順天堂大学医学部附属順天堂医院

専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

順天堂大学医学部附属順天堂医院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

消化器内科

分野

消化器・一般内科

特色

当消化器内科は、68年に始まり、現在では年間外来患者数約7万人を診察する診療科に発展している。当科では食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、直腸、肝臓、胆嚢、胆管、膵臓、腹膜と様々な臓器にわたり診療を行っている。入院診療体制として、当科は2つの病棟フロアを持ち、病棟医長を各フロア2人ずつ配置し、4つの病棟グループ体制で入院患者の診療に携わっている。主任教授回診、消化管疾患・肝臓・肝胆膵腫瘍・化学療法の各カンファレンス、さらに病棟グループ回診とスタッフ全員で討論し、検査および治療方針を決定している。治療に際しては患者さん本人に十分な説明を行い、希望に沿いながら行うことを基本理念としている。救急医療に関しては、夜間、休祭日においても上・下部消化管出血に対しては緊急内視鏡検査が、さらに胆道系疾患(閉塞性黄疸など)に対するドレナージ術などが迅速に施行できる体制を整えている。

症例数

10年度の年間外来患者数は66,888人、1カ月平均患者数5,574人。初診患者数は年間3,891人(1カ月平均324人)、紹介率約50%と、多くの他医療機関から紹介を受けている。入院患者数は2,063人で、常時100人の入院患者数である

上部消化管疾患=10年度は上部消化管内視鏡検査数6,212件、食道静脈瘤結紮術・硬化療法82例、ESD(粘膜切開剥離術)56例を施行。内視鏡治療適応胃癌では積極的にESDを施行している。食道静脈瘤治療では再発予防目的に内視鏡的硬化療法を施行している。胃・十二指腸潰瘍症例に対するヘリコバクター・ピロリ菌に対して積極的に除菌療法を行い、一次除菌率約70%、二次除菌率約90%と良好な成績を収めている

小腸・下部消化管疾患=下部消化管内視鏡検査数3,710件、ポリペクトミー・粘膜切除649例、ESD 48例、止血術35例、小腸ダブルバルーン内視鏡検査64例。大腸腺腫や内視鏡切除適応早期大腸直腸癌に対して内視鏡切除を施行している。最近増加傾向のある炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎では、特に難治例には血漿交換療法室との連携のもと白血球除去療法を行っている。クローン病では、栄養療法と同時にインフリキシマブを導入している。2年前より小腸ダブルバルーン内視鏡検査を導入し、小腸出血の止血、小腸リンパ腫、小腸異物の診断、治療に貢献している

肝疾患=肝生検79例(腹腔鏡下26例、超音波下53例)。C型慢性肝炎ではリバビリン、インターフェロン療法を導入し、症例に応じて長期投与を行っており難治例でもHCV-RNA陰性化率は約44.9%であった。B型慢性肝炎では、肝炎の鎮静化目的に抗ウイルス薬(核酸アナログ製剤)の投与を行っている。最近メタボリック症候群が話題になっているが、それに関連した非アルコール性脂肪肝炎(NASH)病態の検討および治療も実施している

肝腫瘍、胆道疾患=腹部超音波検査は年間7,685例施行し、腹部CT検査においては専用の検査枠で検査を行っている。肝臓癌の症例は非常に多く、内科的治療として年間施行例223例の肝動脈塞栓術や、肝動脈動注療法を肝胆膵グループ自ら行っている。その他、ラジオ波焼灼術を76例施行。また、胆道疾患における逆行性膵管胆管造影検査は411例、閉塞性黄疸に対しては190例の経皮経肝ドレナージ術を行っている

切除不能消化器癌=切除不能消化器癌症例に対しては化学療法(抗癌剤投与)を積極的に導入し、また緩和医療チームとの連携を図り、生活の質(QOL)の改善を行っている。

医療設備

上部・下部消化管内視鏡、経鼻内視鏡、超音波内視鏡、ダブルバルーン小腸内視鏡、体外式超音波(カラードプラ)、アルゴンプラズマ凝固装置、CT検査など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ×
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

肝・胆・膵外科

分野

消化器・一般外科

特色

肝胆膵疾患に対する外科治療の専門の診療科として、出血量の少ない安全な手術を行っている。肝胆膵領域の悪性疾患に対する手術(肝切除、膵頭十二指腸切除、膵体尾部切除など)をはじめ、末期肝硬変(小児例を含む)や肝切除の適応のない肝細胞癌に対しては肝移植を行っている。生体肝移植ではドナーの安全性を最優先し、左葉グラフトを用いた移植を行っているが移植成績は良好である。胆石症に対しては内視鏡下外科手術を行い、入院期間の短縮を図っている。診療担当は肝胆膵外科に精通した医師らによる2チームで構成され、川崎教授の統括下に診療を行っている。

症例数

肝切除=年間の肝切除例は約120例で、川崎教授就任以来877例の肝切除が行われた。適応疾患は肝細胞癌、転移性肝癌(大腸癌をはじめ食道癌、胃癌、卵巣癌、乳癌など)、胆管細胞癌、肝門部胆管癌などが中心である。肝細胞癌に対しては、門脈腫瘍栓を有していたり、下大静脈に浸潤している肝細胞癌でも血管合併切除を併施し、積極的に手術を行っている。肝切除後の再発例では、残肝機能から手術が可能と判断されれば何度でも再切除を行う方針である。手術が困難と判断された症例に対しては、消化器内科と協力して肝動脈化学塞栓療法、局所療法(ラジオ波など)、肝動注療法など症例に応じた治療法を検討している。転移性肝癌では、両葉に多発した転移性肝癌など他の病院で手術が難しいと言われた患者さんに対しても手術適応を検討し、積極的に手術を行っている。大腸癌の転移が中心であるが、原発巣が完全に切除され、肝臓以外に再発がなく、肝切除により完全に病巣が切除できるという条件を満たせば、胃癌、食道癌、乳癌、あるいは卵巣癌などの肝転移に対しても手術を行っている。また肝門部胆管癌や肝膵頭十二指腸切除に対しては術前門脈枝塞栓術を併用し、手術が安全に行えるような工夫をしている。全肝切除の平均出血量は約400mlで、ほとんどの症例が無輸血で濃厚赤血球の使用率は3.5%である。手術死亡例はなく、在院死亡は間質性肺炎の増悪により術後4カ月後に死亡した1例と胆管細胞癌の再発により術後3カ月後に死亡した1例の計2例(0.2%)である

膵頭十二指腸切除=膵頭部領域の悪性疾患に対して施行される膵頭十二指腸切除は年間約30例行っており、これまで224例施行された。平均出血量は430mlで98%は無輸血である。合併症も少なく、在院死亡例は経験していない。術後は必要に応じてゲムシタビンを中心とした補助化学療法を行っている。専用の化学療法室があり、外来通院にて化学療法を受けることができる

肝移植=生体肝移植は02年より小児の胆道閉鎖症に対して第1例目を施行して以来、現在まで成人例43例、小児例12例、計55例に左葉グラフトを用いて行っている。成人のウイルス性肝硬変(B型肝硬変、C型肝硬変)、肝癌合併例、原発性胆汁うっ滞性肝硬変、原発性硬化性胆管炎などに対して積極的に移植を行っている。ミラノ基準逸脱例をはじめとした保険適用外の症例でも、相談を受け付けている。当科ではドナーの安全性を第一に考慮し、左葉グラフトのみを使用しているのにもかかわらず、生体肝移植の1年生存率は98%、5年生存率92%と全国平均より良好である。10年より脳死肝移植実施施設となり、2例の脳死肝移植を行った。移植後も移植専門医による外来診療が継続的に受けられる

内視鏡下外科手術=胆石症に対しては、非侵襲的手術である腹腔鏡下胆嚢摘出術を年間約100例施行している。総胆管結石合併例でも内視鏡的乳頭切開術と腹腔鏡下胆摘術の併用により対応し、在院期間の短縮を図っている。

