれる。また、かかりつけの先生方の紹介状があれば、患者様自身が電話(029-853-3570)予約をとれる。月~金の午前中は予約なしで(紹介状は必要)、初診を随時受け付けている(ただし、この場合は待ち時間が長くなることがある)。

医療設備

附属病院は特定機能病院として、CT、MRI、核医学検査などを有する。
  • セカンドオピニオン受入 △
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 千葉・茨城」(ライフ企画 2012年11月)

血液内科

分野

血液内科

特色

茨城県および常磐線沿線における血液診療のセンターとして、診断の難しい患者さん、厳しい治療が必要な患者さん、移植を必要とする患者さんなどの診療に力を入れている。入院患者に対してはスタッフ(主治医)、副主治医、受持医のチームで診療を行う。

症例数

1日約50人の外来および約40人の入院患者診療にあたる。治療の進歩が著しい分野だが、次々に登場する新薬の導入に努める。造血幹細胞移植の施行数は延べ500例を超えている(最近は年間30例程度)。入院診療は、チーム外のスタッフも含め密に治療方針を協議し、患者さんにはできるだけ病状を詳細に説明して治療方針をご理解頂き、患者さんと共通の理解のもとで治療が行われるよう努力を重ねている

腫瘍性の疾患(造血器腫瘍)=急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症や骨髄線維症などの骨髄増殖性腫瘍、骨髄異形成症候群、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫。新薬の導入を含め、世界標準に従い治療を施行する。標準治療の中には、造血幹細胞移植が含まれることもあり。年間で20~30例に造血幹細胞移植を施行している。標準療法が確立していない場合や、標準療法での治療が困難な場合、十分な説明を行った上で、臨床試験への参加をお伺いすることもあり。新薬の試験の他にも、多くの臨床試験に参加している。「臍帯血骨髄内移植」などを独自に施行。診断面でも、新しい遺伝子検査を院内の検査室で行う体制をとっている。様々なキメラ遺伝子の検出や定量RT-PCR法、JAK2変異の同定などを行う

造血障害性の疾患=再生不良性貧血に対しては、抗胸腺細胞免疫グロブリンやシクロスポリンを用いた免疫抑制療法を積極的に行う。年間10例程度に抗胸腺細胞免疫グロブリンを含む免疫抑制療法を行う。再生不良性貧血の他にも、様々な原因の造血障害疾患を治療している。再生不良性貧血やその他の造血障害性疾患にも、同種造血幹細胞移植を行うことがある。また、臨床試験への参加をお伺いすることもあり

血小板異常=代表的疾患は特発性血小板減少性紫斑病。これまでのプレドニンや脾臓摘出を中心とした治療に加え、大量デキサメサゾンによる治療を積極的に施行している。新薬が導入され、より効果的に治療を行うことができるようになっている

凝固異常=血友病、その他の凝固因子欠損症、フォンビルブランド病などの凝固障害の患者さんを多数診療している。また、AT-III欠損症、プロテインC欠損症など凝固が亢進する疾患をもつ患者さんも治療している

★クリーンルーム4床で造血幹細胞移植を行う。この他、可動式層流装置を通常の個室(ときに5床室)に設置し、白血球減少患者治療を施行する。12年12月末に完成予定の新病棟では、クリーンルーム30床に増床予定。同種移植は、白血病や再生不良性貧血の患者さんを中心に施行している。骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植の中から最も適切な種類を選んで行う。また、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫の患者さんを中心に、大量化学療法に続いて自家末梢血幹細胞移植を行う場合もある。

医療設備

クリーンルーム4床、可動式層流装置、CT、MRI。
  • セカンドオピニオン受入 〇
  • 初診予約 〇
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 千葉・茨城」(ライフ企画 2012年11月)

神経内科

分野

神経内科

特色

脳、脊髄、末梢神経、筋の症状・徴候を示す患者の診断と内科的治療を専門とし、日本神経学会専門医の資格を持つスタッフが患者中心主義に基づいた最先端の医療を行っている。神経疾患は高齢者に有病率が高く、わが国の急速な高齢社会化に伴い、神経内科に対する需要はますます高まっている。

症例数

外来は1日平均来院者数が44人、年間外来患者数累計は10,567人(10年度)であり、病棟は入院1日平均数が26人で、年間入院者延べ数は9,545人(10年度)であった

★検査は、外来では神経・筋疾患を中心として患者さんを対象に筋電図検査(神経伝導速度、針筋電図)、脳波、各種誘発電位を行っており、それらの判読を担当している。また、CTやMRIなどの画像検査は放射線科に依頼し、専門的な見地から読影を行っている。入院では外来での検査に加えて、さらに詳細な臨床神経生理学的検査や神経生検、筋生検を行っている。また必要に応じて、十分な説明と同意のもとで遺伝性神経疾患に対する遺伝子検査や生化学検査などを行っている≪対象となる主な疾患≫

★脳血管障害(脳梗塞、脳出血、一過性脳虚血発作、脳静脈・静脈洞血栓症、慢性硬膜下血腫、脳動静脈奇形など)

