出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
回避性パーソナリティー障害
かいひせいぱーそなりてぃーしょうがい
回避性パーソナリティー障害とは?
どんな障害か
この障害は、極端に低い自己評価を背景にして、対人場面で傷つくことを過度に恐れる傾向がり、そのため「自分なんかふさわしくない」という感覚をもちやすく、社会において活躍することを避ける行動となって現れます。その傷つきへの恐れは、私たちが通常感じるもの以上に過大です。これは日本人のように謙譲が美徳とされ、賞賛を避けることもひとつの選択とされる文化圏では、必ずしも障害といえないかもしれません。
一方、欧米では有名な賞を受賞しながらその受け取りを避けたり、受賞の知らせを聞いただけで行方をくらます人のなかには、このような問題を抱えている人も含まれているのではないかと考えられています。
また、前述の低い自己評価についてですが、本来は賞賛されたり、受け入れられたいと望んでいながら、それが達成されないことへの不安が高いために、他人の評価を受ける場面を避けるという、いわば「密やかな自己愛の障害」をもつものもこのなかに含まれるといえるでしょう。
治療の方法
この障害に特異的な治療は存在しません。実際の臨床では、外来での精神療法が中心となります。主治医と相談しながら、自分自身の問題として症状を認識して、過度の自己評価の低下による認知のゆがみを修正していくことが必要です。また、併存する不安、抑うつ、社会恐怖、不眠などに対処的治療が行われます。
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