医療設備

MRI、ヘリカルCT、PET(分院で対応)、超音波、血管造影、超音波内視鏡、内視鏡、腹腔鏡下手術器械など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

呼吸器内科

分野

呼吸器内科

特色

69年5月に開講されてから、「仁」の精神に裏打ちされた質の高い医療の提供を目標とし、国内で最も古い呼吸器内科専門臨床教室の歴史を背景に、臨床と研究のバランスを保ちつつ多彩な呼吸器疾患に幅広く対応している。対象としている疾患は、呼吸器感染症(かぜ症候群、急性気管支炎、肺炎、誤嚥性肺炎、肺化膿症、肺結核など)、慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎)、アレルギー・免疫疾患(気管支喘息、好酸球関連肺疾患、膠原病合併肺疾患、サルコイドーシスなど)、間質性肺疾患(間質性肺炎「肺線維症」、過敏性肺臓炎、塵肺など)、肺腫瘍(原発性肺癌、転移性肺癌、肺良性腫瘍、中皮腫など)、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、リンパ脈管筋腫症(LAM)、肺循環障害(肺血栓塞栓症、肺高血圧症、肺水腫など)、胸膜疾患(胸水、気胸など)、縦隔疾患(縦隔腫瘍など)、結核後遺症、慢性呼吸不全(在宅酸素療法など)、睡眠時無呼吸症候群、慢性咳嗽など多岐にわたる。

症例数

外来患者数は、病病連携と病診連携の紹介患者を含めて、09年に35,948人(初診患者1,971人)、10年に37,210人(初診患者2,205人)、年々増加傾向にあり、入院患者数は、09年に739人、10年に915人。入院患者の57%は肺癌であるが、外来診療では肺癌以外、肺気腫(COPD)、呼吸器感染症、気管支喘息、間質性肺炎、慢性咳嗽、睡眠時無呼吸症候群などの疾患の診療に当たっている

★各疾患の診断、治療に迅速に対応できるように、各種画像診断に加え、呼吸機能検査(年間7,421例)、気管支鏡検査(年間361例)、胸部超音波検査(年間161例)、胸部超音波ガイド下の穿刺術(年間30例)、気道過敏性試験(年間52例)、呼気一酸化窒素(NO)測定(年間2,546例)、睡眠時無呼吸症候群の自宅でのスクリーニング検査、嚥下誘発試験、自転車エルゴメーターによる運動負荷試験、呼吸筋力測定などを行っている。胸部超音波ガイド下の穿刺術は、体表から超音波装置を用いて病変を描出し生検する検査で、他施設にはない当科の卓越した検査である

★肺癌は、呼吸器外科・放射線科と密に連携を取りつつ、外来では化学療法専門外来を設け、患者のQOL(生活の質)を考慮した化学療法を入院・外来で行っている。悪性胸膜中皮腫においても、アスベスト・中皮腫外来と連携しながら最新の化学療法を行っている。また病理学教室と共同でメゾテリン蛋白を治療効果指標に用いている。09年4月には、「高度がん治療を目指して」と題した市民公開講座を開催し、多くの市民の方が参加された

★COPDに関しては専門外来を設け、ガイドラインに基づいた薬物療法と外来を中心とした呼吸リハビリテーション(週2回6週間)を行っている。禁煙外来は、都内有数の実績で禁煙支援を行い、患者の健康増進に努めている

★気管支喘息と慢性咳嗽では、気道過敏性試験と呼気NO測定の結果を基に、病態に基づいた治療を行っている。さらに間質性肺炎、睡眠時無呼吸症候群、呼吸不全の他、LAM、サルコイドーシスなどの稀な病気に対しても、専門外来を開設して病状に応じた質の高い診療を行っている。紹介患者の診断・治療方針決定後は、返送を原則としており、また、積極的な逆紹介の推進を目指している。実際、喘息外来においては、「患者連絡表」を用いて、診療情報の提供をしている

★一方で、病病連携と病診連携の医療従事者とともに呼吸器臨床の進歩を勉強する目的で、毎年4月に「お茶の水呼吸器フォーラム」を開催している。06年の第1回を皮切りに今まで気管支喘息、呼吸リハビリ、禁煙外来、COPD、睡眠時無呼吸症候群、咳喘息、肺癌の診療について診療情報の提供をした。

医療設備

X線(単純、ヘリカルCTなど)、MRI、核医学検査、気道過敏性試験、呼気NO測定、嚥下誘発試験、ポリソムノグラフィー、気管支鏡検査、気管支内視鏡超音波検査、胸部超音波検査、胸腔鏡、リニアックなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

心臓血管外科

分野

心臓血管外科

特色

天野教授は、前任地である新東京病院時代から手術通算3,000例以上、心拍動下冠動脈バイパス手術(オフポンプ手術)1,000例以上の国内随一の手術経験を評価され、03年から現職に着任した。着任後手術症例数は年々増加し、06年には年間500例を突破した。同科では循環器内科との連携を重視し、たとえ他施設から手術が望ましいと判断され紹介された患者でも、心臓血管外科のバックアップの下にカテーテル治療が可能と判断されれば、再度インフォームド・コンセントを行った上で患者自身に治療手段を選択してもらう方法をとっている。また、近年の高齢化、重症化した症例において他院で手術困難と判断された症例に対しても積極的に取り組んでいる。そして、すべての症例に対しリハビリ専門医の指導のもと早期退院、社会復帰を目標としている。06年2月から同院でハートセンターが開設され、医師、看護師がこれまで以上に連携し、より最適な医療を提供できるようになった。

症例数

10年度の手術総数は580例であった。内訳は虚血性心疾患141例(単独冠動脈バイパス手術は122例:うちオフポンプ手術121例)、冠動脈バイパス手術+弁膜症手術16例、弁膜症185例(単独弁膜症手術160例、大動脈基部再建11例)、大動脈疾患104例(胸部開胸13例、腹部開腹18例、胸部ステントグラフト5例、腹部ステントグラフト68 例)、先天性心疾患122例である。手術死亡率は成人で1.9%、小児で1.8%

冠動脈疾患=単独冠動脈バイパス手術では 98%以上の症例でオフポンプ手術を計画し、計画したものについて100%達成できている。術後1年目での開存率は98%以上と良好である。単独冠動脈バイパス手術の術後平均在院日数は9.5日と短い。また、心筋梗塞後の大きく、動きの悪い心臓に対しては、「左心室形成術」も積極的に行っている。さらに大学病院の総合力を生かして、2泊3日で退院できるミッドキャブ手術を心臓リハビリ専門医の協力の下に積極的に行っている

弁膜疾患=僧帽弁閉鎖不全症に対しては可能な限り「弁形成術」を行っている。僧帽弁狭窄症であっても硬くなった弁、周囲の組織を柔らかくする超音波破砕吸引器などを用い形成術を行い良好な結果を得た症例もある。また、同時に不整脈を有する場合には「不整脈手術」も追加することにより、術後の日常生活が飛躍的に改善している。大動脈弁疾患に対しては、弁形成術の適応を考慮した上で必要な症例には最適な人工弁を選択している。また、多くの症例で術前に自己血貯血を行い、無輸血手術を目標としている

大動脈疾患=胸部大動脈瘤に対しては瘤の場所に応じて最適な術式を選択している。また、術中運動神経モニターなどを用い合併症の予防に努めている。腹部大動脈瘤に対しては、08年よりステントグラフト治療を開始し、術翌日からの歩行、食事開始、術後5日での退院も可能となった。また、開腹手術においても従来の半分ほどの大きさ(約15cm)の傷で行っている。急性大動脈解離に対しての緊急手術も積極的に対応している

先天性心疾患=新生児開心術から成人例まで年齢層は広い。段階的フォンタン手術をはじめ、小児例におけるMICS(低侵襲手術)や無輸血手術も医療姿勢に加えている。特に小児の心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、ファロー四徴症の術後平均在院日数は3.1日と非常に短い

