出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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めまいから考えられる主な病気

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めまいから考えられる主な病気

◆ 耳の異常

症状 疑われる病気
難聴、耳鳴り 吐き気、嘔吐 メニエール病
突発性難聴
内耳炎
耳だれ、顔面神経麻痺 真珠腫性中耳炎
平衡障害 外リンパ瘻
吐き気、嘔吐 前庭神経炎
良性発作性頭位めまい
耳介や外耳道周囲に痛みのある小水疱、顔面神経麻痺 耳性帯状疱疹

◆ 脳の異常

症状 疑われる病気
吐き気、嘔吐、頭痛、眼振、運動障害、舌のもつれ 小脳梗塞・小脳出血
複視、顔面や手足の運動・感覚障害、舌のもつれ 脳幹梗塞・脳幹出血
構音障害、複視、ドロップアタック 一過性脳虚血発作
難聴、耳鳴り 聴神経腫瘍

◆ その他

症状 疑われる病気
動悸、失神、疲れやすい 不整脈
動悸、胸苦しい、息苦しい、不安感、恐怖感 パニック障害

めまいとは?

一般に、周囲のものが静止しているにもかかわらず、いろいろな方向にグルグル動いているように見えたり、クラクラして安定した姿勢を維持することが難しい状態を、めまいといいます。めまいはさまざまな病気で起こり、まためまいの訴えも多彩なため、なかなか原因がわかりづらい症状のひとつです。

平衡感覚の仕組み

私たちの体の平衡は、内耳や眼、筋肉や関節、それを統合している中枢神経系が協調して保たれています。そのなかでも重要な役目をしているのが内耳で、内耳にある三半規管と前庭という部分が平衡感覚を感じとっています。
三半規管とは、3つの半規(半円)の管のことで、これらの半円がそれぞれ互いに直角に位置してひとつになっています。そのため、すべての方向の動きを三次元的にとらえることができます。一方、前庭は体の向きを感じとるはたらきをしています。三半規管と前庭によって位置や向き、動きを正常に保ち、体はバランスを失うことがありません。したがって、内耳や脳幹部などに何らかの障害があると、めまいが起こってきます。

回転性めまいと浮動性めまい

めまいには、大きく分けて回転性めまいと浮動性めまいがあります。前者は、文字どおり自分の周囲がグルグル回っているように感じるめまいです。後者は、非回転性のめまいでフラフラ、グラグラするめまいです。
どちらも多くは一過性で、ほかに症状もなければ普通は心配ありませんが、なかには急を要する場合もあるので軽視は禁物です。めまいが起きたら、まずどちらのタイプかを考え、そして持続時間は、繰り返し起こるか否か、随伴する症状はないかなどに注意を配ってください。

めまいの原因

めまいは耳の異常をはじめとして、さまざまな原因で起こります。

耳の異常

耳が原因の場合は、ほとんどが強い回転性のめまいです。
代表的なものがメニエール病。突然、回転性のめまいが普通30分から数時間続き、同時にあるいは少し前から耳鳴りや難聴が起こります。吐き気や嘔吐、冷や汗、動悸なども伴います。めまいは反復性で、数日・数週間・数カ月・1年に1回など人によってさまざまです。
耳が原因で起こるめまいのなかで最も頻度が高いのが良性発作性頭位めまいです。急に上半身を起こしたり、振り返ったり、上を向いたりした時などに、急激に回転性のめまいが起こります。めまいは長くても数十秒で消失、難聴や耳鳴りなどの聴覚症状は伴いません。

脳の異常

脳幹や小脳、大脳の特定の領域の異常によって起こるめまいです。
脳の梗塞や出血は、病変の広がりによっては命にかかわります。めまいのほかに頭痛や吐き気や嘔吐、感覚や運動、言語の障害などさまざまな症状が現れますので、おかしいと思ったらできるだけ早く受診することが大切です。
聴神経腫瘍は良性の腫瘍で、多くは難聴や耳鳴りが徐々に進行し、腫瘍が大きくなるとめまいやふらつき、吐き気、顔面神経麻痺などが現れます。

その他

脈の乱れる病気を不整脈といいます。疲れやすくて心臓に違和感があり、気の
遠くなるようなめまい(フラッとした感じ)が起こったり、失神するようなら注意しましょう。かなり重い不整脈かもしれません。
パニック障害は、突然の激しい動悸、胸苦しさ、息苦しさ、めまい、死ぬかと
思うほどの恐怖感に襲われるこころの病気です。正しい診断がつかずにパニック
障害であることが見過ごされている場合が少なくありません。幸い、薬物療法でほとんどが治りますので、これはと思ったら、心療内科や精神科の診察を受けてください。