出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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空隙歯列弓
くうげきしれつきゅう

もしかして... 埋伏歯

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空隙歯列弓とは?

どんな病気か

 歯と歯の間にすきまがある歯列弓をいいます(図7図7 空隙歯列弓)。

原因は何か

 歯とあごの大きさの不調和がある場合(あごの過成長によるもの、歯の大きさが小さいもの)や、歯の数に異常がある場合(歯の欠損、埋伏歯など)などに生じます。また、舌突出癖などの習癖、舌が大きい、舌の位置が低位、口輪筋の弛緩など歯列弓を取り囲む口腔周囲筋に何らかの不調和が認められると生じることもあります。

症状の現れ方

 乳歯列期の空隙歯列は正常です。とくに前歯はあとから生える永久歯のほうが大きいため、自然にすきまはなくなります。永久歯列になってもすきまがある場合、よく噛めなかったり、発音に支障が生じることがあります。

治療の方法

 一般的に乳歯列期の空隙歯列は正常なので、歯科矯正治療の必要はありません。

 永久歯列期になってもすきまが閉じない場合は、すきまを閉じる歯科矯正治療を行います。歯の幅が小さい歯(矮小歯)があったり、歯の数が足りない場合は、歯科矯正治療だけでなく、人工の歯をかぶせたり、欠如歯を補う治療(補綴治療)を組み合わせて行う場合もあります。舌の運動や機能異常によりすきまがみられる場合は、筋機能療法によって癖の改善を図ったり、タングクリブといった舌の突出を抑える装置を装着して治療を行うこともあります。また、舌が大きい場合にはごくまれにですが、舌縮小術といった外科的な治療を併用する場合もあります。

空隙歯列弓と関連する症状・病気

(執筆者:東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面矯正学教授 森山 啓司)

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