静脈疾患=硬化療法、レーザー治療などが不可能なものや、再発例に対し1泊2日程度での手術治療を行っている

手術適応=術者の経験とガイドラインに基づき循環器内科、小児科との症例検討会にて決定しているが、手術時期、手術術式などは患者の希望も考慮し、十分なインフォームド・コンセントの後に決定している。

医療設備

ICU、CCU、NICU(小児ICU)、MRI、CT、MDCT、人工心肺、セルセーバー、PCPS、IABP、CHDFなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

腎・高血圧内科

分野

腎臓内科

特色

★腎臓病=血尿・蛋白尿を主症状とする慢性糸球体腎炎、その中でもIgA腎症の診療に重点をおいている。腎炎、ネフローゼ症候群には積極的に腎生検を行い、正確な診断のもと治療を行っている。また糖尿病や膠原病などに伴って生じる2次性腎障害に対しても、積極的な診療を展開している。現在話題となっている慢性腎臓病(CKD)や腎機能が低下した患者さんの治療にも、専門的知見を駆使して診療に当たっている。また、透析治療を余儀なくされた患者さんに対しては、血液透析、腹膜透析(CAPD)の導入から管理までを行っている。血液透析を希望される患者さんには、病診連携によって希望される適切な医療機関への紹介も行っている

★高血圧=3,000万人を超えるといわれている高血圧患者の診療には、診断から臓器障害の評価、治療まで行う。全国からたくさんの患者さんをご紹介いただいているが、毎日初診を受け付けている。すべての外来医は、上記の疾患に対応が可能である。

症例数

入院病床数約30床、透析病床数25床、外来患者数は月間約3,500人、入院患者延べ数868人、腎生検年間約70症例、新規透析導入患者数81人(血液透析74人、腹膜透析7人)、透析シャント手術件数125件(いずれも10年実績)

IgA腎症=世界で最も頻度の高い慢性糸球体腎炎であるIgA腎症は20年の経過で約4割が末期腎不全に陥る可能性がある。当科ではこの疾患に対して診断から治療まで、最新のエビデンスをもとにあらゆる病期に対応し診療を行っている。最近では扁桃摘出術にステロイド療法を加えた治療法に注目が集まっているが、適応の有無を判断し、耳鼻咽喉科との綿密な連携のもと治療を行っている。また、研究面でも疾患の原因の解明に力点を置いており、この点でも様々な情報を提供することが可能である

糖尿病性腎症=現在我が国で透析導入に至る原因疾患として、最も頻度が高い腎疾患である。当科では、本疾患をIgA腎症とならび最重点腎疾患の一つと位置づけ診療を行っている。初期の腎障害から透析にいたるまで他の合併症の診療も勘案しながら、薬物療法や食事療法を中心に治療戦略を立てている。研究面では主として遺伝素因の面からの分析を行っており、一定の成果をあげている

慢性腎臓病(CKD)=3カ月以上なんらかの腎疾患を有し、腎機能が継続的に低下している状態は慢性腎臓病(CKD)と定義され、腎臓疾患の新しい概念として注目されている。現在我が国には1,000万人を超す患者がいるといわれているが、包括的にCKDを管理できる施設は多くはない。当科ではすべての外来医がCKDに関する知識を有し、対応が可能である

腎不全=急性腎不全に対してはCHDFなどの急性血液浄化療法を積極的に行っており、24時間対応が可能である。慢性腎不全に対しては、保存期から透析治療まで包括的に治療を行っている。透析導入時には専門医や看護師とメリット・デメリットについて話し合い、最も適切な方法を選択することができる。

医療設備

透析関連:当科に付設する人工腎臓室は25床の透析ベッドを有し、入院患者あるいは外来患者の透析を行っている(現在、外来透析は受け付けておらず、他施設に紹介している)。急性血液浄化療法としてCHDFと移動用の透析機器(水浄化装置を含む)を有している。検査機器:心エコー、頸部エコー(甲状腺・副甲状腺・頸動脈)、シャント用エコー、腹部エコー、眼底カメラは当科独自で検査を行っている。その他:外来には腹膜透析バッグ交換用のスペースも用意されており、患者さんに安心して医療を受けていただくことができる。
  • セカンドオピニオン受入 △
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

産科・婦人科

分野

産婦人科

特色

①創立170年の歴史を持ち、他を思いやり慈しむ心(仁)を学是としている。②セカンドオピニオンを求める症例が多い。③出血量を最少にすることを目標に安全・確実な手術を目指している。④腹腔鏡下手術、子宮鏡下手術数は日本有数の症例数を誇り、指導者、専門医の養成にも力を入れている。⑤内科と協力して合併症妊娠の管理に習熟している。⑥無痛分娩を行っている。⑦母子メディカルセンター(地域周産期センター)では産科と小児外科、小児科と協力し未熟児管理を行っている。当院には優れた小児外科があるため、胎児、新生児手術を必要とする妊婦症例が多い。⑧不妊治療専門外来では体外受精、顕微授精、凍結胚移植、卵巣凍結を行っている。

症例数

10年の手術件数は1,512件、うち悪性腫瘍は161件、良性腫瘍は1,351件(腹腔鏡手術922件)。分娩件数は873件で、帝王切開229件。体外受精は325件

悪性腫瘍=10年は子宮頸癌64件、子宮体癌42件、卵巣癌55件、その他の癌5件である。術中出血量の少ないことから術後回復も早く、平均入院期間は良性疾患で約7日、悪性疾患で約14日である。抗癌剤投与も2泊3日の入院期間で、日帰り可能な外来化学療法も導入している。国内多施設共同臨床研究機関の一員でもある。再発腫瘍では外科的切除可能病変に対して、外科、泌尿器科と連携して難しい摘出手術を行い、良好な成績を残している。緩和ケアチームによる治療やCA125ペプチド療法による細胞治療など、先進的試験的治療にも力を入れている

良性腫瘍=卵巣のう腫、子宮筋腫、子宮内膜症などに対し、大学病院では国内最多の腹腔鏡下手術を行っており、他施設では腹腔鏡手術はできないといわれた子宮筋腫の核出術や、重症の子宮内膜症の手術も日常的に手がけている。術中所見をビデオで患者に見せ、情報開示を行っている。腹腔鏡専門外来では、術前術後に十分理解してもらったうえでインフォームド・コンセントを得ている。腹腔鏡手術の適応でない、難しい良性腫瘍に対しては開腹手術を行っており、出血量を少なくする子宮温存術式の工夫を行い、期待通りの手術成績である。また、手術をしない子宮筋腫の動脈塞栓療法も行っている

不妊治療=子宮鏡、腹腔鏡手術を不妊検査と治療に取り入れ、体外受精によらない妊娠を目指している。一方、胚培養士による卵、胚のクオリティーコントロールを行い、年間406件の体外受精、顕微受精、凍結胚移植を行っている。白血病などの化学療法前に卵巣を摘出し、凍結保存している

周産期=双胎や内科疾患合併妊娠、前置胎盤など、ハイリスク妊婦が多い。膠原病内科や糖尿病内科が充実しており、内科合併症妊婦の管理を得意としている。小児科NICUと協力して早産未熟児などを受け入れている。胎児超音波診断により発見された胎児疾患に対して、小児外科と協力して胎児・新生児手術件数が多い。産科大量出血では、動脈塞栓術にて子宮摘出せずに止血に努めている

★更年期障害や骨粗鬆症、中高年の不定愁訴に悩む女性に対して、積極的に取り組んでいる

★高齢者が増えるにつけ性器脱の患者が増えており、子宮脱、膀胱腟脱、直腸脱、小腸瘤、尿失禁に対して、メッシュを用いる手術療法を行っている。

医療設備

CT、MRI、血管造影装置など、各種最新の医療機器を備えている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