★神経変性疾患【遺伝性のものを含む】(パーキンソン病、アルツハイマー病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症、多系統萎縮症、ハンチントン病など)

★脱髄疾患(多発性硬化症、急性播種性脳脊髄炎など)

★炎症性疾患(脳炎、髄膜炎、脊髄炎など)

★感染症(ヘルペス脳炎、神経梅毒、ライム病、破傷風、クロイツフェルト・ヤコブ病など)

★脊椎疾患(変形性脊椎症や椎間板ヘルニアによる脊髄症や神経根症状など)

★末梢神経障害(ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経根炎など)

★筋疾患(多発筋炎、ミトコンドリア脳筋症、筋ジストロフィー症など)

★神経・筋接合部障害(重症筋無力症、ランバート・イートン症候群など)

★免疫性神経疾患(スティッフパーソン症候群、アイザックス症候群など)

★発作性疾患(頭痛、てんかん、神経痛、めまい、失神、周期性四肢麻痺など)

★全身疾患に伴う神経症状(糖尿病性神経障害、ビタミンB1欠乏症、ビタミンB12欠乏症、ベーチェット病、膠原病、傍腫瘍症候群、サルコイドーシスなど)

★不随意運動(振戦、ジストニア、ミオクローヌス、アテトーシスなど)

★その他(身体各所の痛み・不快感・しびれ・めまい・脱力、意識・意欲・気分・感情の変化、疲労感、睡眠障害などの神経症状や徴候を呈する場合など)

★これらの疾患や症状の中には必ずしも診断や治療が容易でない、いわゆる神経難病といわれるものも含まれる。一方、例えば認知症の患者さんの場合でも、治療可能な認知症(treatable dementia)、即ち甲状腺機能低下症、正常圧水頭症を的確に診断することが治療の成功につながる。また、パーキンソン病などの治療薬の進歩は最近めざましいものがあり、適切な服薬指導により患者さんの予後は著明に改善してきている。当科では水曜日の午後にパーキンソン病の専門外来を行っている。月曜日の午後などにはボツリヌス毒素療法専門外来として、片側顔面攣縮、眼瞼攣縮、痙性斜頸の患者さんに対してボツリヌス毒素製剤の注射を行っている。他の専門領域の診療科の医師と協力して、患者さんの立場に立った迅速な診療を心掛けている。例えば、重症筋無力症の患者さんでは、内科的な治療に加えて胸腺摘除術を呼吸器外科に依頼している。ギラン・バレー症候群など免疫性神経疾患の患者さんに対して、腎臓内科の協力のもとに血漿交換療法を行うこともある。認知症の患者さんには臨床心理士の協力を得て、火曜日午後の高次脳機能外来にて各種の神経心理検査を行っている

★当科では、患者さんの十分なご理解のもとに下された決定に従い、的確な診断と適切な治療やケアを行うことが最善の医療と心掛けて診療に当たっている。退院後の介護や在宅医療のために、地域の医療機関や医療関係者の方々との連携も積極的に進めており、すべての患者さんの治癒やQOL(生活の質)の向上を目指して最新・最適な治療を行い、満足を得る成績をあげている。

医療設備

CT、MRI、筋電図(神経伝導速度、針筋電図)、脳波、各種誘発電位など。
  • セカンドオピニオン受入 〇
  • 初診予約 〇
  • 主治医指名 〇
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 千葉・茨城」(ライフ企画 2012年11月)

乳腺・甲状腺・内分泌外科

分野

乳腺・内分泌外科

特色

乳腺疾患、内分泌疾患を対象とする。最新の質の高い医療を提供するとともに、患者さんに寄り添う医療を心掛ける。状況に応じて、院内の様々な診療科と密に連携できるのは大学病院ならではの特徴である。インフォームド・コンセントに十分な時間をかけ、患者さんが納得し、安心して治療を受けていただくことをめざしている

★乳腺疾患では、放射線診断科や病理診断科と連携し、一流のスタッフがマンモグラフィ診断、超音波診断、MRI診断、画像誘導下の病理診断の手法を実施する。乳癌に対しては、手術・薬物療法・放射線治療を組み合わせ、1人ひとりの病状に応じてオーダーメイドの治療を提供している。形成外科の協力により整容性に配慮した乳房手術、乳房再建術やリンパ浮腫外来にも力を入れており、乳癌術後のQOL(生活の質)を重視している。さらに基礎研究、臨床試験や治験を介して最先端医療の開発にも尽力している。また、外来化学療法室を設置しており、より快適に、安心して治療を受けられる環境を整備している。超音波検査では、03年に世界に先駆けて組織弾性映像法(エラストグラフィ)を日立製作所とともに開発。世界をリードし、多くの優れた診断医を輩出している

★甲状腺手術では、世界で初めて甲状腺癌の内視鏡補助下手術を実現した。これにより、術後の創を「なるべく小さく、なるべく美しく」みせることが可能となった。99年11月より現在までに甲状腺乳頭癌に対する内視鏡補助下甲状腺切除術を計60例以上施行しており、その有効性・安全性を証明した。画像・機能検査を駆使し、患者さんに最適な方法で治療方針を決定している