小児科・思春期科

分野

小児医療

特色

都心の中心に位置し、最新の医療設備を備えた診療棟を有し、全国より難治性疾患の受診がある。従来、出生直後の新生児から学童までを対象としてきたが、身体的・精神的変調を来す思春期の方にも配慮し、「思春期外来」を開設している。病棟は小児科・小児外科混合病棟からなる100床(NICUを含む)を産科、脳神経外科、心臓血管外科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、形成外科などとの連絡も密に運営している。小児領域の幅広い分野に対しスタッフも充実しており、慢性疾患から急性脳症・代謝性疾患の急性増悪まで対応している。また、小児に大切な成長・発達をふまえ、すべての疾患に関し栄養面からも留意している点も特徴といえる。診断・治療における高度医療を安全に遂行するよう努めるとともに、子どもの恐怖心を取り除き、癒しのアメニティを充実させるため様々な取り組みを進めており、しばしばマスメディアにも取り上げられている。英国のホスピタルプレイスペシャリストの資格を持つ田中准教授を中心に、スタッフやボランティアの協力も得て、プレイセラピーや「歌の時間」「絵の時間」「あそび」の時間を設ける他、季節の行事を定期的に開催、年長児には院内学習なども取り入れ、入院生活のQOL(生活の質)に配慮している。さらに、やなせたかし氏のご厚意によりアンパンマンのキャラクターで飾られた病棟には、患児と家族が一緒に軽食などを食べられるファミリールームが完備され、家族団欒の場所を提供することで、患児だけでなく家族のストレスの緩和にも努め、きめ細かな対応を心がけている。

症例数

09年の外来新患者数は約3,500人、外来患者総数は約26,000人、年間入院患者数は約1,300人であった

消化器・栄養・膵臓・肝臓=腹痛や下血などの訴えに対し、年間100例近い内視鏡検査を施行し、消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸ポリープなどの診断・治療・栄養管理に積極的に取り組んでいる。特に、ピロリ菌感染に伴う消化性潰瘍には、薬剤耐性を考慮した除菌療法を行い、治療成績をあげている。最近増加している炎症性腸疾患や過敏性腸症候群の患児に対しても、積極的に薬物療法や心理療法を行っている。小腸・大腸粘膜生検などを用いた消化管アレルギーや体重増加不良患児の原因診断、MRCPによる急性膵炎の原因診断、急性膵炎の重症度に応じた治療なども重点的に行っている。経皮針肝生検により、乳児胆汁うっ滞性肝疾患の鑑別の診断率が向上し、新生児肝炎、アラジール症候群などの内科的疾患だけでなく、胆道閉鎖症の管理にも参加している。B・C型慢性肝炎に対してはインターフェロン療法を導入し、抗ウイルス薬の併用により治療成績をあげている

アレルギー・膠原病・川崎病=重症食物アレルギーによる難治性下痢症の治療には定評があり、基礎研究の成果を生かし、消化・吸収機能から食物アレルギーの病態を考え治療に応用し、全国から紹介患者が訪れている。その他、気管支喘息、川崎病、若年性特発性関節炎などの膠原病治療に積極的に関与している

新生児=NICUおよびGCU 28床に最新の設備を備え、栄養および発達に留意しながら超~極低出生体重児を含めた未熟児の全身管理・治療を行っている。月1回周産期カンファレンスを産科、小児外科合同で行い、出生する児の情報交換および治療方針の検討を出生前より行っている。SLEなどの膠原病母体より出生する新生児は全国でも群を抜いており、膠原病内科・産科と協力し管理にあたっている。04年より早産児発達外来が開設され、周産期の栄養が発達に及ぼす影響なども検討している

神経=けいれん性疾患、筋疾患、フロッピーインファント、末梢神経障害、神経皮膚症候群(レックリングハウゼン病、スタージウエーバー症候群、結節性硬化症)、脳血管障害性疾患(モヤモヤ病、急性小児片麻痺、ガレン大静脈瘤)などを診療している。新生児てんかんの診断治療には、ベッドサイド脳波モニタリングやビデオ脳波同時モニタリングを積極的に使用している。薬剤による治療が困難な難治性てんかんや先天性水頭症には脳神経外科とも協力し、積極的治療を行い診療実績をあげている

循環器=先天性心疾患、後天性心疾患(川崎病後遺症冠動脈瘤など)、不整脈(学校心臓検診を含む)、起立性調節障害などを対象としている。外来検査では、心電図、心臓超音波、アイソトープ検査などを施行。心臓超音波検査は年間1,000件以上。先天性心疾患に対しては、心臓血管外科医のバックアップもあり、すべての複雑心奇形に対応している。心臓カテーテル検査は年間約100件。入院期間は2~3泊と短期間で実施されている。うち10~20%には、バルーン拡張術・コイル塞栓術などのカテーテル治療や心内膜心筋生検を行っている。超音波検査やカテーテル検査中には患児の好きな音楽を流しアメニティにも配慮している

血液・腫瘍=血液疾患は貧血(鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血)、出血傾向(血小板減少性紫斑病、血友病)が主であり、悪性疾患は白血病、脳腫瘍を含む固形腫瘍を扱っている。悪性疾患に関しては最新の化学療法に加え、小児外科、整形外科、脳神経外科、放射線科と連携を取り集学的な治療を行っている。また、末梢血幹細胞移植や骨髄移植など先進的治療も取り入れている。長期生存例、治癒例が増えるに伴い、成人となった小児がん患者に対して、全国に先駆けて小児がん専門医が他科と連携しフォローアップ外来を開設し、身体的・精神的ケアを行っている

腎臓=腎炎・ネフローゼ症候群をはじめとする腎臓病はもとより、水腎症や膀胱尿管逆流症、夜尿症などの泌尿器疾患についても小児外科と協力し診療を行っている。MRI、アイソトープ検査などの診断技術を積極的に取り入れ、患児に負担の少ない診療を目指している。腎不全に関しては、内科療法・透析療法による積極的な治療が行われている

内分泌=下垂体性低身長、ターナー症候群、軟骨無形成症、プラダーウイリー症候群などに対する成長ホルモン療法や、他の代謝内分泌治療を行っている。血液悪性腫瘍や脳腫瘍治療後の汎下垂体機能低下症、中枢性尿崩症、性腺機能低下症に対して、ホルモン補充療法の他、思春期・成人移行後の精神心理的な面も含めた総合的な診療を行っている。性分化異常症に伴う外性器異常、短小陰茎児に対しては、ホルモン療法を小児外科と連携し行っている。副腎性器症候群、性分化異常症児の行動様式にも注目し、母子の精神的ケアにあたっている。糖尿病は、専門の外来日に併せて専属の栄養士による栄養指導を行っている。毎年夏休み期間を利用して、患者家族、医師、看護師、栄養士が参加するサマーキャンプを続けている

発達=歩行や言葉の遅れなどを呈する児を対象に、いくつかの発達心理検査を用いて早期診断・早期介入を行っている。また、早産、先天性心疾患、神経疾患などを有する児の育児支援外来や活動(わくわく広場)をリハビリ科、心理士、チャイルドライフとの連携のもと行っている。脳神経外科、小児外科とも連携し、術後の発達評価を積極的に行っている

児童精神=自閉症、注意欠陥多動性障害(ADHD)やチックなどの診断・治療、糖尿病や悪性腫瘍などの慢性疾患に対する心理療法を行い診療実績をあげている。摂食障害や転換障害などの身体症状を呈する患児や、いじめや不登校などの様々な問題に早期より介入できるよう配慮している。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

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小児外科・小児泌尿生殖器外科

分野

小児外科

特色

当教室は68年(昭和43年)、本邦の医育期間で最初の小児外科学講座として初代 駿河敬次郎教授のもとに誕生し、86年2代目 宮野武教授、06年3代目山高篤行教授により継承され現在に至っている。診療・研究・教育の面で本邦のみならず世界の小児外科医療においてリーダーシップをとってきている。特に診療面では、新生児外科・一般小児外科(消化器・肝胆膵・呼吸器・腫瘍など)・泌尿生殖器外科に対し、24時間体制で高度の医療を提供している。小児外科病床数(43床)を有し、年間手術件数は1,100例を超え、新生児外科症例数(90例以上)とも、本邦最多である。また、様々な疾患に対して、腹腔鏡・胸腔鏡・後腹膜鏡による低侵襲な手術を行っていることも、他の施設には見られない特筆される点である。さらに、産科・小児科・小児心臓血管外科・小児脳神経外科など関連各科との良好な連携のもとに、質の高い周産期・新生児医療を行っている。スタッフのほとんどが留学経験を有し、海外との診療連携も円滑に行えるのも特徴と言える。

症例数

10年の年間外来患者数は13,000人を超え、年間入院患者数は1,309人(うち新生児101人)、年間手術件数は1,125例であった

★新生児手術件数は92例で、国内で最も多くの症例を扱っている。主要疾患として、食道閉鎖症・横隔膜ヘルニア・臍帯ヘルニア/腹壁破裂、腸閉鎖症、鎖肛等があり、重症合併奇形を持つ症例を除き、95%以上の生存を得ている。食道閉鎖症、横隔膜ヘルニア両疾患に対し胸腔鏡手術を行っていることは特筆される点である

★胆道閉鎖症に関しては、世界でもトップクラスである430例以上の治療経験を持ち、現在では腹腔鏡手術を標準術式とし、術後のステロイド療法との併用で80%以上の減黄率を得ている。また、肝移植が必要な患児には、当院の肝胆膵外科の肝移植チームと協力し、治療にあたっている

★胆道拡張症は関連施設も含めて250例以上の治療経験を有し、欧米先進国中で最多である。腹腔鏡手術を行い、かつ術中胆道鏡を施行することにより術後合併症の予防に努めている

★小児泌尿生殖器外科に関する疾患すべてにわたり診療・手術を行っており、患者数の約3分の1を占めている。水腎症(腎盂尿管移行部狭窄症)などに対する後腹膜鏡手術を行う本邦唯一の施設であり、合併症も極めて少ない。また、膀胱尿管逆流症に対する膀胱鏡下逆流防止術(デフラックス治療)も基本術式として行って良好な成績を得ている。二分脊椎外来も設置しており、あらゆるタイプの尿失禁を診察している

★小児腫瘍は神経芽腫・腎芽腫・肝芽腫・奇形腫など常時15人ほどの入院治療を行っており、小児科(腫瘍グループ)、放射線科、病理と密に協力して集学的治療を行っている。心臓血管外科・肝胆膵外科などと協力し、進行悪性腫瘍に対しても外科的治療が可能となっている。

医療設備

NICU、GCU、ICU、胸腔鏡・腹腔鏡・後腹膜鏡手術設備、NO(一酸化窒素)吸入装置、MRI、CT、核医学検査、各種内視鏡(気管支鏡・膀胱鏡含む)、内圧測定装置など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

眼科

分野

眼科

特色

白内障・緑内障・網膜硝子体・神経眼科・外眼疾患など幅広く対応できるよう診療を行っている。外来診療は成人を対象とした一般外来と小児(小学生以下)のための小児外来にわかれて診療を行っている。一般外来の初診は午前外来で診療を行い、午後は予約制の再来診療を行っている。必要に応じ、専門外来での診療を行う。専門外来はアレルギー・ぶどう膜外来、角膜再建外来、緑内障外来、ロービジョン外来、リハビリテーション外来等、幅広い領域をカバーすべく設置されている。遺伝性眼疾患に対しては必要に応じて分子遺伝学的解析を行い、眼遺伝外来で、専門スタッフによる遺伝相談も行っている。小児眼科外来は小児眼科専任のスタッフが診療を行い、斜視弱視には、視能訓練士(ORT)とともに治療にあたっている。コンタクトレンズに関する診療はコンタクトレンズ外来で専用の設備を用いて毎日診療を行っている。附属病院(順天堂大学浦安病院、順天堂静岡病院、順天堂練馬病院、順天堂東京江東高齢者医療センター)や関連病院と連携をとりながら、多数の紹介患者を受け入れているが、順天堂医院のユニークな兼科システムを駆使して、他科との連携・協力をし、合併症をもつ患者さんの治療や、全身疾患からくる眼障害・眼疾患に対応できるよう診療を行っている。

症例数

10年の外来患者数は83,568人、新患者数は7,440人であった。手術総数は2,778例(入院手術1,974例、外来手術611例、小児眼科193例)、入院手術内訳は白内障1,216例、緑内障101例、角膜移植66例、網膜剥離を含む網膜硝子体手術は447例、その他144例となっている

★白内障治療では、極小・小切開超音波吸引術がほとんどの症例で行われ、日帰り・短期入院なども対応可能となっている。プレミアムレンズと呼ばれる多焦点眼内レンズ(先進医療)や乱視用のトーリック眼内レンズも行っている

★緑内障治療では、緑内障外来を中心にして各種視野検査・視神経乳頭解析装置などを用いた薬物治療を行っている。また、必要に応じて各種レーザー治療、線維柱帯切除術などの手術治療を行い、細かな眼圧・視野の管理を行っている

★角膜結膜疾患治療は、角膜外来を中心とした感染性角膜疾患治療、角膜再建外来での角膜移植術・角膜内皮移植術、コンタクトレンズ外来での円錐角膜へのハードコンタクトレンズ処方など各専門外来で治療方針が決定されている。近視矯正外来ではエキシマレーザーを用いたLASIK、PTKも行っており、あらゆる角膜疾患に対する治療に対応できるよう治療が行われている

★網膜硝子体疾患治療では、年間300例以上の23G硝子体手術が行われている。視認性の悪い難症例では眼内内視鏡を用いた治療も行っている。また、年間150例を超える網膜剥離手術の中でも緊急性の高い網膜剥離に対しては、緊急入院・手術の体制も整えている。黄斑部疾患への光線力学療法(PDT)はPDT外来、後眼部疾患精査目的FA・IA外来、網膜色素変性外来、電気生理外来などにおいて、それぞれより専門的な検査・治療が行われている

★外眼疾患治療は、外来手術で主に行われ10年度は611例行われた。斜視手術・眼瞼下垂手術などに加えて鼻涙管閉塞に対する涙道内視鏡手術も行われている

小児眼科=12歳以下の患者を対象とし、新患者数は950人、手術は193件行われた

順天堂アイバンク=輸入角膜を使用せず、すべて国内からの提供角膜で66例の角膜移植が行われた。水疱性角膜症に対しては積極的に角膜内皮移植術も行っている。

医療設備

各種レーザー治療装置、各種超音波解析装置、各種レーザースキャニング装置、各種視野検査など、最新機器を備えている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

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耳鼻咽喉・頭頸科

分野

耳鼻咽喉科・頭頸部外科 

特色

当科は「耳鼻咽喉・頭頸科」を標榜し、脳神経外科や眼科と密に連携して鎖骨上方のあらゆる疾患を取り扱うことをモットーとしている。特徴ある治療として、喘息を伴うことが多く、手術後の再発の多い難治性の好酸球性副鼻腔炎に対し、術前後にステロイド治療を併用し良好なコントロールを可能としている。アレルギー性鼻炎に対してはアルゴンプラズマ照射治療、入院での後鼻神経切断術を行っている。慢性穿孔性中耳炎には、短期入院で低侵襲手術による外耳道のみからのアプローチで鼓膜形成術(接着法)を施行している。また、危険な中耳炎として知られる真珠腫性中耳炎の手術症例も関東圏でも上位の症例数である。デイ・サージャリーとして軽度の副鼻腔炎・鼓膜形成術・声帯ポリープ切除術を行っている。取り扱い施設の少ない側頭骨(外耳・中耳)がんに対しても放射線・化学療法を組み合わせた手術治療を行っている。早期の甲状腺・唾液腺の悪性腫瘍に対しては、術創に優しい低侵襲手術を施行し、1週間程度の入院を可能としている。