★副腎手術では、腹腔鏡下の手術も行っており、安全かつ低侵襲の治療が可能である。副腎の手術では、単に手術で副腎を切除するだけでなく、内分泌の専門的な術後管理が重要である。当院では、術後管理にも力を入れており、安心した医療を提供できるよう心がけている

★その他:①患者さんへの説明と同意を得て、臨床試験や臨床・基礎研究にも精力を注いでおり、先進的な医療の開発を行っている。②筑波大学附属病院は、13年1月に12階建ての新病棟が完成する。バリアフリーやユニバーサルデザインの環境を実現するとともに、女性専用病棟が誕生し、よりプライバシーに配慮した環境となる。ICU の充実や高機能手術室を設けるなど、高度先進医療の実現も図る。

症例数

★手術件数(年間):乳癌約150例、甲状腺約100例(癌、良性腫瘍、バセドウ病等)、副甲状腺約15例、副腎約20例(ほぼ全例で腹腔鏡下手術を行っている)、小手術・リンパ節生検約40例

★検査件数:乳房超音波検査約700件、甲状腺超音波検査約500件。

医療設備

CT、MRI、シンチグラム、マンモグラフィ、超音波、マンモトーム、放射線治療装置(リニアック)、ガンマプローブ、骨密度測定装置(DXA)他。
  • セカンドオピニオン受入 〇
  • 初診予約 〇
  • 主治医指名 〇
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 千葉・茨城」(ライフ企画 2012年11月)

放射線腫瘍科

分野

放射線科

特色

放射線治療学を支える放射線生物学、医学物理学などの基礎医学の知識と、腫瘍に関する豊富な臨床経験を生かしたチーム診療が特徴である

★治療機器に関しては、画像誘導などの最新の放射線治療装置を完備しているだけでなく、大学病院としては日本で唯一の陽子線治療装置を有している。患者さんの病態に応じた最適の治療がなされるように毎日検討会を開いて、EBM(evidence based medicine:根拠に基づく医療)を実践している

★内科、外科、脳神経外科、耳鼻咽喉科、婦人科、小児科などの診療科とも、毎週定期的にカンファレンスを行っている。治療に当たっては十分なインフォームド・コンセントを行ったうえで、患者さん本位の放射線治療を行っている

★放射線腫瘍科病棟を有しているため、入院治療も可能である。放射線生物学、医学物理学といった放射線基礎医学の専門家6人も含め、放射線の品質管理に対しても十分な体制を整えている。

症例数

★11年の治療患者数は、リニアックによるX線および電子線治療704人、RALS(Remote After loading System)による腔内照射75人および組織内照射15人、陽子線治療318人であった。X線および電子線治療の内訳は脳腫瘍63人、頭頸部癌99人、肺癌91人、乳癌94人、子宮癌116人などであった。骨髄移植の前処置のための全身照射、脳および体幹部への定位放射線治療、前立腺のIMRTも行っている。放射線治療専用CT、治療計画用コンピューター、リニアック、陽子線治療装置、画像診断情報が統合的に管理されており、高精度な放射線治療が可能である。高精度の治療に必要な周辺機器も充実しており、2次元・3次元の画像誘導放射線治療装置や呼吸同期照射装置をもつ

★陽子線治療については、最先端の機器を備える陽子線医学利用研究センターを大学病院に隣接して建設し、01年9月より稼働している。陽子線は体内に入りエネルギーに応じて一定の距離を進むと突然止まる性質の放射線で、癌の手前側の線量を最大値の7~8割に、癌よりも向こう側の線量をほとんど0にできる。従って患者さんに負担を与えずに、腫瘍に多くの線量を与えることができるため、治癒率が高く合併症の少ない治療が可能である。筑波大の陽子線医学利用研究センターでは、11年12月までに2,915例の陽子線治療を行った。疾患別では、肝癌36%、前立腺癌12%、肺癌11%、頭頸部癌7%、食道癌6%、脳腫瘍5%であり、多くの治療の難しい疾患を対象に世界に先駆けてよい成績を挙げている。特に原発性肝癌の治療実績は世界的に見ても他の追随を許さない。浸潤性膀胱癌に対する陽子線治療を用いた膀胱温存療法や、小児がんに対する陽子線治療などの特色ある治療を行っている。総合病院と併設した施設であり、III期肺癌や進行食道癌などの難治癌に対する陽子線治療にも取り組んでいる。08年9月から先進医療として陽子線治療を行っているが、治療法の開発が必要な分野では、臨床研究を継続している。

医療設備

X線エネルギー可変型リニアック2台、高線量率イリジウムRALS1台、陽子線治療装置一式(回転ガントリー型照射室2室)、治療計画専用CT3台(一般放射線治療用、小線源治療用、陽子線治療用)、陽子線治療計画専用MRI 1台、X線シミュレーター2台(一般放射線治療用、陽子線治療用)、治療計画用コンピューター10台(一般放射線治療用6台、小線源治療用1台、陽子線治療用3台)。
  • セカンドオピニオン受入 〇
  • 初診予約 〇
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 千葉・茨城」(ライフ企画 2012年11月)

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