症例数

年間外来患者数約45,000人、手術件数(全麻下)743件(06年)、873件(07年)。07年手術症例は、内視鏡下副鼻腔手術364件、後鼻神経切断術66件、鼓膜形成術80件、鼓室形成術78症例、外耳・側頭骨腫瘍摘出術4件、腫瘍摘出術は甲状腺40件・耳下腺33件・顎下腺17件、頸部郭清術50件、両側口蓋扁桃摘出術67件、顕微鏡下喉頭手術48件他

★慢性副鼻腔炎は、薬剤抵抗性の場合は内視鏡下副鼻腔手術を行い、難治性好酸球性副鼻腔炎に対してはさらにステロイド内服治療による再発防止対策を行う。汎副鼻腔炎症例はナビゲーションシステムを併用し、安全かつ確実な手術を行っている

★中耳疾患は、短期入院の鼓膜形成術から、鼓室形成術、あぶみ骨手術、外耳道・側頭骨がん治療に至るまで、幅広い領域の治療を行っている。また、人工内耳、埋め込み型骨導補聴器(BAHA)等の先進手術にも取り組んでいる。手術はNIMレスポンスを併用し、合併症の顔面神経麻痺を予防している

★頭頸部疾患は、外来でエコー下細胞診による的確な診断を行い、手術はすべての頭頸部腫瘍領域に対応している。良性腫瘍に対し手術、悪性腫瘍に対しては化学療法、放射線療法も併せて行っている。唾液腺腫瘍、甲状腺腫瘍に対しては、NIMレスポンスを併用し顔面神経麻痺、反回神経麻痺等の手術合併症を予防している

★声帯ポリープ・喉頭腫瘍に対しては、顕微鏡下微細手術の他、局所麻酔で喉頭ファイバー下摘出術も行っている

★反回神経麻痺・音声障害に対しては、音声専門の非常勤講師を招き、手術症例に対しては脂肪充填術など積極的手術治療も行っている

★アレルギー性鼻炎は、薬剤抵抗性の場合は外来でアルゴンプラズマ照射治療を行い、難治性症例に対しては後鼻神経切断術を行っている

★突発性難聴は、外来でステロイド内服治療、血管拡張剤点滴治療を行い、糖尿病等の合併症のある場合は入院治療を行っている

★顔面神経麻痺は、外来でステイロイド内服治療を行い、ENoG検査で神経損傷が強い場合は顔面神経減荷術を行っている

★睡眠時無呼吸症候群は、簡易検査で疑いが強い場合はPSG検査(1泊入院)を実施しており、CPAP治療やスプリント治療等を行っている。鼻や扁桃疾患のある場合は手術も行っている

★めまいに対しては、ENG、重心動揺、カロリック検査を行い、MRI検査で頭蓋内疾患の鑑別を行っている。

医療設備

MRI、CT、超音波、APC(アルゴンプラズマ凝固)、NIMレスポンス、ナビゲーション機器、電子内視鏡、特殊偏光内視鏡、重心動揺計など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ×
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

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歯科口腔外科

分野

歯科口腔外科

特色

顎口腔領域全般の疾患に対し診断治療を行っているが、大学病院の歯科口腔外科であることから全身疾患を持った患者に対する外来での一般歯科治療、口腔外科治療が主であり、他科との連携を密に診療を進めている。症例に応じてデイサージャリー室での手術、処置を行っている。インプラント外来、顎関節症外来、摂食嚥下障害外来、矯正外来の専門外来を設けている。また睡眠時無呼吸症に関しては、当院呼吸器内科、耳鼻咽喉科のいびき睡眠外来と連携し、顎顔面、口腔に応じた口腔内装置を用いての治療を行っている。

症例数

現在患者数は月間1,000人弱で、対象としている疾患と診療内容は、う蝕、歯周病、補綴処置、埋伏歯抜歯、嚢胞、顎関節症、睡眠時無呼吸症、顎骨骨折、炎症、口腔粘膜疾患、神経疾患、唾液腺疾患、口腔乾燥症、インプラント、咬合誘導、歯列矯正などである。10年度の初診数は2,111人で、初診時の疾患名は、う蝕533人、慢性辺縁性歯周炎594人、義歯141人、顎関節症117人、智歯周囲炎120人、粘膜疾患66人、睡眠時無呼吸症69人、神経疾患14人、外傷13人、腫瘍20人、嚢胞25人、炎症43人、その他178人、他科からの精査依頼178人であった。口腔悪性腫瘍は当院耳鼻咽喉科頭頸科もしくは他機関に紹介している。

医療設備

X線CT、3DCT、MRI、超音波診断装置、インプラントシステムなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

皮膚科

分野

皮膚科

特色

1903年(明治36年)に皮膚泌尿器科として独立し、以後100年以上の歴史がある。外来の診療体制は午前・午後とも各10人(土曜日午後は4人)の医師で担当している。一般外来の他に、アトピー性皮膚炎、乾癬、円形脱毛症、白斑、皮膚腫瘍の専門外来を設けている。真菌症(みずむし等)も適切な検査を行いつつ、治療している。特に近年注目されているたむし、トンズランス感染症についても多くの症例を経験している。化粧品や金属等のパッチテストも必要に応じて行っている。帯状疱疹については、早期からペインクリニックと連携しながら治療を進めている。また、天疱瘡や類天疱瘡など自己免疫性水疱症の治療に加え、先天性水疱症についても他科と連携しながら治療を行っている。医療連携も重視しており、紹介状に対する返事や検査結果の返信にも注意を配っている。

症例数

10年の1日平均外来患者数310人、年間初診患者数6,454人、年間入院患者数382人。10年の入院手術件数230件。内訳は皮膚良性腫瘍133件、皮膚悪性腫瘍47件、その他(皮膚移植、膿皮症等)50件。外来での皮膚生検・手術1,000件

アトピー性皮膚炎=外来での通院加療を基本として、個々の患者に応じた生活指導も行っている。また症例によってはシクロスポリン内服も行う。重症例では入院の上、PUVAあるいはNB-UVB照射を行っている。軽症例についても、日常生活の見直しを目的とした短期入院にも応じている

円形脱毛症=外来治療が主であり、外用・内服治療さらにはPUVA、NB-UVB、エキシマライトやスーパーライザー照射などを組み合わせた治療を行っている。また、SADBEやDPCPを用いた局所免疫療法も行っている。難治性成人例では入院の上、少量内服ステロイドとPUVA療法の組み合わせによる治療も行うことがある

乾癬=外来治療の他、重症例に対しては入院治療も行っている。症状に応じて外用・内服薬(レチノイド・シクロスポリン)を選択している。PUVAやNB-UVB、エキシマライト照射や、抗体療法(生物学的製剤)なども症例により選択している

白斑=外来で種々の外用、内服療法を行う。NB-UVBやエキシマライト照射も症例により選択している。また病型は限られるが入院の上、サクションブリスター法(吸引水疱蓋表皮移植術)による治療も行っている

皮膚腫瘍=外来でも積極的に良性腫瘍手術を行っている。また有棘細胞癌、悪性黒色腫、乳房外パジェット病などの悪性腫瘍に対する手術は入院の上、全身検索も加えつつ行っている。症例の特性や深達度に応じて化学療法や放射線照射を組み合わせた治療を行っている

天疱瘡・類天疱瘡=ステロイドや免疫抑制剤内服による治療の他、血漿交換療法や大量ガンマグロブリン療法を積極的に行っている。場合によっては外来で血漿交換療法を施行することもある

掌蹠膿疱症=ステロイドやビタミンD軟膏の外用・抗ヒスタミン剤などの内服・PUVAあるいはNB-UVB照射などを適宜組み合わせた治療を行っている

蜂窩織炎=基本的には入院の上、抗菌薬の点滴を中心とした治療を行う。糖尿病など基礎疾患のある場合は、関連科と連携して診療を進める

皮膚潰瘍=糖尿病や膠原病による皮膚潰瘍も多く診療している。他科と連携しながら基礎疾患のコントロールをまず行い、外用療法を主とした保存療法の他、必要に応じて外科的デブリードマンや皮膚移植なども行う。

医療設備

"MRI、CT、PUVA全身照射装置・頭部照射装置・手足照射装置、NB-UVB全身照射装置・手足照射装置、エキシマライト、Qスイッチアレキサンドライトレーザー、炭酸ガス外科用レーザー、サージトロン、イオン導入器、スーパーライザー、ダーモスコピー等を完備している。 "
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

糖尿病・内分泌内科

分野

糖尿病内分泌内科

特色

当科では糖尿病、肥満症、甲状腺疾患、脳下垂体疾患、副腎疾患、さらには、尿酸代謝異常、脂質異常症など、広範囲の疾患を対象にしている。特に糖尿病に関しては診断から治療、合併症の管理まで定評があり、1型糖尿病については持続的皮下インスリン注入療法(CSII)を積極的に行っている。当科では特に他科との診療連携を密接にしており、様々な手術、合併症である心筋梗塞、脳梗塞などの治療目的で入院している糖尿病患者が良好な血糖コントロールになるよう、最適な治療を実践している。さらに、1型糖尿病妊婦には全例CSIIを行い、産科と綿密な連携のもと周産期には良好な血糖コントロールを得ることで安全な出産にも成功している。内分泌疾患は甲状腺、下垂体、副腎疾患を中心として豊富な治療経験を有している。

症例数

現在、定期的に通院中の糖尿病患者は約5,899人、甲状腺疾患は約3,026人であり、日本でも有数の症例数を誇り、通院圏は東日本のほぼ全域に及ぶ

★外来管理ではインスリンの強化療法を精力的に行い、原則として外来でのインスリン導入を行っている。経口血糖降下剤やインスリン製剤などの新薬の臨床治験も、当院GCPセンターの専属スタッフによる整備された安全な環境のもと積極的に取り組んでいる。さらに、甲状腺疾患の診断、治療にも積極的に力を入れており、10年の甲状腺エコー件数は1,255件、穿刺吸引細胞診は195例であった

★入院定床は15床で、うち教育入院は3床(1週間コース)である。医師、看護師、管理栄養士による系統だった講義に加え、当院健康スポーツクリニックの専属トレーナーにより、個々の身体に即した運動処方箋が作成され、教育入院の治療効果向上に大きく寄与している。さらに、週末を利用した1泊2日教育入院も行っている。その他、各種内分泌疾患の検査入院とその治療方針の決定、複雑な合併症を伴う糖尿病症例などを対象としている。また、他科で血糖コントロール困難な症例は当科医師が併診とし、良好な血糖コントロールを目指している

★現在当科で行っている特殊検査として人工膵臓があり、高血糖に対するインスリン投与量の決定を含めた糖尿病の治療方針の決定や、インスリン抵抗性の定量解析、病態生理の解明の手法として力を発揮している。また、頸動脈超音波検査も多数例(年間1,200人)に施行されており、動脈硬化の定量的評価を行うことで日常診療にフィードバックしている

★当科には先進糖尿病治療学講座、分子糖尿病制御学講座、膵再生医学講座の3つの寄付講座があり、これらの3講座は有機的に機能しながら新規治療法を目指した基礎的研究ならびに臨床的研究を精力的に行っている。特に臨床研究においては、人工膵臓、頸動脈エコーなどの検査を取り入れながら、糖尿病非専門医に対する糖尿病治療学の普及、啓蒙活動を積極的に行い、糖尿病、動脈硬化症を含む生活習慣病を標的にした新しい診断法・治療法の開発も目標としている

★内分泌疾患では、原発性アルドステロン症の診断のための副腎静脈サンプリングを放射線科と共同で行い、甲状腺腫瘍は耳鼻咽喉科と、副腎腫瘍は泌尿器科と、下垂体腫瘍は脳神経外科とチーム医療を行い、良好な成績を収めている

★他の附属病院(浦安、練馬、江東高齢者医療センター、静岡、越谷病院)にもスタッフを派遣しており、各施設間でも密接に病診連携をとっている。

医療設備

附属病院は特定機能病院として最先端の医療設備を有している。附属病院の設備に関する詳細はインターネットホームページhttp://www.juntendo.ac.jp/に掲載されている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

脳神経内科

分野

神経内科

特色

神経内科領域のすべての疾患の診療を行っている。特にパーキンソン病をはじめとする神経変性疾患の診断・治療を積極的に行っている。救命救急部との協力の下で救急患者も積極的に受けており、脳卒中や神経免疫疾患の患者数も多い。脳神経外科と協力してパーキンソン病の脳深部刺激療法や、内頸動脈ステント留置術を積極的に実施している。

症例数

年間入院患者数は約1,000人であり、パーキンソン病をはじめとする神経変性疾患が300~400人、脳血管障害が300人で約半数以上を占めている。さらに多発性硬化症などの神経免疫性疾患も増えており、頭痛・てんかんといった発作性疾患、炎症性疾患、神経感染症、筋疾患、末梢神経疾患、内科疾患に伴う神経疾患など、様々な神経疾患の診断および治療を行っている。当科の外来患者数は年々増えており、10年の初診患者数4,540人、再診患者数59,613人、総数64,153人の診療を、平日は午前、午後各5~6診察室、土曜日午前は5診察室で行っている。通常の外来診療以外にも頸動脈超音波と経食道心臓超音波検査などの神経超音波検査、筋電図検査とボトックス治療、神経心理検査を開設し、専門性の高い診療を行っている

★パーキンソン病については、発病初期からの診断と薬物療法を行っており、頭部MRI検査とSPECTによる脳血流の評価や心筋シンチグラフィーを参考にして、正確なパーキンソン症候群の鑑別診断に努めている。家族性パーキンソン病の遺伝子診断を行っており、今後遺伝子相談外来を開設する予定である。さらに、薬物調整が難しくなった患者に対しては、脳神経外科との協力の下で脳深部刺激療法による機能的手術を積極的に取り入れ、良好な治療成績を得ている

★脳血管障害においては、救急科と協力し積極的に超急性期からの診療に当たっている。年間入院数の約3分の2は緊急入院であり、頭部CTおよびMRI検査、神経超音波検査を可及的に行い、臨床病型診断に基づく治療を行っている。超急性期の血栓溶解療法も10年は10例に対し行い良好な結果を得ている。また、高度頸動脈狭窄病変を有する場合には、脳神経外科の協力のもとで、積極的に頸動脈ステント留置術を行っている

★神経免疫疾患では、多発性硬化症の初診外来を設けており、急性期治療から再燃予防にいたる幅広い診療を行っている

★認知症に関しては、神経心理検査、頭部MRI検査、およびSPECTによる脳血流評価を行い、アルツハイマー病、血管性認知症およびパーキンソン症候群にともなう認知症の診断を行い、薬剤療法による治療を行っている

★炎症性疾患については、ギラン・バレー症候群や脳脊髄炎は、しばしば呼吸障害を合併し重症化する場合があるため、積極的な呼吸管理と大量免疫グロブリン療法や血漿交換療法などを行い、早期から機能回復に向けてリハビリテーションも併せて行っている

★以上のように様々な神経疾患に関しての専門診療を行い、慢性期や進行期の神経疾患にはリハビリテーション科、医療福祉相談室と協力すると共に当科独自の在宅診療システムを稼働させており、家庭復帰や社会復帰または在宅療養への支援も進めている。

医療設備

CT、MRI、MRA、SPECT(脳血流シンチグラフィー)、脳血管撮影、頸動脈エコー、経食道心臓超音波検査、経頭蓋ドプラ血流測定、脳波、筋電図、末梢神経電動速度、誘発筋電図、磁気刺激などを備えている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

メンタルクリニック

分野

精神科

特色

当科は50年に開講し、00年には開講50周年を迎えた歴史を持つ。また我が国の大学附属病院として初めて「メンタルクリニック」という診療科名を導入した。これは、人間にとって最も重要な「こころの問題」を対象とした専門の診療科として、従来の「心療内科」や「精神神経科」といった垣根を取り払い、広く門戸を開いたものである。当教室では、順天堂医院(本郷)、順天堂越谷病院、順天堂浦安病院、順天堂静岡病院、順天堂東京江東高齢者医療センター、順天堂練馬病院の6附属病院にそれぞれメンタルクリニックを設置し、急性期精神科入院加療を含めた一般精神医学(順天堂医院、越谷病院)、身体合併症と精神医学の併診を中心とした医学的精神医学(順天堂医院、浦安病院、練馬病院)、デイケアを含めた慢性期のリハビリテーション(越谷病院)、認知症を中心とした高齢者精神医療(高齢者医療センター)など、機能分化をしながら各部門が有機的に結合し、全人的な精神医療を実践している。詳しくはホームページ「順天堂大学医学部メンタルクリニック」http://www.juntendo.ac.jp/hospital/<KINKAI>clinic/mental/参照。

症例数

本部となる順天堂医院メンタルクリニックの入院部門においては、閉鎖病棟15床(個室6部屋、保護室1部屋、4人床2部屋)で、10年度の診療実績は入院186人、兼科(コンサルテーション・リエゾン)55人であった。内訳としては統合失調症が34.2%、うつ病などの気分障害が21.9%と、これら2疾患が全体の55%を占め、次いで認知症およびその周辺疾患が25%、その他が20%であった

入院診療=入院のうち約3割が身体合併症の治療目的の入院であるが、7割は精神疾患そのものの悪化のため入院している。ベッド数が15床であるため満床のことが多く、近隣の医療機関からの入院依頼に対応困難な場合も多いが、上述の附属病院と密な連携による医療システムを確立しており、入院に関しても機能分化しながらニーズに応えている。中でも当院では、重篤な身体合併症を有する患者さん、および修正型電気けいれん療法など高度な医療技術を要する、精神疾患の急性期状態を呈している患者さんを中心に入院を受け入れている。従って15床で年間200人以上の入院患者さんを受け入れているので、平均在院日数は20日前後と短い。また日々の診療では、外来診療や入院診療とは別に、常時精神科救急担当医とリエゾン精神医学担当医を交代制で配備し、病院全体からの医学的精神医学の需要に対応している。また身体合併症における痛みに対する精神医学的アプローチとして、緩和ケアグループに精神科医を常駐し対応している。また臓器移植に対する精神医学的考察を含めた関与も行っている

★外来診療では、10年度年間総受診者数43,977人、初診1,785人。初診患者さんの内訳としては、うつ病などの気分障害および神経症性障害(パニック障害など)が約70%と大半を占め、ついで認知症およびその周辺疾患が18%、統合失調症が6%となっている。専門外来として若年性アルツハイマー病専門外来を発足し、同疾患における脳画像検査や神経心理検査を積極的に行い、診断確定および治療を行っている。またアルツハイマー病の治験にも積極的に取り組んでおり、近年注目を浴びている生物学的治療薬の治験も現在行っている。

医療設備

MRI、CTなどの放射線検査、SPECTなどの核医学検査、脳波、臨床心理士による心理検査などが可能である。
  • セカンドオピニオン受入 ×
  • 初診予約 ×
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

麻酔科ペインクリニック

分野

ペインクリニック

特色

当ペインクリニックは麻酔科・ペインクリニック講座の疼痛制御学講座の診療部門である。外来開設30年以上の歴史があり、その豊富な臨床経験を生かして、患者のQOL(生活の質)の向上を目的とした痛みの診断と治療を行っている。治療の大きな特色は、積極的に神経ブロックを中心とした治療を施行している点である。神経ブロックにつては、説明を十分に行い患者の理解と同意のもとに施行している。疼痛疾患に対して、より早い時期からペインクリニックでの多角的治療を開始することで、遷延性疼痛への移行予防を目標としている。疼痛疾患以外にも、神経ブロック治療が有効な疾患は治療対象としている。加えて、種々の薬物療法(漢方も含む)やレーザー治療、理学療法室との連携による運動療法、がん疼痛に対する総合的な緩和ケア(緩和ケアチームと緩和ケア外来)など大学病院であるメリットを生かした専門的治療を行っている。入院患者は、助教とレジデント・後期研修医の2~3人で受け持ち、クリニカルパスに基づいて効率の良い治療を行っている。当科入院患者はもとより他科入院の依頼患者も含めて、手術室の麻酔当直とは別にペインクリニックオンコール医により24時間の対応を行っている。

症例数

外来における年間患者総数は約20,000人、初診総数は約1,000人、年間入院患者数は約150人である。08年度の外来患者の疾患別内訳は、腰椎疾患37%、頸椎疾患10%、帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛13%、頭痛7%、顔面神経麻痺3%、三叉神経痛3%、癌性疼痛3%、血管性病変3%、術後痛2%、CRPS 2%、その他(肩関節周囲炎、指趾潰瘍、糖尿病性ニューロパチー、慢性会陰部痛、外傷後疼痛など)である

★神経ブロック療法では、星状神経節ブロック、硬膜外ブロック、三叉神経ブロック、肩甲上神経ブロック、後頭神経ブロック、硬膜外持続注入療法、くも膜下フェノールブロックなどを主に非透視下に行い、X線透視装置や超音波エコー装置を用いて、頸・腰神経根ブロック、胸・腰部交感神経ブロック、腕神経叢ブロック、大腰筋溝ブロック、腹腔神経叢ブロック、下腸間膜動脈神経叢ブロック、上下腹神経叢ブロック、不対神経節ブロックなどや高周波熱凝固治療を行っている。ボトックス注射も施行している

★脊椎疾患に起因した難治性腰下肢痛に対する硬膜外鏡による癒着剥離術、難治性疼痛に対する硬膜外刺激電極埋め込み術、硬膜外カテーテルポート埋め込みなど、最先端の治療を小手術室で行っている

★薬物療法では、ドラッグチャレンジテストによる適切な治療薬の選択や、鎮痛補助薬の投与、非癌性の難治性疼痛に対する麻薬の投与なども行っている

★慢性疼痛患者には、心理面の影響も考慮して治療法を選択している

★薬物療法や理学療法で除痛が得られない腰椎椎間板ヘルニアでは、2週間以内の入院による集中的治療により70%の患者で社会復帰が可能となる

★癌性疼痛では、膵癌の局所再発や浸潤などに起因する疼痛に対して腹腔神経叢ブロックは75%の有効率(痛みの消失または薬物療法の継続で痛みが良好にコントロール可)を得ている。直腸癌をはじめ骨盤内臓器の癌の局所再発には上下腹神経叢ブロックを行っている。神経ブロック治療は終末期に受けるものではないため、早期に神経破壊薬を使用したブロック治療を受けることが望ましい。原則として院内紹介としている。

医療設備

外来には神経ブロック用処置台8台、X線透視装置、高周波熱凝固装置、超音波エコー装置、半導体レーザー治療器、直線偏向近赤外線治療、直角交換波(トプラ波)低周波治療器の他に、痛み測定器、電流知覚閾値検査機、サーモグラフィーの検査機器を常備している

★中央部門にはMRI、CT、骨シンチ、その他の診断機器がある

★入院ベッド数は完全固定制ではない。
  • セカンドオピニオン受入 ×
  • 初診予約 ×
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

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